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後場に注目すべき3つのポイント~「チャイナショック」の夏再来を意識?

2021/7/29 12:20 FISCO
*12:20JST 後場に注目すべき3つのポイント~「チャイナショック」の夏再来を意識? 29日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は反発、「チャイナショック」の夏再来を意識? ・ドル・円は弱含み、ドル売りは一服 ・値上がり寄与トップは、アドバンテス<6857>、同2位がソフトバンクG<9984> ■日経平均は反発、「チャイナショック」の夏再来を意識? 日経平均は反発。105.62円高の27687.28円(出来高概算5億株)で前場の取引を終えている。 28日の米株式市場でNYダウは続落し、127ドル安となった。新型コロナウイルス・デルタ型の感染拡大を受けて売り優勢となったが、連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル連邦準備理事会(FRB)議長が利上げ開始時期は「ずっと先であることは明白」などと発言すると下げ渋った。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.7%の上昇、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.8%の上昇となった。本日の東京市場でも好決算の半導体関連株などに買いが先行し、日経平均は140円高からスタートすると、前場中ごろには一時27794.36(212.70円高)まで上昇した。ただ、国内での新型コロナ感染拡大、中国株の不安定感が増していることなどへの懸念はくすぶり、その後失速する展開となった。 個別では、日産自<7201>とアドバンテス<6857>が6~7%の上昇。決算を好感した買いが広がり、東京機<6335>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出している。ソフトバンクG<9984>やソニーG<6758>も堅調ぶりが目立ち、トヨタ自<7203>は小幅に上昇。また、決算発表銘柄ではほかにSCREEN<7735>などが買われている。一方、サイバー<4751>が商いを伴って7%近い急落。スマートフォンゲーム「ウマ娘」のヒットで好決算だったが、材料出尽くし感が広がった。エムスリー<2413>やTDK<6762>も同様でやや下げが大きい。その他、レーザーテック<6920>や任天堂<7974>が軟調となり、アイモバイル<6535>などは東証1部下落率上位に顔を出している。 セクターでは、精密機器、電気機器、情報・通信業などが上昇率。一方、海運業、陸運業、倉庫・運輸関連業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄数は1026、対して値下がり銘柄数は1029と拮抗している。 前日は香港ハンセン指数や米ナスダック総合指数が反発し、日本でも半導体関連などで好決算が確認されたことで、本日の東京市場はひとまず買いが先行する展開となった。ただ、日経平均は27800円手前まで上昇したが、前場中ごろを過ぎると失速するなど、引き続き不安定な印象が拭えない。日足チャートを見ると、27800円手前に位置する200日移動平均線が上値を抑える格好だ。個別では決算発表銘柄の売買が活発な印象を受けるだろうが、ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりにとどまっている。新興市場ではマザーズ指数が+1.31%と3日ぶり反発。ただ、前日の下げ幅の大きさと比べると戻りは限定的だろう。本日新規上場したデリバリコンサル<9240>は公開価格を5割強上回る初値を付けたが、前日までのIPO(新規株式公開)ほどの強さは感じない。 東京都の新型コロナ新規感染者数は28日、3177人と過去最多を連日更新した。筆者の身の回りを見ると、仕事関係で在宅勤務の方が増えた一方、公共施設等の休業・利用制限はやや緩い印象を受けた。東京五輪開催と平仄を合わせてか、はたまた夏休み期間に入ったことを考慮してか(筆者も幼稚園児の息子を持つが)は定かでないが、緊急事態宣言の人流抑制効果は限られてしまうかもしれない。22~25日の4連休の感染状況が判明してくるのはこれからだろう。また、埼玉・千葉・神奈川の3県にも緊急事態宣言を発出することが検討されている。当面は感染状況に神経質にならざるを得ないだろう。 米国でも新型コロナ感染拡大への懸念が再び強まっているが、やはり中国の動向についても金融市場の関心は同じかそれ以上に高いようだ。