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シンバイオ製薬 Research Memo(6):20年12月期2Q累計は2ケタ減収も、黒字化に向けた体制の構築は完了

2020/10/14 15:06 FISCO
*15:06JST シンバイオ製薬 Research Memo(6):20年12月期2Q累計は2ケタ減収も、黒字化に向けた体制の構築は完了 ■業績動向 1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要 シンバイオ製薬<4582>の2020年12月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比32.1%減の1,360百万円、営業損失で1,839百万円(前年同期は2,015百万円の損失)、経常損失で1,883百万円(同2,069百万円の損失)、四半期純損失で1,884百万円(同2,069百万円の損失)となった。 売上高は前期から続いているアステラス製薬<4503>の欧州子会社(アステラスドイツ)から輸入した製品における不良品問題(異物混入・外観不良)が改善せず、出荷量が限定されたことが減収要因となった。同社はアステラス製薬に対して根源的原因の再調査と、品質問題の改善を強く要求している。また、品質不良によるリコールを未然に防ぐために、輸入後の検品体制を強化(目視検査を2倍に増加)しており、原価率の悪化要因となっている。同社では品質問題に起因した売上総利益への影響額は約2.7億円の減少要因になったと試算している。なお、品質不良により販売不能と判断した製品について、たな卸資産評価損として68百万円計上している(前年同期は187百万円を計上)。 販管費については前年同期比14.7%減の2,169百万円となった。このうち研究開発費については、「トレアキシン(R)」や「リゴセルチブ」の臨床試験費用が減少したことにより、同13.4%減の833百万円に、その他の販管費は採用凍結を含む経費削減に取り組んだことで、同15.5%減の1,336百万円とそれぞれ減少し、結果、営業損失は前年同期から175百万円縮小する格好となった。 なお、同期間におけるエーザイの「トレアキシン(R)」の売上高は前年同期の34億円から35億円と若干増加しており、「トレアキシン(R)」の最終需要に関しては堅調に推移していることがうかがえる。エーザイ向けに関しては2020年12月に販売契約が終了し、自社販売体制に移行することになる。自社販売体制の構築については、2019年から準備を進め、2020年12月期第2四半期において完了している。自社流通体制構築の一環として、同社は、スズケン<9987>及び東邦薬品(株)(東邦ホールディングス<8129>連結子会社)と、医薬品の売買に関する取引基本契約を2020年9月7日に締結し、2社を総代理店としている。 営業人員に関しては、血液疾患領域において高い専門性を持つMR51名とRSM(地域セールスマネージャー)6名の57名体制とし全国を6ブロックに分けて配置し、マーケティング人員としてKAM(KOL重点管理マネージャー)1名、HE(ヘマトロジーエキスパート)4名の合計62名を採用した(うち、約6割は契約社員)。また、営業人員に関してはRTD製剤や再発・難治性DLBCLの適応拡大の承認に迅速に対応できるようにするための研修も完了している。そのほか、自社流通・物流体制(物流拠点は東日本と西日本で各1拠点)の整備や基幹業務システムの導入、コールセンターの設置についても完了しており、2020年12月の契約終了後、垂直立ち上げできる準備を完了している。同社では今回の営業体制について、業界の中でも特に専門性の高い組織を構築できたと評価しており、2021年以降の売上拡大と利益率向上に寄与するものと期待される。 2020年12月期の損失額は期初計画から縮小 2. 2020年12月期業績見通し 2020年12月期の業績見通しについて、同社は9月17日に修正発表を行った。売上高で前期比7.2%増の3,043百万円、営業損失で4,592百万円(前期は4,301百万円の損失)、経常損失で4,656百万円(同4,376百万円の損失)、当期純損失で3,796百万円(同4,376百万円の損失)と、売上高について期初計画を下方修正したものの損失額については縮小する見通しとなった。 売上高については仕入れ先工場における品質問題が長引いており、期初計画から下回るものの、検品体制の強化によって上期の1,361百万円から下期は1,682百万円へと回復する見通し。国内における「トレアキシン(R)」の需要は季節要因により下期に偏重する傾向にあることに加えて、下期は海外向けで2億円程度の比較的まとまった規模の販売が見込まれていることが要因となっている。 第2四半期までの売上高の進捗率は44.7%とやや低いものの、検品体制の強化により売上高は第1四半期の551百万円から第2四半期は809百万円と増加しており、第3四半期以降も同様の取り組みを行うことで、回復トレンドが続くものと予想される。また、下期は海外向けで2億円程度の比較的まとまった規模の販売が見込めることも、計画達成が可能と見る根拠となっている。ただ、売上総利益率に関しては期初計画の33.7%を下回る可能性が高い。第2四半期累計では検査体制を強化したことで24.2%と直近3年間の平均である約30%の水準を大きく下回ったが、下期も品質問題が改善しなければ現状の検査体制を維持する可能性が高いためだ。同社では、前期から2020年12月期第2四半期までの累計で品質問題に起因するコスト負担増が約7億円発生したとの認識であり、今後、アステラス製薬に対して何らかの補償を求めていくことも検討している。 一方、費用面について第2四半期までの進捗率は、研究開発費で36.9%、その他の販管費で40.8%となっている。研究開発費については下期に「トレアキシン(R)」の液剤タイプとなるRTD製剤の販売承認によるマイルストーン支払い500百万円を見込んでいるが、当初予定していた国内での「BCV」の臨床試験が開発方針の変更により無くなったため、期初計画の2,731百万円を下回る2,260百万円に引き下げた。また、販管費についても引き続き経費抑制に取り組んでいくことから期初計画の3,504百万円を下回る3,276百万円に修正した。 さらには、同社が2017年10月にメディシンズに対して、自己疼痛管理用医薬品「SyB P-1501」に関するライセンス契約不履行があったとして損害賠償を求める仲裁を国際商業会議所に申し立てていた件※について、2020年7月に仲裁の決定が発表された。内容は、同社が主張してきた損害賠償請求が認められなかった一方で、仲裁手続きにかかる弁護士費用を含めた諸費用の50%をメディシンズ側が同社に支払う旨の決定がなされた。この後、9月1日に最終判断がなされ、メディシンズ側が同社へ495万米ドルを支払うことで決着した。これら諸費用の受け取りと、研究開発費や販管費の絞り込みもあって、損失額については期初計画から縮小する修正を行うこととなった。 ※2015年10月に短期術後急性疼痛管理用医薬品のライセンス契約を締結したが、同製品の事業の継続性に同社が懸念を抱く事象が生じたため、患者の利益を最優先する観点から2017年4月より臨床試験の新規症例登録を一時的に中断した。その後、2017年10月にメディシンズによるライセンス契約不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドルの支払いを求める仲裁を国際商業会議所(ICC)に申し立て、メディシンズが欧米市場で同製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を同社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨を仲裁で主張し、ライセンス契約について解除した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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