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筑波精工 Research Memo(7):自動車のEV化は追い風だが、本格的な立ち上がりは2023年以降

2021/6/11 16:07 FISCO
*16:07JST 筑波精工 Research Memo(7):自動車のEV化は追い風だが、本格的な立ち上がりは2023年以降 ■中長期の展望 筑波精工<6596>の今後の成長は、1)自動車のEV化見通し、2)パワー半導体(IGBT含む)の需要動向、3)ウエハ薄型化・大口径化の見通し、といった自動車のEV化を中心とした3つの要素がポイントと言える。 自動車EV化に向けた動きについて、経済産業省「第2回モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」資料によると、日本の電気自動車(EV)及びプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)は、2030年新車販売台数の20~30%(2019年新車販売台数の約20~30倍)とする普及目標を掲げている。欧州・中国においても自動車EV化の普及を目指し補助金政策を実施している。こうした動きから、自動車EV化への動きは今後も高まりを見せていくと予想される。また自動車EV化には不可欠な部品であるIGBT等のパワー半導体の需要も併せて伸びることになる。 半導体で使用するウエハは、発熱量を抑えるためにできる限り薄型化する必要があるが、IGBTについては電圧を縦方向に流す必要があるためウエハは電圧を流す縦方向を特に薄くする必要がある。さらにウエハを大口径化する動きもある。従来は6インチ(150mm)、8インチ(200mm)であったウエハを12インチ(300mm)に移行する動きが高まっている。メーカーにとっては径を大きくすることで1枚のウエハからより多くのデバイスを作成することにより生産効率を上げ1個当たりのコストを下げることが可能となるためである。さらに大口径化することで発熱の原因となるオン抵抗値を小さくするためにウエハは一段と薄くなっていく。このように薄型で大口径化するウエハを扱うには、吸着力が弱く吸着効果が長く持続しない他社の静電チャックでは半導体生産プロセスにおいて扱いが難しい。さらにウエハの薄型化・大口径化が進むと、従来の接着剤方式では溶剤が溶け出す恐れや剥離するリスクが高まる。したがって薄型化・大口径化されたウエハプロセス工程では電界を使った吸着保持方式を使う可能性が高く、既に一部のメーカーでは実装実験が行われている。そうしたことからも同社の静電チャックであれば、ウエハの扱いが容易となることから、今後受注が増加する可能性が高いと言える。 上記のような事業環境から、同社の先行きは楽しみでもある。しかしシリコンウエハの薄型化が進むためには、まだ乗り越えるべき課題・壁も多い。さらに自動車のEV化は確実に進むと見られるが、本格的にEV化が進むのは同社によると2023年以降と思われる。したがって、同社の業績が大きく浮上するのも2023年3月期以降と予想される。 ■株主還元策 まずは安定した業績確保が先決 同社はまだ発展途上の企業であり十分な利益を確保できていない。株主還元策はまだ先の話であり、まずは足元の利益をしっかり確保することが先決だろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《EY》