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アンジェス Research Memo(8):遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す

2020/3/19 17:16 FISCO
*17:16JST アンジェス Research Memo(8):遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す ■中期経営計画 アンジェス<4563>は長期ビジョンとして、「世界で認知される遺伝子治療・核酸医薬のスペシャリストとなること」、また、「治療法のない病気の新薬を実用化すること」の2点に取り組むことで遺伝子医薬のグローバルリーダーになることを目指している。 黒字化の時期に関しては現在の開発パイプラインの進捗状況次第となるが、米国でのHGF遺伝子治療用製品の開発に成功した場合には、数十億円規模のマイルストーン収益(既に受領した契約一時金含む)が得られる見通しとなっており、開発動向が注目される。 こうしたなかで同社は中期経営計画を新たに発表した。基本戦略として、1)「コラテジェン」の事業価値最大化、2)ポスト「コラテジェン」の育成、3)新規事業領域への展開を掲げ、その取り組みを強化していく方針となっている。 1. 「コラテジェン」の事業価値最大化 コラテジェンの国内戦略に関しては「潰瘍の改善」に関する市販化後調査を進め2024年の本承認と同時に、「安静時疼痛の改善」に適応拡大を図ることで、薬価の見直しを目指していく。また、米国ではRMAT指定制度を活用して早期の販売承認を目指し、米国の開発状況を見ながら欧州でも上市も目指していく方針となっている。日米欧以外の国や地域でも今後、導出活動を進めていく予定だ。さらには、適応症拡大のための基礎試験・臨床研究も今後推進していく。具体的には、強皮症、リンパ浮腫、難治性皮膚潰瘍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが候補となっており、安静時の疼痛緩和効果が見込まれている。 同社ではこうした戦略を進めることでコラテジェンの事業価値最大化を図っていく方針であり、2025年以降の売上高は本格的な拡大期に入るものと予想している。 2. ポスト「コラテジェン」の育成 コラテジェンに続く第2の柱を育成し、成長基盤の強化を図っていく。高血圧症を対象としたDNAワクチンや腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴなど現在、臨床試験を進めている開発品の早期POC取得と導出活動に注力していくほか、キメラデコイの早期プロジェクト化を目標としている。 また、Vasomuneとの共同開発品であるARDSを対象疾患としたTie2アゴニストに関しては、米国で2020年内の第1相臨床試験開始を目指している。研究開発費はVasomuneと折半する予定だ。 3. 新規事業領域への展開 「次の10年」を見据えた新規事業の展開にも取り組んでいく方針で、以下の領域において資本提携先との協業も進めながら、事業化を進めていく方針を打ち出した。 (1) 遺伝子診断事業 2019年8月に資本出資したBarcode(イスラエル)が持つ遺伝子診断技術※を用いて、がん患者一人ひとりに最も有効な抗がん剤を選択する診断技術の早期実用化に取り組んでいく。現在は複数の抗がん剤の中から患者に合うと思われる抗がん剤を臨床データや患者の状態から判断して投与するが、複数種類投与するケースもあった。遺伝子解析を行うことでより最適な抗がん剤の選択が可能となれば、患者負担が軽減するだけでなく医療費の削減にも寄与することになる。 ※Barcodeの診断技術は、患者に有効性が期待できる抗がん剤とDNAバーコードを封入したリポソームを複数製造し、多種類の抗がん剤をごく少量ずつ一度に患者に投与したのち、DNAバーコード量を測定することで、個々の患者に有効な抗がん剤を特定するというもの。マウスを使った実験で特定できることが確認されており、将来的に乳がん患者を対象とした臨床試験の実施を目指している。 2020年2月にはがん研究会と共同研究契約を締結し、早期の実用化に向けて協力していくことを発表している。がん研究会は、がんの新しい診断・治療法の開発において国際的にも評価の高い研究機関であり、がん細胞に対する抗がん剤の有効性データを数多く蓄積している。今後、Barcodeの診断技術の評価を行うとともに、実用化に向けた実験的検討を進めていく予定となっている。 また、遺伝子診断については、新生児の難病や希少疾患の早期診断にも取り組んでいく予定にしている。早期診断で疾患が判明すれば、早期に有効な治療を行うことが可能となり、治癒率の向上が期待できることになる。 (2) ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬の開発 Emendoの開発したゲノム編集の最先端技術となるOMNI(オムニ)技術を用いて重篤な遺伝子疾患を対象としたゲノム創薬を共同で進めていく。遺伝子治療薬の製法には、「コラテジェン」のように遺伝子導入のベクターとしてプラスミドを用いたもの、人に対して無害なウイルスをベクターとして用いたもの、ゲノム編集技術を用いたものと大きく3つの方式があり、このうちゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬に関してはまだ上市実績がない。 従来のゲノム編集では、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断することによって、標的とする遺伝子を改変するが、類似の部位を誤って切断してしまうこと(オフターゲット効果)で生じる標的以外の遺伝子の変化が、安全性の面で大きな問題となっていた。EmendoのOMNI技術では、特定の塩基配列のみを切断する高精度なDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)の開発を行っており、これにより安全性の高いゲノム編集が行えるだけでなく、類似した配列の制限を受けることなく、自由に標的配列の選択が可能になるといったメリットが期待でき、ゲノム創薬の開発効率向上に寄与する技術として同社では注目している。 Emendoが現在進めている開発パイプラインのうち、遺伝子疾患を対象としたものが複数品目あり、その中から共同開発を行う品目を選定すべく、今後協議を進めていく予定となっている。 (3) マイクロバイオーム事業 マイクロバイオームを用いた医薬品の研究開発が世界的に注目を集めており、同社も同領域のパイオニア企業であるMyBioticsと2018年7月に資本提携し、事業化の可能性を探索している。MyBioticsは現在、婦人科系の治療薬について欧州の大手製薬企業とライセンス契約を締結し、製品開発を進めているほか、感染症等の治療薬についての開発も進めている。 マイクロバイオームの働きは精神疾患に関係しているとの研究報告があるほか、健康食品やサプリメントとして開発が進む可能性があるなど潜在的な成長性は大きい。同社でも将来的にセルフメディケーションにつながる可能性のある事業として注目しており、2020年内に具体的な開発の方向性を決定する方針としている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SF》
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大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05