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来週の相場で注目すべき3つのポイント:ウクライナ情勢、米2月CPI、メジャーSQなど

2022/3/5 18:52 FISCO
*18:52JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:ウクライナ情勢、米2月CPI、メジャーSQなど ■株式相場見通し 予想レンジ:上限27000-下限25000円 来週の日経平均は神経質な展開か。ウクライナ情勢に翻弄される展開が続きそうだ。ロシア・ウクライナの停戦協議については、対話の継続が決まっているが、ロシアのプーチン大統領は依然としてウクライナの「非武装化」及び「中立化」を求めており、西側諸国との距離は埋まらない。また、プーチン氏は軍事作戦の目的を必ず遂行すると強硬姿勢を強調してもいる。先行きは読みにくく、相場がウクライナ情勢を織り込み済みとして消化することは困難と考えられる。 米2月雇用統計では平均賃金の伸びが横ばいと予想に反して鈍化したが、ロシアへの経済制裁を通じた供給網混乱への思惑から、幅広くエネルギーや食品の価格が高騰している。バイデン米政権はロシア産原油の輸入禁止を検討しているとも伝わっており、インフレ懸念は強まるばかり。各国中央銀行による金融政策の舵取りを難しくするうえ、企業の仕入コスト増加や個人消費の停滞など、実体経済への影響が懸念される。 西側諸国は経済制裁として既にロシアの一部の銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除。ただ、エネルギー輸入においてロシアへの依存度が高い欧州は経済の混乱を防ぐため、エネルギー部門に強い一部の大手銀行の排除を見送っている。しかし、欧州連合(EU)はロシアの行動次第では、こうした残された銀行の制裁リストへの追加を辞さない方針を表明済み。仮に制裁リストへの追加が実施されるとなると、商品市況の一段高を通じて株式市場にパニックを引き起こしかねないだろう。 一方、地政学リスクとならんでもう一つのリスク要因である米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策については、パウエル議長の議会証言で短期的には不透明感が後退。パウエル議長は3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅としては0.5ptの大幅な利上げに目先否定的な姿勢を示した。また、ウクライナ情勢を考慮し、データ次第で機敏に対応する慎重な姿勢も見せた。FOMC前に具体的な利上げ幅について言及してくれたことは、金融政策の不透明感を払しょくしてくれることに寄与し、相場にはポジティブ。 しかし、インフレが過度に進行した場合には0.5ptの利上げもあり得るとしている。そのため、10日に発表される米2月消費者物価指数(CPI)への注目度は高い。市場予想を大きく上回ることがあると、市場が再び動揺しかねない。ウクライナ情勢と並んで米CPIを見極めたいとの思惑も働き、先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える週末までは積極的な買いが手控えられそうだ。買い手に乏しいなか、売り手優位の地合いが続くと予想される。 物色面では、米CPIを前にハイテク・グロース(成長)株はもう少しの間、我慢の時間が続きそうだ。他方、ウクライナ情勢次第ではあるが、容易には下落に転じそうにない商品市況を背景に、引き続き三井物産<8031>や三菱商事<8058>などの商社・資源関連に買いが入りそうだ。また、ロシアへの経済制裁による供給網混乱への思惑に加え、3月期末に向けた配当権利取りを意識し、日本郵船<9101>などの海運株も上値追いの動きが続きそうだ。 ■為替市場見通し 来週のドル・円はもみ合いか。ウクライナとロシアの停戦協議ですみやかな合意形成は困難とみられ、地政学リスクの増大が引き続き警戒されていることから、安全逃避的なドル買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。米国のインフレ進行が意識されているが、金融引き締め加速の思惑はやや弱まるとみられる。ウクライナとロシアの停戦に向けた交渉で、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大の転換を求め、対ロシア制裁を強める欧米との対決姿勢を鮮明にしている。ウクライナのNATO加盟をめぐり調整は困難とみられ、ロシアによるウクライナ攻撃は激しさを増す可能性がある。 参加者が期待する平和的な解決への期待は後退し、ウクライナ情勢は混迷を深めることから、リスク回避的な円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。クロス円の取引では円買いが優勢となりそうだが、ユーロ・ドルの取引でユーロ売り・米ドル買いが弱まる気配はないため、ドル買いと円買いにつながる材料は混在している。そのため、ドル・円は主に115円を挟んだ水準でもみ合う状態が続くとみられる。 ■来週の注目スケジュール 3月7日(月):エネルギー国際会議「CERAウイーク」(11日まで)など 3月8日(火):日・毎月勤労統計-現金給与総額(1月)、景気ウォッチャー調査(2月)、米・アップルが新製品発表イベント開催など 3月9日(水):日・GDP改定値(10-12月)、日・工作機械受注(2月)、中・消費者物価指数(2月)、中・生産者物価指数(2月)、米・JOLT求人件数(1月)、韓・大統領選など 3月10日(木):日・国内企業物価指数(2月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、米・消費者物価コア指数(2月)、米・財政収支(2月)など 3月11日(金):日・家計支出(1月)、日・1-3月期法人企業景気予測調査、セレコーポレーションが東証2部に新規上場、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(3月)など 《YN》
関連銘柄 3件
8031 東証プライム
3,305
11/22 15:30
+35(%)
時価総額 10,005,514百万円
大手総合商社。鉄鉱石や原油・LNGなど資源分野に強み。機械・インフラ、化学品、生活産業などの事業を多角的に展開。インドネシアのパイトン発電事業の持分売却は完了。中計では26.3期当期利益9200億円目標。 記:2024/06/04
8058 東証プライム
2,646.5
11/22 15:30
+0.5(%)
時価総額 11,059,771百万円
大手総合商社。原料炭や銅、液化天然ガスなど資源分野で世界有数の優良権益を有す。非資源分野は食品卸売に強み。自動車・モビリティ、複合都市開発等も。総還元性向40%程度目処。LNG事業の拡張などを図る。 記:2024/07/07
9101 東証プライム
4,975
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 2,293,475百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04