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ユニリタ Research Memo(5):2020年3月期は計画を上回る増収増益。自社開発のクラウドサービスが拡大

2020/6/4 15:05 FISCO
*15:05JST ユニリタ Research Memo(5):2020年3月期は計画を上回る増収増益。自社開発のクラウドサービスが拡大 ■決算動向 1. 2020年3月期決算の概要 ユニリタ<3800>の2020年3月期の業績は、売上高が前期比7.6%増の10,138百万円、営業利益が同16.7%増の1,073百万円、経常利益が同12.1%増の1,153百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同43.1%増の893百万円と計画を上回る増収増益となり、売上高は100億円を突破した。 売上高は、すべての事業が順調に伸長した。特に、注力する「クラウド事業」が、主力サービスにおける導入社数の拡大により大きく伸びるとともに、既存製品のクラウドサービス化にも取り組んだ。また、市場が成熟期を迎えている「メインフレーム事業」についても大型案件の受注により上振れる結果となっている。 損益面では、「クラウド事業」の大幅な損益改善に加え、利益率の高い「メインフレーム事業」の伸びにより、積極的な先行投資を行いながら大幅な営業増益を実現した。営業利益率も10.6%(前期は9.8%)に改善している。また、最終利益の伸びが大きいのは、相互持合いしている一部保有株式の売却を実施し、売却益187百万円を特別利益に計上したことが理由である。 財務面では、「現金及び預金」の減少や前述した保有株式の一部売却等により、総資産が前期末比4.5%減の14,731百万円となった一方、自己資本も自己株式の公開買付け(詳細は後述)により前期末比5.6%減の11,040百万円となった、その結果、自己資本比率は74.9%(前期末は75.9%)に若干低下した。 事業別の業績は以下のとおりである。 (1) クラウド事業 売上高は前期比25.8%増の900百万円、セグメント損失は33百万円(前期は153百万円の損失)とまだ先行投資の段階ながら、大幅な増収により損益改善を実現した。主力3サービスがデジタル・マーケティングを活用した販売手法の導入(受注サイクルの短縮化)などにより、導入社数を順調に伸ばした。特に、「LMIS」については、顧客のDXの取り組みが事業部ITへと広がるなか、統合的なサービスマネジメントプラットフォームとして提供したことが奏功。また、「DigiSheet」(SaaS型勤怠管理サービス)については、主力マーケットの人材派遣業界から他業界(建設業界等)への展開に成功したほか、AIなどの新技術を使ったサービス開発にも取り組んでいる。「らくらくBOSS」については、消費増税対応などに関わる業務効率化ニーズを取り込み、経費業務管理サービスが伸長した。したがって、クラウドへの需要拡大やDXへの対応ニーズが顕在化するなかで、新たな顧客層への拡充(事業部ITや他業界への展開等)や販売手法の導入を図ったことが業績の伸びをけん引したと評価できる。一方、導入期にある「infoScoop×Digital Workforce」についても、働き方改革推進を支援するリモートワーク基盤として、「安心」「安全」のセキュリティ機能を業界で初めて統合・実装化し、大手ユーザーの採用につながった。また、損益面では、導入期及び開発期にある新サービスへの積極的な先行投資によりセグメント損失が継続しているものの、主力3サービスの黒字化により大幅な収益改善を実現。特に、第4四半期だけを見ると既に黒字化を達成しており、収益基盤が着実に整備されてきたと評価できる。 (2) プロダクト事業 売上高は前期比6.0%増の3,050百万円、セグメント利益は同4.0%増の305百万円と増収増益となった。売上高は、「自動化製品」「ETL製品」「帳票製品」がそれぞれ好調であった。特に「帳票製品」が、基幹システム刷新に伴う帳票基盤の大型案件受注により大きく業績貢献したようだ。また、「自動化製品」についても、DXの潮流のなか、オンプレミスとクラウド上のシステムの組み合わせによるハイブリッド環境での運用自動化ニーズを取り込んだほか、「ETL製品」においては、製品特性を活かしたデータ移行、データ連携、パートナー協業モデルなどを推進し、プリセールス機能の強化、デジタルセールス活用による販売の効率化、パートナー販売などが奏功した。また、これまでの単品販売型からサブスクリプション型への転換に向けても、既存製品の一部機能(データ活用等)のクラウドサービス化などにおいて具体的な実績を示すことができた。損益面でも、新規事業(移動体系事業)等への先行投資を行いながら増収により増益を確保している。 (3) ソリューション事業 売上高は前期比8.3%増の2,186百万円、セグメント利益は同26.9%減の76百万円と増収ながら減益となった。売上高は、「プロダクト事業(自社製品販売)」の伸びに伴って、その後工程となる「技術支援サービス」が伸長するとともに、同社の強みであるシステム運用においても、顧客のデジタルビジネス展開に当たり、同社グループによる「コンサルティングサービス」のノウハウとソリューションの有用性が評価された。「アウトソーシングサービス」についても、顧客の業務効率化ニーズを取り込み大きく伸びている。ただ、損益面では、一過性の一部システム構築案件の収益悪化による影響や外注費の増加などが利益を圧迫した。 (4) メインフレーム事業 売上高は前期比7.7%増の2,222百万円、セグメント利益は同5.9%増の1,142百万円と増収増益となった。市場全体は緩やかな縮小傾向にあるものの、キャッシュレス政策(電子マネーの普及に伴うデータ処理量の増加等)が追い風となり、機器のグレードアップや継続製品サポートへのニーズなど需要面は安定傾向にある上、大型案件の受注が業績の伸びに寄与した。損益面でも、依然として高い利益率を維持している。 (5) システムインテグレーション事業 売上高は前期比1.8%増の1,778百万円、セグメント利益は同15.1%増の50百万円と増収増益となった。産業界の好調なシステム投資環境を受け、システム開発の受注が堅調に推移した。本セグメントを手掛ける無限とユニリタグループ各社との製品、サービス提供に当たっての協業も順調に進んでいるようだ。損益面でも増収により増益を確保した。 2. 2020年3月期の総括 以上から、2020年3月期を総括すると、計画を上回る増収増益を実現した業績面はもちろん、戦略的な施策においても、注力する「クラウド事業」が順調に伸び、新規サービスへの先行投資を行いながらも黒字化(本格的な利益貢献)への道筋が見えてきたところや、既存製品の一部機能をクラウドサービス化して提供する形が具体的に見えてきたところは、ビジネスのストック基盤の強化(サブスクリプションモデルへの転換)に向けて注目すべき成果と言えるだろう。また、足元での新型コロナウィルス感染拡大による影響を除けば、クラウドサービスを軸とした成長スピードに角度がついてきたところは、今後に向けてプラス材料と評価できる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《YM》
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