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ダイナムジャパンHD Research Memo(7):航空機リース事業で3機のリースを開始

2020/7/15 15:57 FISCO
*15:57JST ダイナムジャパンHD Research Memo(7):航空機リース事業で3機のリースを開始 ■新規事業の動向 1.航空機リース事業 2020年3月期より新たに航空機リース事業が立ち上がっている。具体的なスキームは、ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の全額出資(資本金1億円相当、3月決算)により2018年12月にアイルランドに設立した子会社、Dynam Aviation Ireland Limited(DAIL)で展開している。アイルランドに設立したのは、アイルランドが国を挙げて航空機リース事業を支援しており、法人税率も低く設定されているためで、航空機リース事業の世界トップ15社(保有機数ベース)のうち14社がアイルランドに拠点を構えている。 事業モデルの特徴としては、“ナローモデル”と呼ばれる市場流通性の高い中型機に特化してリース事業を展開することにある。ボーイングの737型シリーズ、エアバスのA319・A320・321型が該当する。これらは航空会社の運用機体数でも、航空機メーカーの受注・受注残数の面でも、他のサイズの機種を圧倒しており、まさにボリュームゾーンと言える地位を占めている。この市場に特化することで、市場流通性を確保しつつ、経営リスクも抑えた事業運営行うことが可能となる。 同社は2020年3月期において合計3機の中古機を購入し、ブエリング航空(スペイン)、インディゴ(インド)にリースを開始した。いずれもLCC航空会社でインディゴに関してはインド最大規模の航空会社となっている。2020年3月期におけるリース収入は564百万円、リース原価は399百万円、費用面ではこれに銀行借入(11,221百万円)に係る支払利息が加わることになる。 リース事業においては、当初の購入価格、リース期間中のリース料収入、リース終了後の売却価格の3つの要素が確定して最終的に当該案件の収支が確定するという特長がある。それゆえ投資リターンの測定では内部収益率(IRR)という指標が用いられる。今回の3案件についてはいずれも現時点で同社が期待した通りのIRR(昨今の金利情勢から5~6%前後と推測)が実現できているものと思われる。 一方、今後の計画については当初、2022年3月期までに合計20機ほど購入し、世界の航空会社にリースをしていくことを目標にしていたが、新型コロナウイルスの影響が航空業界にも大きな打撃を与えていることから、当面は航空機の購入に関しても慎重なスタンスで臨むこととした。ただ、世界の航空機需要はいずれ回復すると見込んでおり、今後も航空会社の動向を注視したうえで、人気があり価格も安定しているナローモデルの航空機を中心に商談を進めていく方針としている。 ビデオスロット機のカジノへの導入がスタートするも、新型コロナウイルスの影響で立ち上がりには時間を要す 2. カジノ用ビデオスロット機事業の進捗状況 同社は新規事業の一環として、マカオのカジノ市場において、マスマーケット向けのビデオスロット機を投入することを目的に、機材の企画・開発に取り組んでいる。これは時間消費型ゲームで、パチンコの要素を取り入れたわかりやすいゲームというのが開発コンセプトとなっている。 実際の開発はマカオにおけるカジノ機の製造販売のライセンスを有するシンガポールのWEIKE GAMING TECHNOLOGY (S) PTE. LTD.(以下、WEIKE)と共同で開発を進めており、これまでに4機種がマカオのカジノ管理当局から認可を取得している。これら4機種についてはシンガポールでも認可申請中となっている。 また、2019年9月にマカオのカジノオペレーターと販売契約を締結し、同年11月よりLegend Palace Casinoで3機種各1台づつ(計3台)が試験導入されたほか、2020年1月からは別のカジノ施設でも10台が導入された。さらに、もう1施設導入の予定があったが、新型コロナウイルスの影響で先送りされる格好となっている。 今回の販売契約は試験的なもので、今後の稼働状況をみて“稼げるマシン”という評価がされれば、導入台数が飛躍的に拡大する可能性もあったが、ここでも新型コロナウイルスの影響が出ている。マカオのカジノ施設では2020年5月に入った時点では、非居住者の入場制限や1台おきの稼働となっている影響で、客数が前年比9割減と大きく減少しており、試験的に導入した機種についても評価が進まない状況となっている。このため、同社では客数が正常化し次第、ソフト替えを実施した上で試験稼働を開始し、カジノオペレーターからの評価を待つことにしている。 ビデオスロット機事業に関しては本格的な収益貢献が実現するまでしばらく時間を要すると弊社ではみている。試験導入したとしても顧客からの支持を得られなければ本格導入に至らないこと、また、ビジネスモデルとして、同社は企画開発だけで製造や販売ライセンスについてはWEIKEに依存する格好となっているため、本格導入が成就したとしてもどの程度の収益貢献インパクトがあるか未知数のためだ。カジノオペレーターとの間でレベニューシェアのような契約が実現できれば理想的だが、様々な規制もあるため、この点でも時間を要すると弊社では考えている。いずれにしても同社の新製品が“稼げるマシン”となることが最も重要であり、初号機の稼働・売上状況を見守りたいと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》