マーケット
5/2 15:15
38,236.07
-37.98
38,675.68
+450.02
暗号資産
FISCO BTC Index
5/6 19:12:28
10,011,461
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

日経平均は3日続伸、インフレピークアウト期待の背景とそのリスク

2022/7/15 12:12 FISCO
*12:12JST 日経平均は3日続伸、インフレピークアウト期待の背景とそのリスク  日経平均は3日続伸。154.08円高の26797.47円(出来高概算5億6905万株)で前場の取引を終えている。  14日の米株式市場でダウ平均は142.62ドル安(-0.46%)と5日続落。銀行決算が低調で失望感が広がったほか、6月生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことで7月の1.00ptの利上げ確率が上昇し、警戒感から売りが先行した。また、JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が複数の深刻な問題があると警告したことも売り材料となった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が市場の1.00ptの利上げ観測は時期尚早との見解を示したことで警戒感が後退し、取引後半はハイテク中心に買戻しが広がった。ナスダック総合指数は+0.03%と小幅ながら4日ぶりの反発。  底堅い米株市場の動きが好感されたほか、好決算を受けて大幅高となったファーストリテ<9983>の上昇にけん引される形で日経平均は92.69円高からスタート。一方、大幅利上げへの警戒感も残るなか、買いは続かず失速すると前場中ごろはマイナス圏で推移。その後前引けにかけては再び上昇に転じ上げ幅を広げるなど方向感に欠ける展開となった。  個別では、SHIFT<3697>やラクス<3923>などグロース(成長)株の一角が大きく上昇。任天堂<7974>、武田薬<4502>、レノバ<9519>など景気に左右されにくい銘柄が堅調。業績予想を上方修正し、増配も発表したファーストリテは急伸し年初来高値を更新。コロナ飲み薬で「BA.5」への効果が確認された塩野義製薬<4507>が買われ、岸田首相による原発再稼働の表明を受けて関西電力<9503>などが買い優勢。Sansan<4443>はサプライズに乏しい見通しながらもガイダンスリスクを通過した安心感から急騰。日本電産<6594>は、4月にCEOに復帰した永守会長の後継者への経営引き継ぎを巡る報道が手掛かりとなり、買われた。シスメックス<6869>は目標株価引き上げを受けて大幅に上昇。  一方、東エレク<8035>など半導体関連株が朝高後に失速し上値の重い展開。台湾積体電路製造(TSMC)は好決算を発表したが、設備投資計画を実質的に下方修正しており、これがネガティブに捉えられているもよう。第1四半期が堅調な決算だったIDOM<7599>は同業の好決算を背景に期待が高まっていたとみられ、通期計画の据え置きで出尽くし感が先行し大きく下落。業績予想を下方修正したセラク<6199>も急落し、揃って東証プライム市場の値下がり率上位に並んでいる。ほか、JMDC<4483>やスノーピーク<7816>などグロース株の一角が大きく下落している。  セクターではその他製品、精密機器、電気・ガスが上昇率上位となった一方、保険、銀行、鉱業が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の40%、対して値下がり銘柄は56%となっている。  前日の米株市場は大きく下げて始まった後にFRBのウォラー理事とセントルイス連銀のブラード総裁の1.00ptの利上げは時期尚早との見解を受けて、大幅利上げへの過度な警戒感が後退する形で、急速に下げ渋った。しかし、ウォラー理事はデータ次第で1.00ptの利上げにオープンな姿勢も見せており、今晩発表される米7月ミシガン大学消費者マインド指数の期待インフレ率や、小売売上高などの結果次第では再び1.00ptの利上げ確率が高まる可能性がある。  一昨日から昨日にかけて発表された米国の消費者物価指数(CPI)とPPIはともに市場予想を大幅に上回った。それでも、相場が大きく下落していないのは、今回の発表分である6月分がピークとの期待が根強いからだろう。実際、エネルギー・穀物などの幅広いコモディティ価格が明確な下落基調を辿っている。CPI6月分の上振れの主要因の一つでもある米国のガソリン価格も、原油先物価格の下落や需要鈍化への思惑から足元で小幅ながら低下に転じてきている。  米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する製造業景気指数の項目の一つである入荷遅延は一時拡大と縮小の境界値である50を大幅に上回る80近い水準にあったが、6月分では57と大幅に低下してきた。