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エヌ・シー・エヌ Research Memo(5):2021年3月期の営業利益、経常利益は過去最高を更新

2021/8/5 15:05 FISCO
*15:05JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(5):2021年3月期の営業利益、経常利益は過去最高を更新 ■業績動向 1. 2021年3月期の業績 エヌ・シー・エヌ<7057>の2021年3月期の業績は、売上高6,431百万円(前期比2.7%減)、売上総利益1,613百万円(同4.1%増)、営業利益282百万円(同23.3%増)、経常利益323百万円(同25.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益225百万円(同24.1%増)と減収増益での着地となった。大規模木造建築(非住宅)分野においてコロナ禍の影響により公共工事等の工期が大幅に延長したことが影響して減収となったが、業務効率化により減収分を補い、営業利益、経常利益は過去最高を更新した。また、新規登録施工店の獲得や生産性の向上により、売上総利益は2020年3月期、2019年3月期を上回った。 2. 事業セグメントとセグメント売上高 2021年3月期における住宅市場環境としては、2020年(1月~12月)の新設住宅着工戸数は81万5千戸と前年比9.92%減だった。コロナ禍に伴う営業活動の自粛の影響、2019年から続く消費増税の反動減の影響もあり、市場全体の受注環境も厳しい状況であった。2021年1月以降についても都市部においては緊急事態宣言が再度発出され、コロナ禍収束の目途が立っていない状況が続いている。このような経営環境のなかであったが、同社では新型コロナウイルス感染防止対策をいち早く講じ、リモート勤務体制の導入、ワークスペースの変更を行い、営業施策においては、YouTubeによるバーチャル展示場開設、リモートセミナーの積極的開催を行うなど、営業自粛の影響を最低限に抑えるべくコロナ禍における新たな営業活動を行ってきた。 このような経済環境のなか、木造耐震設計事業の売上高は6,069百万円(前期比3.7%減)だった。木造耐震設計事業における住宅分野の売上高は5,496百万円(同1.5%減)となっている。第1四半期は2020年4月以降、コロナ禍の影響を大きく受けたことにより売上高が大きく減少したほか、第4四半期においても緊急事態宣言発出の影響を受けた。一方で構造計算出荷数が8月以降順調に回復したことから、第2・第3四半期は前年同期を上回る実績となっている。同社は受注が行われると先に構造計算を行う。建物の構造計算が先に行われ、確認申請という作業を経て、後に構造加工品等の出荷を行う。住宅であれば「上棟(棟上式)」というものとなるが、その時に同社の売上が立つことになる。構造計算の出荷において、多くのハウスメーカー、工務店は自粛によって顧客と面談ができず、直接印鑑がもらえない状況に陥っていた。建築請負契約においては印鑑が必要であり、直接面談して説明しなければならない。また、構造計算の後に構造の出荷、棟上式となるが、現場としては非常に少人数で、感染症予防対策も十分に行いながら現場の進捗を図れることから、現在は回復している。そのため大手ハウスメーカーの売上高は前期比10%弱の減少であったと見られるなかで、同社は1.5%減での着地である。 大規模木造建築(非住宅)分野の売上高は573百万円(同20.4%減)と大きく落ち込んだ。2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されており、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加している。しかし、コロナ禍の影響により公共工事等の工期が大幅に延長している影響を受けた格好である。コロナ禍において延期や中止の動きは少なからずあるものの、一方で耐震性に対する重要性の観点から構造計算に対するニーズは高く、同社への相談件数なども増えていると考えられ、2021年3月期のマイナス分を取り返す受注獲得の可能性は十分あると弊社では考えている。 その他(開発・サポート部門)の売上高は361百万円(同17.0%増)だった。2021年4月より説明義務化となった住宅の省エネ性能に対し、省エネ計算結果データに顧客向けの解説を加えた「省エネルギー性能報告書」の発行による見える化を実現し、説明義務化に伴う需要拡大に対応した。時代のニーズが省エネルギー、脱炭素であることから2ケタの成長となった。 売上総利益は1,613百万円(前期比23.3%増)に増加した。売上高の減少による影響が34百万円あったものの、新たな登録施工店、ネットワークのパートナーの増加に加えて、いち早くDXの推進を加速させており、ITに対する積極投資を行ってきた効果が表れた格好だ。そのため、新規登録店の確保による利益増加が47百万円、設計業務の効率化による経費の減少効果が34百万円、資材差益の増加が17百万円である。 3. 財務状態 資産合計は5,103百万円となり、前期末に比べ390百万円増加した。これは主に現金及び預金が298百万円、無形固定資産が70百万円、投資有価証券が30百万円増加したことによるものである。負債合計は3,110百万円となり、同244百万円増加した。これは主に電子記録債務が139百万円増加したほか、預り保証金が48百万円増加したことによるものである。純資産合計は1,993百万円となり、同145百万円増加しており、主に利益剰余金の増加によるものである。これにより、連結ベースの自己資本比率は38.1%となっている。 キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは471百万円の収入となった。増加要因として税金等調整前当四半期純利益が313百万円、減価償却費が54百万円、仕入債務の増加85百万円、新規登録店預り金の増加40百万円によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは90百万円の支出となった。無形固定資産の取得による支出75百万円によるものだが、これはDXに対するシステム投資に向けたソフトウェアへの投資であり、その他にオフィスレイアウト費用11百万円の支出がある。同社は上場来、社内の顧客管理システムほか、多くのソフトウェアの投資を行っているが、2021年3月期においてもDXに対するシステム投資には一切余念がない。財務活動によるキャッシュ・フローは82百万円の支出となり、配当金の支払額83百万円によるものである。現金及び現金同等物は、前期末に比べ298百万円増加し、2,905百万円となった。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《AS》
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時価総額 2,813百万円
独自の木造建築用耐震設計システムをを工務店などに提供。建築部材販売や省エネ計算も。24.3期3Q累計は柱の住宅向けが足踏み。注力中の非住宅向けが好調も補えず。中計では26.3期に営業益6.5億円を目指す。 記:2024/04/10