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新晃工業 Research Memo(1):コロナ禍の影響を脱し、中期的に利益を維持拡大へ
2020/11/17 15:41
FISCO
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*15:41JST 新晃工業 Research Memo(1):コロナ禍の影響を脱し、中期的に利益を維持拡大へ ■要約 1. 空調機器のトップメーカー 新晃工業<
6458
>は、大型オフィスビルなどのセントラル空調システム向けに、空調機器を製造販売している。主力製品は、空気調和機(AHU:Air Handling Unit)※1、ファンコイルユニット(FCU:Fan Coil Unit)※2、中型ビル向けの戦略商品であるヒートポンプAHUで、空調機器のトップメーカーとして高いシェアを誇っている。空調機器業界の需要動向は建設業界の動きに影響される。このため2021年3月期は、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリ・パラ)特需の踊り場に入ったところに、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)が重なり、厳しいスタートとなった。しかし、首都圏における駅前再開発プロジェクトや大阪・関西万博、更新投資・メンテナンス投資も期待されており、中期的には業界環境の改善が期待されている。 ※1 空気調和機(AHU:Air Handling Unit): フロア全体を空調する大型の空調機器。送風機や熱交換器(コイル)、フィルタ、加湿器などで構成 ※2 ファンコイルユニット(FCU:Fan Coil Unit): 各部屋を空調する小型の空調機器。送風機、熱交換器(コイル)、フィルタで構成。 2. 施主・設計事務所からも頼りにされる存在 同社は、最先端の技術を取り入れた高効率の空調機器を豊富なラインアップで製造販売を行うだけでなく、施主・設計事務所の意向や建物・施設の特性、設置場所の事情に応じ、オーダーメイドでの提供も行っている。風量や熱処理量、清浄性、静音性など、求められる仕様が異なるため、同じ建物でも1台ごとに求められる仕様が異なる。このため、部材の調達や生産量を安定させることが難しいが、同社は建物の計画段階から設計を行うことができるため、情報を早期に獲得することで需要予測を可能にしている。さらに、これまで数多く製造・納入したオーダーメイド製品による現場経験の蓄積や、設計、製造、販売、メンテナンスを自社内で行ってきたことにより、メンテナンスや故障などのトラブルにおいて、迅速な対応ができることも同社の強みである。このため、施主・設計事務所からも頼りにされる最大の差別化要因になっている。 3. 「SIMA」プロジェクトなどの経営戦略で生産性向上を目指す 現在の事業環境を考えると、ここ1~2年は厳しい環境が続きそうだ。しかし、持ち越し案件や駅前再開発プロジェクトの開始などもあり、先行きは単に厳しいだけというわけではない。このため同社は、子会社合併などによる生産性・品質の向上、紫外線で細菌やウイルスを除去する「健康空調」など技術深耕、海外事業の再構築、ダイキン工業<
6367
>との提携による新規領域への拡張など、経営戦略を策定して生産性と成長性の向上を図っている。この中で注目されるのが、生産性向上を目的とした「SIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)」プロジェクトである。同社は「SIMA」プロジェクトにより、強みの手厚いサービスの高効率化を進める考えである。今後ベテランの退社や人手不足が急速に進行することが予測されることから、社運をかけて数年内で実現する意気込みである。 4. 中期的に業況は回復へ 2021年3月期第1四半期の業績は、売上高7,214百万円(前年同期比22.7%減)、営業利益660百万円(同54.6%減)となった。コロナ禍の影響などにより、空調機器の販売数量が減少したことが苦戦の要因である。一方で景況感に改善の兆しも見え、特にコロナ禍の影響は下期へ向けて少しずつ小さくなっていくと考えられている。このため同社は、2021年3月期通期の業績を売上高38,300百万円(前期比13.5%減)、営業利益4,950百万円(同45.1%減)と減少幅の縮小を見込んでいる。中期的に、国内の空調機器の需要はおおむね横ばいと言われている。海外は、東南アジアとインドはいまだ回復の見込みが立たないが、中国が順調に回復しつつある。以上を考慮すると、「SIMA」プロジェクトなど経営戦略を着実に実行することで、シェアの拡大や新規領域への拡張、生産性の向上が図られ、同社の利益は中期的に維持拡大していくことが予想される。 ■Key Points ・早期情報の獲得による需要予測や工事現場での柔軟かつ迅速な対応が強み ・「SIMA」プロジェクトにより手厚いサービスを高効率化する考え ・中期的に需要は回復基調での推移が予想され、利益を維持拡大へ (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《EY》
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