また、物流網の逼迫で高騰していたコンテナ船運賃についても、北米を結ぶ主要8つのコンテナ航路の運賃を示す総合指数「World Container Index」が明確に下落基調にあり、昨年秋に付けた高値から足元では3割以上も下落している。  こうした背景から、インフレピークアウト期待が根強いのも頷けるところがある。一方で、注意しなければならない点もいつくかある。まず、足元でようやく下落してきている原油先物価格だが、再び上昇に転じる可能性は拭い切れない。「脱炭素」などの機運が高まるなか、石油業界ではここ数年、新規の設備投資が抑えられてきた。また、6月に開催された石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の主要産油国で構成する「OPECプラス」では増産幅の拡大が決定されたが、供給不足を解消するには“焼け石に水”に過ぎない。  さらに、現状、増産はサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の2国に依存しており、他の多くの産油国は生産設備のキャパシティーの問題や政治上の問題から、むしろ、生産計画の未達が目立っている。このため、景気後退による需要鈍化が供給不足を解消するに至らないことがクローズアップされてくれば、原油先物価格が再び上昇する恐れがある。  もう一つは米CPIの構成比で3分の1と最大の割合を占める住居費の動向だ。帰属家賃などで構成されるこの項目は住宅ローン金利や住宅価格に遅れて動く傾向がある。米国では30年物の住宅ローン固定金利が昨年末から今年6月までの間に87%も上昇した。この住宅ローン金利の上昇が効く形で、6月下旬に発表された4月分の指標から、上昇が続いていた米国住宅価格にも減速の兆しが見られはじめた。  しかし、帰属家賃などから構成されるCPIの住居費は住宅価格の指標から約1年程遅れて動く傾向があり、CPIの最大構成項目である住居費が減速するには来年前半まで待つ必要がありそうだ。この間に、ガソリンなどの他の生活必需品の価格が大きく減速をしてくれれば、CPI全体では伸びの鈍化が期待できるが、そうならなければ、遅行性のある住居費の上昇と相まってCPIの高止まりが長期化するリスクがある。  このため、CPIのピークアウト説が実現するには原油先物価格の動向が大きな鍵を握っているといえる。そうした意味では、現在、中東各国を歴訪しているバイデン米大統領のサウジアラビアとの交渉が注目される。また、欧州ではロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプラインが定期検査で供給を止めているが、この定期検査の期限は7月21日とされている。デッドラインを迎える来週のこの日に、仮に供給停止が続けられるとなると、欧州のエネルギー価格の高騰に繋がり、世界的なインフレ懸念の再燃や一層の景気後退懸念に繋がりかねない。  今月26~27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)までは神経質な場面が多数あり、インフレピークアウト期待のもとグロース株の買いなどに転じたい気持ちもあるかもしれないが、今はまだ焦る気持ちを抑える場面だと考える。少なくとも、FOMCを通過し、日米主要企業の4-6月期決算が一巡する8月上旬頃までは様子見に徹するのが肝要だろう。(仲村幸浩) 《AK》
関連銘柄 16件
3697 東証プライム
14,125
5/2 15:00
-350(%)
時価総額 251,580百万円
ソフトウェアの品質保証・テスト専門会社。企業向け基幹システムのソフトウェアテストやセキュリティなどを展開。エンタープライズ向けテストに強み。ロイヤルカスタマーの顧客単価が拡大し、1Qは増収・営業増益。 記:2024/01/28
3923 東証プライム
1,605
5/2 15:00
-32.5(%)
時価総額 290,852百万円
経費精算クラウド「楽楽清算」や明細発行のソフトウェアを手掛けるBtoB・SaaS企業。中堅中小企業向けのバックオフィス業務効率化クラウドを展開。IT人材派遣も事業領域。業容好調で3Q累計は増収・利益急伸。 記:2024/03/28
4443 東証プライム
1,484
5/2 15:00
+13(%)
時価総額 185,530百万円
柱の法人向け名刺管理サービスは営業DXサービスに進化中。インボイス管理サービスなども。24.5期上期はインボイス管理の有料契約件数が倍増。営業DXの契約件数や名刺アプリの利用者数も順調に増えて収益急改善。 記:2024/02/06
4483 東証プライム
3,210
5/2 15:00
-19(%)
時価総額 195,495百万円
