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霞ヶ関キャピタル Research Memo(3):物流施設開発用地の売却が収益に寄与し、売上高・利益とも過去最高更新

2021/11/12 15:03 FISCO
*15:03JST 霞ヶ関キャピタル Research Memo(3):物流施設開発用地の売却が収益に寄与し、売上高・利益とも過去最高更新 ■霞ヶ関キャピタル<3498>の業績動向 1. 2021年8月期の業績概要 2021年8月期の日本経済は、コロナ禍により4月に3度目の緊急事態宣言が発出するなど、前期に引き続き経済活動の制限があった。各国でワクチンの接種が積極的に進められ、国内外ともに徐々に持ち直しの兆しが見られるものの、注視すべき状況が続いている。同社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、特にホテルや商業施設等のアセットタイプは今もなお大きな影響を受けている一方で、コロナ禍による影響が限定的または追い風となった賃貸マンションや物流施設といったアセットを選好し投資する動きも見受けられる。 このような状況のなか、同社は引き続き社会的潮流に着目した成長性及び社会的意義のある事業分野への投資及びコンサルティングに注力するとともに、投資機会の創出及び投資案件の収益最大化に努めた。その結果、2021年8月期の連結業績は、売上高14,295百万円(前期比78.5%増)、営業利益1,328百万円(同306.9%増)、経常利益1,037百万円(同475.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益793百万円(同489.9%増)と、大幅な増収増益を記録した。売上高・利益ともに過去最高を記録した好決算であった。また、2020年8月に発表した修正予想に対しては、売上高が0.7%、営業利益が6.3%、親会社株主に帰属する当期純利益が3.1%上回ったものの、経常利益は5.7%下回って着地した。 売上高については、計画通りに物流施設開発用地や賃貸マンション、保育園の売却がけん引し、大きく伸長した。特に、物流施設開発用地売却益が計画を上回ったことが、売上全体の上振れ要因となった。また、ホテルについても、コロナ禍の厳しい投資環境下にもかかわらず4件の開発ファンド組成を完了した。営業利益段階では、物流施設開発事業の組織体制立上げに係る人材採用は一巡したものの、人員増に伴うオフィス増床等の費用や案件関連の費用が増加した。一方、経常利益が計画を下回った要因については、物件の仕込みが想定以上に順調に進んだ結果、金融費用が増加したことによる。これは2022年8月期以降の収益につながる先行投資となる。なお、2021年2月に福島県沖で発生した地震により同社保有のショッピングセンターフォルテに被害が発生し、特別損失を計上したほか、同年4月に「ホテル京都木屋町」を保有するメゾンドツーリズム京都を連結子会社化したことに伴い、負ののれん発生益526百万円を計上した。 トピックスとしては、物流施設開発事業で9件の用地取得を行ったほか、アパートメントホテル・その他でも7件の取得及び取得契約締結を行った。コロナ禍でも多岐にわたり事業を推進しており、将来の収益拡大を計画する前向きな決算であったと評価できる。実際、2021年8月期のプロジェクトパイプラインは、物流施設開発事業の立上げにより急速に拡大し、943億円(前期は450億円)と着実に積み上げた。コロナ禍が収束しホテル市場が回復した際にはアパートメントホテルのさらなる積み上げが見込まれることから、プロジェクトパイプラインの拡大スピードはさらに上昇すると弊社では見ている。 セグメント別に見ると、不動産コンサルティング事業では、投資用不動産の売買及び投資家に対するコンサルティング受託や、保有するショッピングセンターフォルテにおける各テナントからの賃料収入により、売上高は13,837百万円(前期比119.2%増)、セグメント利益は2,886百万円(同173.4%増)となった。一方、自然エネルギー事業では、太陽光発電案件の売却等により、売上高は458百万円(同73.0%減)、セグメント利益は8百万円(同97.5%減)となった。 高水準の自己資本比率を確保 2. 財務状況と経営指標 2021年8月期末における資産合計は、前期末比6,599百万円増の15,040百万円となった。流動資産は、同3,579百万円増の10,705百万円であった。これは主に現金及び預金が1,427百万円、販売用不動産が1,233百万円、前払金が938百万円増加したことによる。販売用不動産については、ショッピングセンターフォルテの保有目的変更に伴い固定資産へ移動するとともに、既存案件の売却と併せてアセットミックスの入れ替えを実施した。創業時から保有しているショッピングセンターフォルテは、コロナ禍の影響により流動性がなくなり、無理に売るのは得策ではないと考えてじっくり保有・運営することにしたものだ。なお、前払金は売買の手付金である。一方、固定資産は同3,008百万円増の4,321百万円となった。これは主に販売用不動産の保有目的を変更し、有形固定資産などへ振替えたことなどによる。 負債合計は、前期末比5,566百万円増の10,133百万円となった。流動負債は同1,545百万円増の4,139百万円であった。これは主に1年内返済予定の長期借入金が535百万円、未払金が369百万円、未払法人税等が358百万円増加したことによる。固定負債は同4,020百万円増の5,994百万円であった。これは主に長期借入金が2,546百万円、繰延税金負債が398百万円増加したことによる。以上から、有利子負債(長短借入金)は同3,128百万円増の6,984百万円となった。また、純資産合計は、同1,033百万円増の4,906百万円となった。これは主に利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により730百万円増加したことによる。 同社のビジネスモデルは、高収益と財務の健全性を同時に実現するものである。2021年8月期は積極的な案件仕込みの積み上げと今後の成長に向けた資金調達を実施した結果、自己資本比率は前期末の45.7%から32.1%に低下したものの、おおむね東証1部上場企業並みの水準(不動産業の2021年3月期は32.7%)を確保し、引き続き高い安全性を維持していると評価できる。一方、ROAは8.8%、ROEも18.2%と、東証1部上場企業(不動産業)の3.1%、6.6%を大きく上回る高い収益性を確保している。 2021年8月期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,527百万円増の3,603百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは972百万円の収入となり、これは主に、税金等調整前当期純利益が1,035百万円あり、預け金が100百万円減少(収入)したことなどによる。投資活動によるキャッシュ・フローは1,641百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出が1,664百万円あったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは2,195百万円の収入となった。これは主に、長期借入れによる収入(ネット)が1,811百万円あったことなどによる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《YM》
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不動産投資会社。物流施設やアパートメントホテル、自然エネルギー施設等の不動産コンサルティング、ファンド運用を行う。不動産販売、不動産コンサルティングともに売上伸びる。24.8期1Qは大幅増収増益。 記:2024/01/27