マーケット
5/10 15:15
38,229.11
+155.13
39,387.76
+331.37
暗号資産
FISCO BTC Index
5/10 16:36:41
9,846,487
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

ダイナムジャパンHD Research Memo(8):航空機リース事業が本格的にスタート

2019/12/25 15:08 FISCO
*15:08JST ダイナムジャパンHD Research Memo(8):航空機リース事業が本格的にスタート ■中長期成長戦略と進捗状況 2. 航空機リース事業の進捗状況 ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は2018年秋に新規事業として航空機リース事業に参入することを公表した(その詳細は2018年12月25日付レポート参照)。 具体的スキームは、組合を設立して他の投資家を募ることはせず、同社が全額出資子会社を設立し、当該子会社が単独事業として航空機リース事業を行う形式を採用している。この方針にしたがい、同社は2018年12月に同社の全額出資でDynam Aviation Ireland Limited(DAIL)をアイルランドに設立した(資本金1億円相当、3月決算)。アイルランドは国を挙げて航空機リース事業を支援しており法人税率も低く設定されている。その結果航空機リース事業の世界トップ15社(保有機数ベース)のうち14社がアイルランドに拠点を構えている。同社もその例にならったということだ。 事業モデルの特徴としては、“ナローボディ”と呼ばれる市場流通性の高い中型機を中心にリース事業を展開することにある。ボーイングの737型シリーズ、エアバスのA319・A320・321型が該当する。これらは航空会社の運用機体数でも、航空機メーカーの受注・受注残数の面でも、他のサイズの機種を圧倒しており、まさにボリュームゾーンと言える地位を占めている。この市場に特化することで、市場流通性を確保し、経営リスクを削減することを狙っている。同社はこれらの型式の中古機を、今後3年間で20機ほど購入し、世界の航空会社にリースをしていく計画だ。 20機に対応する投資総額は900億円を見込んでおり、300億円を自己資金、600億円を外部調達(ノンリコースローンが中心)という資金内訳を計画している。初年度分の自己資金として100億円を送金済みで既にリース事業を開始している。 これまでの進捗としては、2019年7月に第1号案件のリース契約締結・引渡しを完了した。さらに、2号案件が10月に引渡しを完了しており、2019年11月時点では2機がリースされている状況にある。今後も商談が進行しているもようだ。 リース先は、1号案件がスペインのLCCであるブエリング航空、2号案件がインド最大のLCCであるインディゴとなっている。契約条件や期待収益については同社が想定したとおりとなっているもようで、事業の収益性という点でも順調なスタートを切ることができたとみられる。リース事業においては、当初の購入価格、リース期間中のリース料収入、リース終了後の売却価格の3つの要素が確定して最終的に当該案件の収支が確定するという特長がある。それゆえ投資リターンの測定では内部収益率(IRR)という指標が用いられる。第1号案件、第2号案件共に、同社が期待したとおりのIRR(昨今の金利情勢から5~6%前後と推測)が実現できているもようだ。 航空機リース事業については、機体数が計画どおり20機まで積み上がった時点では年間の利益貢献が数十億円規模に達し、同社の業績に存在感のある規模の貢献をもたらすと期待される。 ビデオスロット機のカジノへの導入がスタート。当面はテスト運用という位置付けで、その結果が待たれる 3. カジノ用ビデオスロット機事業の進捗状況 同社は新規事業の一環として、マカオのカジノ市場において、マスマーケット向けのビデオスロット機を投入することを目的に、企画・開発に取り組んでいる。これは時間消費型ゲームで、パチンコの要素を取り入れたわかりやすいゲームというのが開発コンセプトとなっている。 実際の開発はマカオにおけるカジノ機の製造販売のライセンスを有するシンガポールのWEIKE GAMING TECHNOLOGY (S) PTE. LTD.(以下、「WEIKE」)と共同で開発を進めている。これまでの進捗状況は、2019年5月3日付で最終的にマカオ政府機関から認可を取得した後、2019年9月にマカオのカジノオペレーターと販売契約を締結し、11月30日より実際にカジノにビデオスロット機が導入開始、という状況にある。 今回の導入は試験的なもので、台数も30台程度にとどまっている。人気、稼働の状況をみて“稼げるマシン”という評価がされれば、カジノオペレーターによる購入台数が飛躍的に拡大すると期待される。 ここまで順調な進捗を見せているビデオスロット機事業であるが、本格的な収益貢献が実現するにはしばらく時間を要すると弊社ではみている。本格導入までテスト期間を経る必要があることが理由の1つだ。また、現行機種が人気を獲得できるかどうかは未知数で、ヒット作を生み出すまでさらに時間を要する可能性もある。 事業モデルとしては、カジノオペレーターとの間でレベニューシェアのような契約が実現できれば理想的だが、様々な規制もあるため、この点でも時間を要すると弊社では考えている。いずれにしても同社の新製品が“稼げるマシン”となることが最も重要であり、初号機の稼働・売上状況を見守りたいと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《MH》