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2020年は底堅いドル円か【フィスコ・コラム】
2019/12/1 9:00
FISCO
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*09:00JST 2020年は底堅いドル円か【フィスコ・コラム】 下げてもおかしくないのに下げない、2020年のドル・円はそんな値動きになると予想します。米中貿易協議や連邦準備理事会(FRB)の金融政策は不透明ながら、11月の大統領選でのトランプ再選に向け、アメリカの株高継続が背景にあります。 2019年のドル・円相場は109円半ばで寄り付いた後、「フラッシュ・クラッシュ」を受け円急騰への懸念が強まりました。その後ドルは上値が重く、4月に112円41銭まで強含んだ後、8月には米中貿易戦争の激化でリスク許容度が低下すると、円高再燃で104円48銭まで下げます。ただ、9月以降はドルの下値の堅さが目立つようになり、このままいけば、おおむね底堅い1年と言えそうです。 約1カ月を残したタイミングで今年を振り返ってみると、台風など自然災害が目立った1年でしたが、ドル・円相場としては「凪(なぎ)」と言えそうです。現在までの値幅は7円93銭と、この10年間では昨年の9円91銭に次ぐ狭いレンジ内での取引となっています。イギリスの欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票やトランプ相場のあった2016年の22円49銭に比べると、実に3分の1程度の値幅です。 では、2020年はどうなるでしょうか。世界経済の原動力である中国は今年よりも減速傾向が鮮明になると予想されます。その影響でヨーロッパやオセアニアの景気も回復はやや遠のくとみられ、対中貿易依存度の高い新興国のリスクも高まる見通しです。そして、アメリカの経済指標は大幅な悪化は見込めないものの、世界的な減速の影響を受けざるを得ないでしょう。 しかし、足元の成長率からみても、アメリカは景気後退(リセッション)に向かっているわけではないことは明らか。そのため、世界経済の回復が遠のけば、アメリカはどの国・地域よりもマシとの見方からマネーが集まりやすくなります。それが顕著に表れるのは株価でしょう。現在はNYダウなど主要指数が最高値を更新中ですが、今後も続き強気相場を維持するようならドル買いです。 一方、米中貿易協議は引き続き不透明ながら、トランプ政権主導で全面解決に向かう可能性があります。第1段階の合意の後は第2段階、第3段階へと進み、その過程で「不安」を織り交ぜながら常に「期待」が上回るような展開となるでしょう。それなら株価も、調整しながら上昇基調が続くはずです。そうなると、FRBの政策金利引き下げも継続しそうです。 今年最後となる12月10-11日の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きの公算ですが、そのわりに当局者の見解が中立的なのはなぜでしょう。トランプ大統領とパウエルFRB議長は11月18日に会談した際、同大統領はマイナス金利に言及したといいます。本来は利下げの局面ではありませんが、大統領選に向けさらに圧力が強まりそうです。これも株高要因で、ドル買いを支援します。 もっともドル買いは11月の大統領選までで、トランプ再選とのメーンシナリオを見届けた後は需給により短期的に売りが強まるでしょう。それでも下げは小幅にとどまり、2016年のような「トランプ・ラリー」は期待できそうにありません。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》
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