中国の証券監督当局が28日夜、大手投資銀行の幹部と会合を開いたが、教育産業への締め付け強化を巡る懸念緩和が狙いとみられている。しかし、市場では中国株ADR(米国預託証券)の保有が大きいファンドリストなどが出回っており、中国の政治リスクや金融市場への影響がなお強く意識されていることがわかる。 一昨日の当欄で述べたとおり、中国共産党は7月に創立100周年を迎え、習近平指導部による体制強化が一段と強まる可能性がある。今回、中国企業の株価急落を招いたきっかけは教育産業に関する国務院の「通知」だ。近年、中国の教育産業は成長期待が高まっていたが、「政府の通知1本でビジネスモデルが根本から覆されるなら、中国企業の株価バリュエーションは大きく見直さなければならない」との悲鳴が上がる。 嫌でも思い起こされるのが2015年夏の「チャイナショック」だろう。当時と同様に、今回も人民元相場の動向が焦点になってくるとの見方が聞かれる。中国当局が人民元切り下げに動けば「それだけ同国経済が悪い」との見立てや、資金逃避の動きに拍車がかかる可能性があるためだ。実際、本日の人民元基準値は1ドル=6.4942元と、4月下旬以来およそ3カ月ぶりの元安水準になった。また、国際的な中国金融市場の存在感は15年の比ではない。株式のみならず、ハイイールド(低格付け)債市場などにも危機の火種はくすぶる。 先に米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡り巨額の損失を計上した金融機関が多いだけに、今度こそ先んじて債権を回収しようとする向きが「クレジットイベント(清算事由)」のトリガーを引く可能性はアルケゴス以前より確実に高まっていると筆者は考えている。また、各国株式市場で個人投資家がレバレッジを高めて押し目買いを入れているのも気掛かりだ。東京市場でも信用買い残(東京・名古屋2市場、制度・一般信用合計)が21日申し込み時点で3兆5614億円、日経レバETF<1570>の純資産総額が28日時点で4071億円という高水準になっており、「対岸の火事」を決め込むわけにはいかないだろう。 さて、上海総合指数は5日ぶりに反発、香港ハンセン指数は続伸しているが、ともに朝高後は伸び悩んでいる印象。本日の東京都の新型コロナ新規感染者数なども気になるところであり、後場の日経平均は引き続き上値の重い展開になるとみておきたい。 (小林大純) ■ドル・円は弱含み、ドル売りは一服 29日午前の東京市場でドル・円は弱含み、109円後半から半ばにやや値を下げた。米連邦公開市場委員会(FOMC)での慎重姿勢を嫌気したドル売りが続き、ドルは109円60銭台に下落。ただ、日経平均株価や上海総合指数の堅調地合いで円売りが観測され、ドルを支える。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円68銭から109円94銭、ユーロ・円は129円90銭から130円22銭、ユーロ・ドルは1.1841ドルから1.1850ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・ダイトーケミックス<4366>、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ<9478>の、2銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値上がり寄与トップは、アドバンテス<6857>、同2位がソフトバンクG<9984> ■経済指標・要人発言 【経済指標】 ・米・6月卸売在庫速報値:前月比+0.8%(予想:+1.1%、5月:+1.3%) ・米・6月前渡商品貿易収支:−912億ドル(予想‐880億ドル、5月−882億ドル) ・カナダ・6月消費者物価指数:前月比+0.3%(予想:+0.4%、5月:+0.5%) ・カナダ・6月消費者物価指数:前年比+3.1%(予想:+3.2%、5月:+3.6%) 【要人発言】 ・米上院 「インフラ法案の審議入りに関する動議を可決」 <国内> 特になし <海外> 特になし 《CS》
関連銘柄 16件
2413 東証プライム
1,425
11/22 15:30
-12.5(%)
時価総額 967,675百万円
医療従事者専門サイト「m3.com」を運営。製薬企業の薬剤プロモーション・マーケティング支援、薬剤師向け求人情報サイト「薬キャリ」の運営等も。メディカルプラットフォームでは医療現場のDX化支援が順調。 記:2024/07/29
4366 東証スタンダード
623
11/22 15:30
+3(%)
時価総額 6,978百万円
半導体・液晶用感光性材料やイメージング材料、医薬中間体、化成品などの製造・販売を行う。受託製造がメイン。蝶理、長瀬産業等が主要取引先。27.3期売上200億円目標。先端フォトレジスト用材料の受託拡大図る。 記:2024/10/21
