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Pウォーター Research Memo(2):宅配水市場の成長をけん引する存在。5つの強みで業界1位

2020/6/22 16:02 FISCO
*16:02JST Pウォーター Research Memo(2):宅配水市場の成長をけん引する存在。5つの強みで業界1位 ■会社概要 1. 宅配水市場とプレミアムウォーターホールディングス<2588>のポジション 宅配水とは、サーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで家庭や事業所などに宅配されるものを指す。2000年以降に普及が開始し、東日本大震災などの影響も追い風となり2012年頃までに急成長を遂げた。その後成長が鈍化した時期もあるが2015年以降成長軌道が回復し、2019年の市場規模は156,000百万円、2014年から2019年の5年間の年平均成長率は5.6%である。配送方式別に見ると、初期にリターナブル方式(容器を再利用)で市場が形成され、その後1WAY方式(容器を使い切り)がより成長してきた。2019年の市場規模はリターナブルで70,000百万円(前年比4,000百万円減)、1WAY86,000百万円(前年比6,000百万円増)であり、1WAY方式市場がリターナブル市場を上回っている。同社は1WAY方式を採用しており、1WAY市場の成長をけん引する存在だ。宅配水業界の同業他社としては、リターナブル方式を主とするナック<9788>のクリクラ事業、アクアクララ(株)がある。他社は業績を発表していないが、同社の保有顧客件数は宅配水業界で1位であり、2位と倍以上の差があると想定される。また、宅配水以外を含めた広義のミネラルウォーター市場においては、売上収益シェアで1位のサントリー食品インターナショナル<2587>、2位の日本コカ・コーラ(株)に次ぐ3位に位置付けられる。 5つの強み:「顧客純増」「水源分散化」「品質」「物流効率化」「設備投資による原価低減」 2. 同社の強み 同社の強みとして、(1)圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」、(2)水源分散化、(3)厳しい水質基準と品質管理、(4)地産地消による物流効率化、(5)無駄のない工場設備投資の5つを挙げることができ、これらが影響し合って好循環が生まれている。 (1) 圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」:テレマーケティングとWeb販売が成長 同社は宅配水市場の成長をけん引する存在であり、顧客獲得力がずば抜けている。その特長は、旧エフエルシーがデモンストレーション販売では国内トップクラスの実力だったことに遡る。顧客獲得方法は様々であるが、同社は大型商業施設や家電量販店、ホームセンターなどでのデモンストレーション販売で約6割の顧客を獲得している。同社専用のブースを期間限定で出展し、同社の従業員が対応。営業ノウハウやその教育もさることながら、従業員の育成とモチベーションを考慮して作り込まれた人事評価制度があり、能力を引き出す仕組みが充実している。また、近年成長が著しい販売チャネルがテレマーケティングとWeb販売である。特にテレマーケティングは3割以上の顧客を獲得する。具体的には不動産会社や家電量販店などとの委託契約により、入居後や大型家電購入後にサンキューコールを実施する。その際了承を得た顧客に対して宅配水を推奨する。新型コロナウイルスの影響で大型商業施設でのデモンストレーション販売は制約された期間があったが、テレマーケティングとWeb販売経由でバックアップする体制が整っている点も同社の強みと言えるだろう。 (2) 水源の分散化:全国5水源体制 同社は水の安定供給及び地産地消をねらいとして水源を分散する方針を取っている。富士吉田(山梨県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)、朝来(兵庫県)、北アルプス(長野県)の全国5ヶ所が稼働している。5つの自社専用の水源を持つことも業界では特異な存在である。水源を増やす難しさは、一定以上の顧客が確保できなければ工場の稼働率は上がらず製造コストが高くなってしまう点にある。その点で同社は保有顧客を増加させることができるため、工場稼働率を落とすことなく水源の開拓ができる。現在の5水源で最大175万ユーザーまで供給可能であり、中期経営計画で目指す2024年3月期の保有顧客件数目標141万件に対応できる体制が整っている。また、2016年の熊本地震の際に南阿蘇の供給がストップする事態があったが、ほかの水源から九州地方に配送する宅配水をバックアップで供給することができたことからも、分散化が災害時にも強いことを証明した。 (3) 厳しい水質基準と品質管理 同社はナチュラルミネラルウォーターの成分や安全性には独自の厳しい基準を設定している。ミネラルバランス、硝酸・亜硝酸値、水量などの厳しい基準をクリアできる水源は多くはないのが実情である。特に、硝酸及び亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。富士吉田工場では食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得。製造時には1時間毎に水質のチェックを行い、品質管理に万全を期している。 (4) 地産地消による物流の効率化 宅配水業界にとって、近年の物流費の上昇は大きな経営課題である。同社は1WAY方式の配送を行うため、複数の配送業者に配送を委託しており、売上収益に占める配送費の比率は24.6%(2019年3月期)に上る。配送業者からは絶えず値上げプレッシャーがあり、今後も更なる物流費上昇のリスクがある。同社が打ち出す1つの方向性が、「地産地消による配送距離の短縮」である。製造地と消費地が近ければ配送費も抑制できる。現在5水源体制となっており、南阿蘇工場から九州地方、金城工場から中四国地方、朝来工場から近畿地方と北陸地方の一部、富士吉田工場から東海地方より東(北海道除く)、北アルプス工場から北海道地方へそれぞれ配送する体制が整う。エリア内で、定期的にまとまった物量が確保できるため、トラックの積載効率も高くなり、物流費高騰を回避できる要因となっている。 (5) 無駄のない工場設備投資による原価低減 同社は、製造原価の低減にも取り組んできた。2016年からプリフォーム射出成型機を導入し、容器の内製化を行い、原価低減に成功している。この設備投資は約4億円。容器1本当たり20円削減を想定した投資だったが、大きな設備投資も商品の本数が少なければ、無駄な投資となってしまう。同社では初年度に1000万本出荷し、約1.6億円の利益向上を達成した。投資から3年目には投資回収し、利益を生み出し続けている。このように、顧客純増による出荷規模拡大は様々な面で好循環を生んでいる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《EY》
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9788 東証プライム
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