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国内株式市場見通し:米6月CPI皮切りに週末まで重要イベント多く神経質な展開

2022/7/9 14:14 FISCO
*14:14JST 国内株式市場見通し:米6月CPI皮切りに週末まで重要イベント多く神経質な展開 ■景気後退を巡る緊張と緩和が相場を翻弄 今週の日経平均は週間で581.57円高(+2.24%)と反発。ただ、75日、13週、26週の主要移動平均線を下回った位置で終えた。 週初4日は米6月サプライマネジメント協会(ISM)が発表する製造業景況指数が予想以上に悪化したことで景気後退懸念が再燃している中ではあったが、前の週末にかけて3日続落し、26000円を割れていたこともあり、値ごろ感からの買い戻しが強まり、日経平均は218.19円高と反発。5日も269.66円高と続伸。米国による対中国関税の一部適用除外を巡る報道を背景にナスダック100先物が大きく上昇していたことが追い風となり、一時26500円を回復する場面もあった。 週半ば6日は315.82円安と反落。液化天然ガス(LNG)の急騰などを背景に欧州経済が深刻な景気後退に陥る懸念が強まり、商品市況が軒並み下落するなか、期近物のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物は1バレル=100ドルを割り込むなど急落。リスク回避の動きが強まるなか、日経平均は一時26000円割れを窺う水準まで下落した。 7日は382.88円高と反発。米6月ISM非製造業景気指数が予想を上回ったことで景気後退懸念が緩和したほか、6月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が想定内の内容にとどまったことで安心感が台頭。一方、中国に加えて日本国内でも新型コロナ感染が再拡大していることが嫌気され、リオープン(経済再開)関連が軒並み売られる動きもあった。それでも、木原官房副長官が行動制限について否定的な見解を示したほか、日銀の金融緩和継続に関する報道が伝わったことで相場全体は持ち直した。また、金利が安定して推移するなかグロース(成長)株の見直し買いが続き、韓国半導体メーカーのサムスンの好決算をきっかけに半導体関連株が買い戻されたことも相場に寄与した。 週末8日は午前と午後で様相が一変。午前は前の日の米株高や中国での景気対策の報道を背景に堅調スタート。朝方は上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りが意識され、こう着感を強めていたが、底堅さが確認されると、需給イベント通過後のあく抜けを意識した買い戻しで断続的にレンジを切り上げる展開に。日経平均の上げ幅は一時400円近くに及んだ。しかし、昼頃に奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が散弾銃で撃たれたとの報道が入ると一変。ヘッドラインに反応した機械的な売りなどが膨らんだようで、午後は上げ幅を縮める動きが続き、結局、26.66円高にとどまった。なお、7月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は概算値で 26659.58円だった。 ■週後半にイベント集中 来週の東京株式市場は神経質な展開か。イベントが多く、振れ幅の激しい展開が想定される。 米6月雇用統計では雇用者数と平均賃金が揃って予想を上回り、米経済の底堅さを確認。同時に金融引き締め強化が意識されたが、8日の米長期金利の上昇は限定的だった。雇用統計を無難に通過したことで週明けの東京市場は堅調に推移しそうだ。 来週の最大の注目は米6月消費者物価指数(CPI)だ。財・モノに関しては6月ISM製造業景気指数の入荷遅延や価格の項目の低下、ニューヨーク連銀のサプライチェーン圧力指数のピークアウト感から、インフレ沈静化の兆しが見られてきている。モノから移行してきた新たなインフレ主要因されるサービス分野についてはまだインフレ沈静化の兆しが見られておらず油断はならないが、6月CPIが予想並みにとどまれば、足元で改善してきている投資家心理が一段と改善し、相場の押し上げに寄与しそうだ。 そのほか、週末に集中する米中の6月鉱工業生産や小売売上高などの経済指標も注目される。中国では財政省が地方政府に対して今年下半期に1兆5000億元(約30兆円)相当の特別債発行を許可する方針と伝わるなど、景気浮揚策に関する報道が相次いでいる。ただ、一方で新型コロナ感染が再拡大しており、行動制限の再強化への懸念もくすぶっている。そのため、経済指標の結果次第で中国景況感の回復期待が強まるのか否かが左右され、注目度は高い。 日本時間で結果を反映するのは翌週となるが、景気後退懸念が加速している米国での週末経済指標も非常に注目される。上述した指標に加えて、5月、6月と連続で予想を下回ったニューヨーク連銀製造業景気指数の7月分は企業センチメントを図る指標として注目されよう。また、6月に過去最低を記録しているミシガン大学消費者マインド指数の7月分は消費者センチメントを占うと同時に、7月FOMCでの0.75ptの利上げに至った要因の一つでもある期待インフレ率の動向に注目だ。これらの指標結果を見極めたいとの思惑から、週末にかけては模様眺めムードが強まる可能性があろう。 また、週後半14日にはJPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーの4-6月期決算が発表される。個人や企業を巡るセンチメントが悪化しているなか、経営陣の先行きに対するコメントはかなり注目される。特にJPモルガンの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は6月1日に、経済の先行きについて「嵐が来るかもしれない」などと発言し、話題になった。今回の決算でのコメントもさることながら、貸倒引当金の積立額なども注目されよう。両社の決算結果は日本時間で週末15日に反映されるため、内容次第では週末に大きく様相が変わる可能性に留意したい。 ■グロースのリバウンド継続か、内需系にも期待 米金利の推移が落ち着いており、13日の米6月CPI直前まではハイテク・グロース株のリバウンドが継続する余地がありそうだ。また、国内では10日に参議院議員選挙の投開票が実施される。自民、公明の与党が改選過半数の議席を超えれば、この先3年間は国政選挙がないため、長期安定政権の誕生に繋がる。英国ではジョンソン首相が辞任を表明しており、政治の安定性は海外投資家から評価される可能性がある。参院選後には新たな補正予算の編成なども期待されてもおり、政策期待が内需系銘柄の押し上げに寄与することも見込まれよう。 ■工作機械受注、米中小売売上高・鉱工業生産など 来週は11日に5月機械受注、6月工作機械受注、12日に6月企業物価指数、13日に中国6月貿易収支、米6月CPI、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米6月財政収支、バイデン大統領、中東各国を歴訪(〜16日)、14日に米6月生産者物価指数(PPI)、15日に中国4-6月期GDP、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高、中国6月固定資産投資、米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米7月ミシガン大学消費者マインド指数、米6月小売売上高、米6月鉱工業生産、G20財務相・中央銀行総裁会議(~16日)などが予定されている。 《FA》