4751 東証プライム
1,008.5
11/22 15:30
-4.5(%)
時価総額 510,648百万円
インターネット広告事業が主力。運用型広告で国内首位。検索連動型広告に強み。ABEMA等のメディア事業、ゲーム事業、投資育成事業等も手掛ける。ABEMAはスポーツコンテンツの拡充、マネタイズを強化。 記:2024/08/26
6335 東証スタンダード
350
11/22 15:30
-5(%)
時価総額 3,055百万円
国内最大手の新聞印刷機メーカー。1874年創業。国内主要新聞社などが主要取引先。商業印刷用輪転機、自動化・省力化機器等も手掛ける。新規事業の拡大等に注力。自律走行清掃ロボットを西尾レントオールと共同開発。 記:2024/06/29
6535 東証プライム
515
11/22 15:30
-5(%)
時価総額 29,946百万円
ふるさと納税サイト「ふるなび」の運営等を行うコンシューマ事業が主力。アドネットワーク、インフルエンサーマーケティング等のインターネット広告事業も。ふるなびはブランド認知度向上、プロモーション活動に注力。 記:2024/09/02
6758 東証プライム
2,948
11/22 15:30
-3.5(%)
時価総額 18,404,653百万円
世界的AV機器メーカー。ゲーム機や映画、音楽でも世界的。CMOSイメージセンサーで世界トップシェア。モバイル機器向けイメージセンサーは堅調続く。今期はイメージング&センシング・ソリューションの増収見込む。 記:2024/06/29
6762 東証プライム
1,875.5
11/22 15:30
-6.5(%)
時価総額 3,645,709百万円
大手電子部品メーカー。1935年創業。二次電池などエナジー応用製品が主力。スマホ内臓バッテリーで世界トップシェア。海外売上高比率は9割超。高収益事業の強化図る。中計では27.3期売上高2.5兆円目標。 記:2024/08/29
6857 東証プライム
9,447
11/22 15:30
+62(%)
時価総額 7,237,734百万円
SoC半導体用試験装置など半導体・部品テストシステム事業が主力。半導体検査装置で世界トップシェア。メカトロニクス関連製品の製造・販売等も。海外売上高比率は9割超。グローバル及びサポート力の増強図る。 記:2024/10/12
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7201 東証プライム
406.3
11/22 15:30
-5.7(%)
時価総額 1,714,877百万円
大手自動車メーカー。1933年設立。仏ルノー、三菱自動車とアライアンス形成。プロパイロットなど自動運転化技術等に強み。日本は電動車のモデルミックス向上、中国では日産ブランド車のラインナップ刷新図る。 記:2024/10/07
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
9,067
11/22 15:30
-31(%)
時価総額 921,117百万円
半導体機器の製造、販売等を行うSCREENセミコンダクターソリューションズが中核の持株会社。バッチ式洗浄装置やスピンスクラバーなどで世界トップシェア。配当性向30%以上目安。DX推進による生産性向上図る。 記:2024/08/22
7974 東証プライム
8,166
11/22 15:30
-37(%)
時価総額 10,605,103百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。海外売上高比率は7割超。新規タイトル、追加コンテンツの継続投入でプラットフォームの活性化を図る。 記:2024/07/28
451
11/22 15:30
+1(%)
時価総額 2,179百万円
IT・データ戦略の策定からシステムデリバリー、内製化支援まで手掛けるテクノロジーコンサルティング企業。顧客数は220社超。情報・通信業向けが主力。コンサルタント稼働率の向上等により、利益率は改善。 記:2024/06/07
295
11/22 15:30
-2(%)
時価総額 5,630百万円
IT関連書籍の出版等を行う翔泳社を中核とする持株会社。IT関連企業向けマーケティング、ソフトウェア開発、IT技術者教育も。出版事業は電子書籍売上が順調。コーポレートサービス事業は既存顧客中心に引き合い増。 記:2024/06/11
9984 東証プライム
8,586
11/22 15:30
+36(%)
時価総額 12,621,377百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17