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岸田氏の「4つのサカ」【フィスコ・コラム】

2021/10/10 9:00 FISCO
*09:00JST 岸田氏の「4つのサカ」【フィスコ・コラム】 岸田文雄内閣の発足を見て、「人生3つのサカ」を思い出しました。昨年の自民党総裁選で敗れ、「終わった」と言われた人物が1年後に首相に就任したのですから、政界の一寸先が闇であるのは確かです。しかし、為政者に必要なのは運だけではないでしょう。 「3つのサカ」とは、人生における好調の「上り坂」、不調の「下り坂」、そして思いがけない運によって上下動する「まさか」のこと。小泉純一郎元首相が在任中によく口にしていたことで知られていますが、オリジナルは毛利元就との説もあります。その「まさか」にも「上り」と「下り」があるので、正確にいえば「4つのサカ」。人の一生には株価のように「上昇」や「下落」のほか「急反発」「急反落」がつきものです。 安倍晋三元首相は2020年9月に退陣する以前から岸田氏への禅譲を模索していました。が、岸田氏が政調会長として取りまとめた減収世帯への30万円給付のコロナ対策が与党内で葬り去られると、次期首相候補から次第に後退していきます。菅義偉政権発足の際、同氏は永田町で「終わった」と囁かれつつ、秋風とともに一線を退いていきました。この時は「下りのまさか」だったでしょう。 それから1年後、菅政権の先行きに暗雲が漂い始めると、岸田氏は菅政権を支える二階俊博幹事長(当時)を念頭に役員の任期を1期1年、連続3期までにすると気勢を上げます。それが思わぬ反響を呼び、菅氏辞任に伴う総裁選の舞台に有力候補の1人として戻ってきました。自民党の世代交代を嫌う体質や派閥の力学もありますが、譲り受けるはずだったポストに就きたいとの執念が他の3候補より勝っていたと推測されます。 ところが、臥薪嘗胆を踏まえた総裁選の勝利や政権発足の映像をみても、今度は「上りのまさか」にもかかわらず、映画「ロッキー」のテーマ曲が聞こえてくるような高揚感はありません。就任直後の支持率調査では、おおむね50%前後の低調なスタート。不人気の理由は、背後にフィクサー的な議員の影がちらついていること。日経平均株価の続落は「政権がパッとしないため」(市場関係者)との声も聞かれました。 とはいえ、コロナ禍を立て直す激動期に派手なパフォーマンスは必要ないのかもしれません。緩やかな「上り坂」を持続させる安定感が求められています。来る総選挙に向けた選挙公約によると、トリクルダウンを否定し分配により中間層を厚くする「新資本主義」で格差是正に乗り出します。実現できれば「下り坂」にはならないはず。総裁選で見せた執念で取り組めば、少なくとも日本経済の「下りのまさか」は回避できるでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》