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エヌ・シー・エヌ Research Memo(6):建築士法改正により、SE構法の需要増加へ(1)

2021/8/5 15:06 FISCO
*15:06JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(6):建築士法改正により、SE構法の需要増加へ(1) ■強み 1. SE構法 大規模木造建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法とは、従来、鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、安全かつ便利に利用できるようにシステム化したエヌ・シー・エヌ<7057>独自の木造建築システムである。圧倒的な強度を持つ、独自の木造建築システムは、現在に至るまで同社の強みであり、20年来の施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっている。 同構法は、すべての建物に構造計算を行い、構造品質の高い集成材を採用し、接合部に独自開発したSE金物を使用することにより、集成材とSE金物によって高い耐震性と大空間が実現する。構造計算から部材供給・施工・検査・性能保証まで一括管理できるシステムである。なお、2020年3月期までは約500社の既存登録店の活性化に注力していたが、同社のシステム及び体制が整ってきたことから、耐震性の高い木造住宅のさらなる普及に向けて、新規登録店の獲得強化を図っており、2021年3月期には約50社を加え546社となった。 なお、国土交通省は2020年3月1日に改正建築士法(施行規則第21条関係)を見直しており、木造2階建てで延べ面積が500m2以下の4号建築物(4号建物)ではこれまで義務づけられていなかった構造計算等に係る図書についても15年間保存することが義務づけられた。これにより木造住宅も構造計算が前提となることから、設計事務所や工務店などは今後、業務継続の上で大きな課題となることが予想される。一方で、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化してきた同社にとっては、収益拡大につながる事業環境になると弊社では考えている。 2. 木構造デザイン 同社は2020年2月、木造プレカットCAD開発トップシェア(60%以上)のネットイーグルとSE構法以外の構法も扱う大規模木造建築(非住宅)分野の構造設計事業について業務提携し、合弁会社である木構造デザインを設立している。 まず、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2010年10月に施行されたが、これは木造率が低く今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞って、国が率先して木材利用に取り組むほか、地方公共団体や民間事業者にも国の方針に即して主体的な取り組みを促し、住宅など一般建築物への波及効果を含め、木材全体の需要を拡大することをねらいとしている。一方で「建築基準法」では構造計算によって安全性を確かめる必要がある建築物として、以下のように定めている。 木造の規模(階数または延べ床面積) (1) 住宅などの木造建築物で階数が3以上のもの。 (2) 住宅などの木造建築物で延べ床が500m2超のもの。 (3) 住宅などの木造建築物で建物の高さが13m超のもの。 (4) 軒の高さが9m超のもの。 この規定に当てはまる建物は構造計算をしなければ建築できないということになる。 しかし、住宅以外の木造建築物へ対応する構造設計者が少なく、プレカットなど生産側との連携においても課題が上げられており、非住宅木造建築市場への普及と成長を鈍らせているのが現状である。こういった現状を背景に同社は、木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグルと合弁会社である木構造デザインを設立している。合弁会社の設立により、両社のシナジーが見込まれるほか、SE構法以外の非住宅木造建築物の構造設計と生産設計を扱うことになるため、非住宅木造市場をけん引する役割が大きい。 非住宅木造建築物のニーズの高まりと市場の成長に反して、対応できる構造設計者が少ないこと、構造設計された図面どおりに正しく製造工場に情報を受け渡すことができない現状において、構造設計の際にコストと施工のコンサルティングが同時にできることは、クライアントにとっては大きなメリットとなる。プレカット工場に対して図面通りに正しく製造加工できるよう、構造設計と連動したプレカットデータとして最適な生産設計を提供することで、多種多様な物件に対して、オンリーワンのワンストップサービスを提案することができるため、木構造デザインの設立による効果は相当強みになるだろう。 また、「新しい大規模木造建築のマーケット」によってネットイーグルのクライアントである全国400社のプレカット工場に新たな需要が生まれ、木造住宅を施工している546社の同社の登録施工店にも新たな市場を提供するため、ネットイーグルとはWin-Winの関係だ。同社が供給してきた住宅25,000棟以上で構築した優位性を活用することにより、構造設計システムを大規模木造へとシェアを拡大することが可能であり、SE構法だけではなく、CLT工法、集成材工法、在来軸組工法など適切な工法を用いることで、工法単体だけではなく、木構造全体のソリューションを目的とした会社への成長が期待されよう。 さらに、2020年10月には大規模木造建築市場のゼネコン・設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初のマッチングプラットフォーム事業を開始した。これにより、構造設計サポートと加工サポートに加えて、プレカット工場ネットワークの組成により生産体制を整備するとともに、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行うことで、構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。構造設計サポートでは、建築物の用途・規模等に応じて工法提案(SE構法、在来軸組工法、2×4工法、集成材構造、CLT工法など)を行い、同社で培った25,000棟以上の構造計算ノウハウを他工法に転用し構造計算を行うことで、大規模木造建築市場でのシェア拡大を目指す。 なお、プレカット工場ネットワークの拡大により、木造非住宅物件の生産体制を強化しており、2021年3月期においては、全国の工場、大手18社と提携し、プレカット工場ネットワークを形成した。18社による供給量は、日本の全木材の加工高の14%以上に相当する(同社算出)。2022年3月期においても、このネットワークを30社まで増やす計画であり、木造非住宅物件の生産体制が一層強化されることにつながるため、同社の利益成長を加速させることになると弊社では考えている。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《AS》
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時価総額 2,813百万円
独自の木造建築用耐震設計システムをを工務店などに提供。建築部材販売や省エネ計算も。24.3期3Q累計は柱の住宅向けが足踏み。注力中の非住宅向けが好調も補えず。中計では26.3期に営業益6.5億円を目指す。 記:2024/04/10