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GTS Research Memo(3):バイオ新薬、バイオシミラー、新規バイオ事業の3つの領域で事業を展開(1)

2020/8/7 15:13 FISCO
*15:13JST GTS Research Memo(3):バイオ新薬、バイオシミラー、新規バイオ事業の3つの領域で事業を展開(1) ■会社概要 2.事業内容 ジーンテクノサイエンス<4584>は、2019年3月期より企業体としての新たなステージを指すGTS3.0「バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニー」を目標に掲げ、これまでの事業活動で培ってきたバイオ技術に関するノウハウと知見を生かしてバイオ新薬事業、バイオシミラー事業を展開しているほか、新たに子会社化したセルテクノロジーや日本再生医療が持つ再生医療分野の技術等を生かして新規バイオ事業の育成にも注力し始めている。開発ターゲットとする疾患は、従来取り組んできたアンメット・メディカルニーズの強い希少疾患、難病に加えて、小児疾患を重点ターゲットと定めている。 (1) バイオ医薬品の特徴とバイオシミラーについて バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えや細胞融合などの高度なバイオテクノロジーを活用して作られた医薬品を指す。元々、人間の体内にあるタンパク質を使って医薬品化するため、からだに優しい。また、バイオ医薬品の一種である抗体医薬品は、ヒトの持つ免疫機能を応用し、疾患部分に直接作用するため副作用のリスクも少ないといった長所を持つ。 一方で、一般的な医薬品(低分子化合物)が分子レベルの化学合成によって大量生産されるのに対して、バイオ医薬品は遺伝子組み換え技術や細胞培養・精製技術を用いて大量の微生物や細胞を培養し、それらを合成させ精製することから、開発費や量産用の製造設備コストの負担が大きく、また、生物製剤であるため、使用期限も一般的な医薬品に対して短く、薬価も総じて高価なものが多いといった課題もある。 一般的な医薬品には新薬として開発された先発品と、先発品と同一の分子構造の化合物を医薬品化した後発医薬(ジェネリック医薬品)があるのと同様に、バイオ医薬品も後続品となるバイオシミラーがある。ただ、バイオシミラーの場合、先行品に対してタンパク質自体は同一で薬効、安全性等は変わらないものの、タンパク質に付加される糖鎖などに微妙な差異があるため、完全に同一なものはできない。このため、先行品に類似したものを製造するために独自で製法を確立し、物理化学的なデータを積み重ね、同等性と同質性を証明する必要がある。また、臨床試験においては安全性や有効性などの同等性試験が必要で、これらを満たして初めて製造販売承認が取得できる。このため、バイオシミラーの研究開発費は一般的なジェネリック医薬品と比較して格段に大きくなる。 バイオシミラーの薬価に関しては先行品の約70%で設定されるため、いかに生産性の高い製造プロセスを確立できるか、また、高産生細胞株を開発できるかが、バイオシミラーを商用化していくうえでは重要な要素となる。特に、製造プロセスを確立するためのノウハウや開発品の特性・品質を解析するノウハウを持つ企業は国内では少ない。同社はバイオ医薬品に特化して、10年以上にわたる研究開発を進めてきた蓄積があり、バイオシミラーの領域においては国内でもトップクラスの開発ノウハウを持つ企業として位置付けられる。 なお、バイオ新薬とバイオシミラーを比較した場合、研究着手から上市までの期間は新薬が15~17年、バイオシミラーが6~8年程度となる。新薬の場合は、創薬ターゲットの探索(機能解析)で2~3年、医薬候補化合物のスクリーニングで2~4年の期間を要するほか、非臨床から臨床試験に至るまでの期間も長期間を要するためだ。研究開発費の規模は新薬が500~1,000億円程度であるのに対して、バイオシミラーは50~100億円程度と1割程度のコストとなる。また、開発から上市に至るまでの成功確率も新薬と比較して格段に高くなる。同社のようなバイオベンチャーにとってバイオシミラーは事業効率の高い領域とも言える。 ただ、先行バイオ医薬品と有効成分、原薬、添加物、製法などが全く同じ後続バイオ医薬品(以下、バイオセイム)が2018年に国内で初めて製造販売承認を取得しており、バイオセイムの販売がバイオシミラーに与える影響が懸念されている。協和キリンフロンティア(株)が2018年8月に製造販売承認を取得した「ダルベポエチンアルファ注シリンジ『KKF』」がそれで、親会社の協和キリン<4151>が開発・販売する「ネスプ」のバイオセイムとなる。先行品を販売する企業の子会社がバイオセイムを販売することは、その価格水準によってはバイオシミラー企業の開発意欲を削ぐことになりかねない。バイオシミラーは先行品に対して、価格面での優位性(先行品の約70%)を生かして販売収益を拡大していくモデルだが、バイオセイムが同じ価格で販売されてしまえば、価格面での優位性が無くなってしまうためだ。実際、「ダルベポエチンアルファ」はバイオセイムとバイオシミラーで同じ価格水準で設定され、また、バイオセイムが5ヶ月先行して販売されたこともあって、バイオシミラー各社の販売高は当初の計画を下回った。 今回の状況を受け、バイオセイムとバイオシミラーの位置づけについて、規制当局において改めて協議が進められると思われるが、基本的にバイオシミラーとバイオセイムが同等条件であれば、事業性の観点からバイオシミラーを開発する企業が少なくなると予想される。それは結果的に、既にひっ迫している医療財政に対しバイオシミラーの使用でコスト削減を行おうとする医療財政の改善効果を阻害することにつながりかねないことから、バイオシミラー使用促進に対する何らかのインセンティブの施策が必要であると弊社では考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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医療用医薬品メーカー。キリンHDの子会社。がんや腎、免疫、中枢神経の分野で抗体医薬品や低分子医薬品等の医療用医薬品を開発する。富士フイルムと提携。23年12月期は国内が足踏みも、海外が堅調に推移した。 記:2024/04/14
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バイオ後続品やバイオ新薬を手掛ける北大発のバイオベンチャー。歯髄幹細胞の特徴を活かした再生医療にも注力。24.3期3Qは業績苦戦。一部バイオシミラー製品は納品が期ずれの可能性。GBS-010は製造順調。 記:2024/02/25