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カドカワ Research Memo(10):2023年3月期の経営数値目標は、売上高2,400億円、営業利益150億円

2020/7/16 15:50 FISCO
*15:50JST カドカワ Research Memo(10):2023年3月期の経営数値目標は、売上高2,400億円、営業利益150億円 ■KADOKAWA<9468>の中期経営戦略について 3. 経営数値目標と個別戦略 (1) 経営数値目標 2023年3月期の経営数値目標として、売上高2,400億円、営業利益150億円、営業利益率6.3%を掲げている。「基幹事業の規模拡大」×「ESG/SDGsを意識した経営」×「収益力の向上」に取り組むことで目標を達成していく考えだが、2021年3月期は新型コロナウイルスの影響が出ること、所沢新工場の稼働が数ヶ月遅れることなどから、2021年3月期業績予想の開示と合わせて、最終年度の数値目標も多少修正する可能性がある。 当初の中期経営計画では、売上高の増収分は出版事業と映像・ゲーム事業で大半を占め、Webサービス事業については保守的に見ていた。また、2020年11月の「ところざわサクラタウン」のオープンによって、インバウンド事業(各種イベント収入やホテル事業など)が立ち上がる見込み。一方、利益面では2021年3月期に利益が一時的に落ち込む可能性がある。新工場の稼働や「ところざわサクラタウン」のオープンで減価償却費が増加するほか、新型コロナウイルスの影響も想定されるためだ。 出版事業については減価償却費の増加分を「返品率」低下によるコスト削減効果で相殺するほか、電子書籍・電子雑誌事業や版権収入の成長により、2023年3月期の営業利益率は2020年3月期の5.3%から上昇すると見込んでいる。同様に、映像・ゲーム事業についてもグローバルIPの成長やオリジナルゲームの拡大、アニメの版権収入拡大により、営業利益率で2020年3月期の7.0%から引き上げていく。その他事業についても、教育事業の拡大やインバウンド事業の本格化による赤字縮小、eスポーツ事業の収益化等により、2023年3月期には黒字化を目指している。 (2) 個別戦略 a) 出版事業 出版事業の重点戦略として、ボーンデジタルとUGC(User Generated Contents)の強化(カクヨムロイヤルティプログラム等)、紙以外発の新規IP創出(Vtuber、WEBTOON※の開発、映像やゲームの原作開発)、海外現地制作及び海外企業との合作推進、電子書籍展開/世界展開(コミックの世界同時立ち上げ、ブックウォーカーの世界展開)等を推進していく。 ※WEBTOONとはデジタルコミックの一種。 b) 映像・ゲーム事業 映像・ゲーム事業の重点戦略として、グローバル作品の開発(グローバル人材の招聘やグローバル企業との連携)、海外OTT※との連携(大型ライセンスや共同制作、自社アニメスタジオの設立/出資等)、海外マーケティング強化(新規海外拠点設立、マーケティング人員強化)、アニメとゲームの連動(アニメIPゲームの開発等)に取り組んでいく。 ※OTT(Over the Top)とは、動画・音声などのコンテンツをインターネットで配信するサービスプロバイダーを指す。 c) Webサービス・その他事業 その他では、製販文化発信一体型施設となる「ところざわサクラタウン」の立ち上げ、リアルイベント&グッズ展開(グローバル展開を視野に入れた企画開発、複合型エンタテインメントショップ「アニメデッキ」や「ハレスタ」などの顧客接点強化)、Webサービスのファンコミュニティ強化(「ニコニコチャンネル」拡大等)、新たなデジタル体験の取り組み(教育事業の成長、サブスクリプションサービスの開発等)に注力していく。 ■ESG/SDGsの取り組みについて 同社ではESGやSDGsを意識した経営にも取り組んでいる。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という、企業が長期的な成長を実現していくために取り組むべき3つの要素の頭文字をとったもので、最近では機関投資家の間でも企業投資の際の評価基準としてESGへの取組状況を見るケースが増えている。またSDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)という、持続可能な社会を実現していくために必要となる17の開発目標の略称で、2015年の国連サミットで採択された。テーマは貧困問題や健康、教育、エネルギー、環境など多岐にわたっており、これら開発目標の中から、自社の業容に合わせて該当する目標を設定し、どのように取り組んでいるかを明らかにする企業が増えている。 同社においてもSDGsの取り組みを推進しており、持続可能性に配慮した既存事業での取り組みとして、製造・物流改革による紙資源消費の抑制(→廃棄物の削減、森林・水資源の消費削減)、オンラインで学べるN高等学校等の取り組み拡大(→教育機会の提供、貧困の連鎖の排除)を挙げている。このうち、製造・物流改革による紙資源消費の抑制については、2020年11月以降に稼働予定の所沢新工場によって大きく推進できる見通しだ。同工場では製造・物流プロセスがデジタル化され、適時適量生産を可能にしているためだ。 SDGsに適合する新たな取り組みとしては、女性・海外出身者の役員への登用(→女性のリーダーシップ、機会均等の確保)のほか、所沢新オフィス+文化施設「ところざわサクラタウン」の開設(多様な働き方、地域経済や自然環境への配慮)が挙げられる。多様な働き方として、同社ではシームレスなワークスタイルの構築を進めている。2020年11月にオープンする所沢新オフィスでは、1フロアで2,600坪と国内有数のスペースを持つオフィスとなり、その機能として、創造力の深化やサスティナビリティ、BCP(事業継続計画)対応を挙げている。ゆとりあるオフィスと周辺環境、また、「ところざわサクラタウン」への来訪者との交流等によって創造力が育まれ、世界に向けたコンテンツの開発につながるものと期待される。なお、同社では2021年3月期中にSDGsに関する重点課題と達成すべき目標を設定し、推進していく予定にしている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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出版大手。旧KADOKAWAとドワンゴが経営統合して発足。映像制作やゲーム開発、グッズ販売なども手掛け、コアファンを抱えるIPを多数保有。出版セグメントで国内市場縮小の影響もあり、3Q累計は利益足踏み。 記:2024/02/09