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シンバイオ製薬 Research Memo(7)21年12月期以降は収益化フェーズへ、資金調達も金融機関からの借入中心に

2021/12/23 15:27 FISCO
*15:27JST シンバイオ製薬 Research Memo(7)21年12月期以降は収益化フェーズへ、資金調達も金融機関からの借入中心に ■業績動向 1. 2021年12月期第3四半期累計業績の概要 シンバイオ製薬<4582>の2021年12月期第3四半期累計業績は、売上高で前年同期比138.1%増の5,553百万円、営業利益で424百万円(前年同期は3,142百万円の損失)、経常利益で414百万円(同3,220百万円の損失)、四半期純利益で324百万円(同2,694百万円の損失)となり、創業来初めて黒字化を達成した。 売上高は「トレアキシン(R)」の販売を2020年12月から自社販売体制※に切り替えたこと、並びに適応対象が患者数の多い再発・難治性DLBCLに拡大したこと等により大幅増収となった。また、売上総利益率は自社販売体制への移行と、FD製剤からRTD製剤への切り替えが進んだこともあり、前年同期の26.2%から72.9%に大幅上昇し、売上総利益では前年同期比562.4%増の4,045百万円となった。 ※流通体制としてはスズケン<9987>及び東邦薬品(株)(東邦ホールディングス<8129>連結子会社)と2020年9月に契約締結し、総代理店とした。また、物流に関してはスズケンの子会社である(株)エス・ディ・コラボに業務委託している(物流拠点は東日本と西日本で各1拠点)。 一方、販管費は研究開発費の減少を主因に前年同期比3.5%減の3,621百万円となった。研究開発費については前年同期比で468百万円減少したが、前年同期に計上したRTD製剤のマイルストーン支払金、約5億円が無くなったことによるもので、同要因を除けば研究開発費はほぼ横ばい水準であった。その他販管費については自社販売体制への移行に伴う販売費の増加により同336百万円増加している。これらの結果、営業利益は前年同期比で3,566百万円の増益となった。 四半期ベースの売上高の推移を見ると、2021年12月期第2四半期から第3四半期にかけて増加ペースが加速しているが、これは再発・難治性DLBCL向けの販売が開始された効果が大きい。また、売上総利益率が2021年12月期第1四半期の71.1%から第3四半期に73.6%まで上昇しているのは、FD製剤からRTD製剤への切り替えが進んだことによる。前述したように、第3四半期の切り替え率は当初の計画よりスローペースとなったため、売上総利益率も緩やかな上昇にとどまっている。 2021年12月期以降は収益化フェーズに入り、資金調達も金融機関からの借入が中心となる見込み 2. 財務状況 2021年12月期第3四半期末の総資産は前期末比75百万円減少の6,199百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では売掛金が1,430百万円、商品及び製品が229百万円増加した一方で、現金及び預金が1,235百万円、半製品が206百万円、未収消費税等が314百万円減少した。固定資産ではソフトウエアが30百万円減少している。 負債合計は前期末比427百万円減少の1,189百万円となった。主な変動要因を見ると、未払消費税等が291百万円、未払法人税等が53百万円増加した一方で、買掛金が582百万円、未払金が90百万円減少した。また、純資産は同352百万円増加の5,009百万円となった。新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ107百万円増加したほか、四半期純利益の計上により利益剰余金が324百万円増加した。この結果、自己資本比率は前期末の64.3%から72.8%と8.5ポイント上昇した。 なお、同社は2020年12月に金融機関2行と上限30億円となるコミットメントラインの契約を締結している。従来は新株予約権の発行によるエクイティファイナンスにより、研究開発費を中心とした事業活動資金を調達してきたが、2021年12月期より収益化が見込める状況となり、金融機関からの借入も行えるようになった。このため、今後は期間収益と金融機関からの借入によって、事業活動資金を賄っていく方針としている。 2021年12月期業績は売上高で計画を若干下回る可能性があるが、各利益は達成できる見通し 3. 2021年12月期業績見通し 2021年12月期の業績は、売上高で前期比206.4%増の9,151百万円、営業利益で1,361百万円(前期は4,506百万円の損失)、経常利益で1,350百万円(同4,615百万円の損失)、当期純利益で1,149百万円(同4,090百万円の損失)と期初計画を据え置いており、創業来初の黒字化を達成する見通しだ。黒字化の条件として挙げていた自社販売体制の構築、RTD製剤の販売開始とFD製剤からの切り替え、再発・難治性DLBCL向けの販売承認取得のすべてが達成され、売上高及び売上総利益が大きく増加することが要因だ。 第3四半期までの通期計画に対する進捗率を見ると、売上高は60.7%と若干計画を下回っている。これは2020年12月までにエーザイが販売したFD製剤の市中在庫3~4億円分が2021年12月期に入って消化された影響や、コロナ禍が長引いたことによる受診控え、治療の遅延に加え、医療機関への営業活動が制限を受けるなどの影響が出たためだ。このため、通期売上高については若干会社計画を下回る可能性がある。また、売上総利益率についてもFD製剤からRTD製剤への切り替えが第3四半期にスローダウンした影響により、通期計画の76.0%を若干下回る可能性がある。ただ、第4四半期に入ってからの販売状況は再発・難治性DLBCL向けが順調に伸びており、RTD製剤への切り替えも計画通りに進んでいる。 一方、費用面についても期初計画に対して下回るペースで進捗している。第3四半期までの進捗率で見ると、研究開発費は63.7%となっている。「BCV」の臨床試験がコロナ禍の影響で計画よりも遅れていることが主因とみられる。同社では治験施設数を増やしながら、今後挽回を図っていく方針としている。また、その他販管費の進捗率も65.3%と計画を下回っている。コロナ禍の影響で海外出張ができず、また国内でも交通費や営業活動費等が計画を下回っていることによる。このため、売上高、売上総利益で計画を若干下回る可能性があるものの、販管費についても同様に計画を下回ることから、営業利益は期初計画を達成できる見通しとなっている。 なお、「トレアキシン(R)」の売上高を薬価ベースで見ると、前期実績の81億円から113億円と約40%増を見込んでいる。113億円の内訳は、未治療の低悪性度NHLで41億円、その他の既適応症で46億円、再発・難治性DLBCL向けで26億円を見込んでいる。既適応症が前期の81億円から87億円に拡大するのは、前期がFD製剤の不良品問題により販売面で制限を受けたことに加え、RTD製剤への切り替えによってBR療法の浸透率がさらに上昇すると見ているためだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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