匿名加工化された疫学データを製薬会社や保険会社などに提供。遠隔画像診断サービスも。オムロンの連結子会社。ヘルスビッグデータは堅調。取引先健康保険組合数などが増加。24.3期3Q累計は2桁増収増益。 記:2024/02/04
4502 東証プライム
4,125
5/2 15:00
-18(%)
時価総額 6,526,884百万円
製薬最大手。糖尿病治療薬のピオグリタゾン、消化性潰瘍治療剤のランソプラゾールなどを展開。希少疾患部門は売上増。フォン・ヴィレブランド病治療剤「ボンベンディ」は米国で需要増。24.3期3Q累計は増収。 記:2024/02/10
4507 東証プライム
7,344
5/2 15:00
-45(%)
時価総額 2,288,288百万円
製薬メーカー。抗HIV薬や抗インフル薬など感染症分野に強み。24.3期3Q累計は海外子会社及び輸出の売上が増加。セフィデロコルが欧米で伸びる。ロイヤリティー収入ではHIVフランチャイズ販売が堅調。 記:2024/03/05
6199 東証スタンダード
1,043
5/2 15:00
-9(%)
時価総額 14,554百万円
企業へのITアウトソーシングを展開。農業向けIoTやセールスフォース導入支援も事業領域。デジタルインテグレーション事業は堅調。ITシステム構築・運用などは安定成長。24.8期1Qは増収、営業増益。 記:2024/02/02
6594 東証プライム
7,254
5/2 15:00
-165(%)
時価総額 4,325,444百万円
世界最大の総合モーターメーカー。HDDや車載、家電・産業向けモーターに加え、機器装置や電子・光学部品を展開。精密小型モータは売価改善等で増益。24.3期3Qは2桁増益。水冷モジュールの生産能力を拡大。 記:2024/04/16
6869 東証プライム
2,660.5
5/2 15:00
+19(%)
時価総額 1,674,186百万円
検体検査機器・試薬メーカー。血球計数検査や血液凝固検査、尿検査分野で世界首位。臨床検査機器も手掛ける。海外売上は2桁増。ヘマトロジー分野の機器、保守サービスの売上などが増加。24.3期3Q累計は増収。 記:2024/02/25
7599 東証プライム
1,361
5/2 15:00
-6(%)
時価総額 145,475百万円
中古車買取・販売店「ガリバー」を展開。自動車保険や車検・整備などの付帯事業も手掛ける。国内直営店の小売台数は10万6483台と増加。値引き抑制の奏功で小売台あたり粗利は増加。24.2期3Qは日本が増収。 記:2024/03/05
7816 東証プライム
1,244
5/2 15:00
+1(%)
時価総額 47,446百万円
アウトドア用品メーカー。オートキャンプ製品を中心に、高級アウトドア製品を製造、販売。全国で専門店を展開。販管費は増加。23.12期通期は業績苦戦。24.12期は大幅増益計画。MBO実施で非公開化図る。 記:2024/02/23
7974 東証プライム
7,575
5/2 15:00
-62(%)
時価総額 9,837,577百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。当期ミリオンセラータイトル数は自社17、他社7の計24本。新作タイトル好調や円安で3Q累計は増収増益。 記:2024/02/27
8035 東証プライム
35,010
5/2 15:00
+70(%)
時価総額 16,511,871百万円
世界的半導体製造装置メーカー。半導体の成膜や洗浄の前工程からテストまでの製造装置を展開。リソグラフィーでトップシェア。24.3期3Q累計はウェーハボンディング/デボンディング装置の量産受注が拡大。 記:2024/02/24
9503 東証プライム
2,510
5/2 15:00
+119(%)
時価総額 2,356,220百万円
関西2府5県を管轄する電力会社。発電量に占める原発依存度が高い。情報通信や不動産なども。小売販売電力量、他社販売電力量ともに増加。原子力利用率は上昇。燃料価格の低下等もあり、24.3期3Qは黒字転換。 記:2024/02/10
9519 東証プライム
1,487
5/2 15:00
+4(%)
時価総額 135,533百万円
再エネ発電所を開発・運営。太陽光を軸にバイオマスも。徳島津田バイオマス発電所などの商業運転を開始。再生可能エネルギー発電事業は売上堅調。バイオマス発電所の営業運転開始等で、24.3期3Qは2桁増収。 記:2024/04/08
9983 東証プライム
40,820
5/2 15:00
-370(%)
時価総額 12,989,781百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。24.8期1Qは2桁増収増益。海外ユニクロ事業は堅調。マーケティング強化等が奏功し、中国大陸は販売好調。 記:2024/01/27