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テノックス Research Memo(3):売上の大半が建設事業、海外やコンサルティングも展開

2021/1/18 15:13 FISCO
*15:13JST テノックス Research Memo(3):売上の大半が建設事業、海外やコンサルティングも展開 ■事業概要 1. 事業内容 テノックス<1905>は基礎工事の中でも、特に高架橋などの土木構造物や建築構造物などにおける鋼管杭工事と柱状改良による地盤改良工事を得意としている。そして、様々な構造物や地盤、また施主の要望に対応するため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。子会社では、テノックス技研が同社とともに基礎工事に特化した建設事業を営んでおり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力を行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。売上高の大半がこうした建設事業セグメントで占められるが、ほかに土木建築コンサルティング全般等事業セグメントで複合技術研究所が土木建築コンサルティングを、その他の事業セグメントでは不動産賃貸事業などを行っている。 杭工事も地盤改良工事も多くの工法を用意 2. 建設事業 建設事業の中身は年度によって割合が異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による地盤改良工事が大半を占める。対象の構造物は、戸建て住宅から工場、物流倉庫、中低層ビル・マンションなど建築構造物、道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔など土木構造物で、目的は、建築物を支えるだけでなく、耐震力補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども含まれる。主な工法は、杭工事がTN工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法、地盤補強工法としてピュアパイル工法がある。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物だけを対象としているが、その他の工法は土木構造物にも利用される。以下に同社工法の詳細を示す。 (1) 主な杭工法 a) TN-X工法 油圧式の拡縮掘削ヘッドにより、杭先端部に最大2,400mmの根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭工法である。2005年に国土交通大臣認定を取得、大きな杭耐力を必要とする大型物流倉庫、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、杭先端部に大きい根固め球根を築造することで最大17,900kN※1の高い先端支持力を発揮すること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り工法採用のためf1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで低排土で施工が可能なこと、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどである。 ※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton ※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。 b) ガンテツパイル工法 地盤にセメントミルクを注入し地盤を攪拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を圧入するハイブリッドな合成杭による工法。特長は、大きな鉛直支持力を発揮するため少ない本数で基礎構造物を支えることができること、ソイルセメントの大きな先端支持力と鋼管の高い靭性という2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効利用して固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、それゆえ建設費の縮減や工期の短縮が可能なことなどである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設などに利用される。 c) NSエコパイル工法 鋼管の先端に螺旋状の鋼板(羽根)を溶接した杭を、全周回転式杭打ち機や自走式小型杭打ち機などで木ねじのように回転圧入する工法。特長は、無排土工法で環境に優しい上、先端羽根の拡底効果による支持力と引き抜き抵抗、逆回転による容易な引き抜き、豊富な口径や施工機械のラインアップ、狭隘地・空頭制限下・構造物近接における高い適用性などにある。 d) ATTコラム工法 ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中に、羽根付き鋼管杭を埋設したハイブリッド杭による工法。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな摩擦力と高い靭性で、地盤によっては一般工法の4倍の水平支持力が発揮されること、支持力が大きいため杭本数を少なくできること、後述するテノコラム工法を併用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。摩擦杭やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用される一方、繁華街の中低層建築物や歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用でき、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応している。 (2) 主な地盤改良工法 a) テノコラム工法 スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に攪拌混合することで築造されるソイルセメントコラムを利用した工法。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、サイズ・重量とも幅広いラインアップで施工仕様や現場条件に合わせられること、施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音で地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなど。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として利用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。 ※セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。 b) ピュアパイル工法 セメントミルクを吐出しながらロッドを引き抜くことで、土の混入のない高品質なセメントミルク柱を築造する戸建て住宅用の工法。特長は、土とセメントミルクを攪拌しないので腐植土層や粘性土層など地盤の種別によらず高い支持力を発揮すること、施工管理が容易で残土がほとんど出ないため短工期かつ低コストであることなどである。戸建て住宅を中心に5万件を超える実績を誇る。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《ST》
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時価総額 8,083百万円
基礎工事大手。パイル工事、地盤改良・補強工事、杭打工事など建設工事請負を展開。テノコラム工法など多くの特許工法が強み。北海道新幹線の延伸事業の複数区間で杭工法が採用され拡大。人件費増などをこなす。 記:2024/09/26