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品川リフラ Research Memo(3):常に改善を進める顧客密着型の事業運営(1)

2023/6/27 12:33 FISCO
*12:33JST 品川リフラ Research Memo(3):常に改善を進める顧客密着型の事業運営(1) ■事業概要 1. 事業概要 品川リフラクトリーズ<5351>の事業は、耐火物及び関連製品、エンジニアリング、不動産に分かれる。2023年3月期における各事業セグメントの状況は、連結売上高構成比、セグメント利益構成比(調整額控除前)、売上高セグメント利益率の順で、耐火物及び関連製品事業が79.6%、80.6%、10.3%であった。同様に、エンジニアリング事業が19.6%、15.5%、8.1%、不動産事業が0.8%、3.9%、49.4%となった。耐火物及び関連製品事業は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、断熱材、ファインセラミックス、特殊製品の製造・販売を、エンジニアリング事業は、高炉・転炉・焼却炉等の築炉工事、工業窯炉の設計・施工などを行う。不動産事業は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う。 2. 事業内容 (1) 耐火物及び関連製品事業 2023年3月期の単体の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め依存度が高く、その他焼却炉、セメントと続く。JFEスチールと神戸製鋼所への連結売上高の依存度は5割を超える。高炉メーカーへの売上依存度が高いため、同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取り、メーカーのニーズに応えている。 a) 国内生産体制 2009年の合併以降、第2次中期経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。現在では、湯本工場、鹿島工場、赤穂工場、日生工場、岡山工場、帝窯工場及び玉島工場の7工場体制をとっている。さらに、第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点の集約に取りかかり、2025年3月期上期からフル稼働を目指す。 主要国内煉瓦プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・台車積載・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、製造工程の管理と自動全数検査システムの導入による徹底した品質管理体制の実現に取り組んでいる。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。 b) 主要製品 耐火物及び関連製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、断熱材、ファインセラミックスで構成される。 定形耐火物は、それぞれの高温設備の操業条件に合わせて組成と形状を最適化させた製品で、塩基性れんが、カーボン含有れんが、粘土質れんが、高アルミナ質れんが、炭化珪素質れんが、珪石れんがなどをラインナップしている。 不定形耐火物には、キャスタブル、プレキャスト、吹付材、プラスチック、ラミングミックス、モルタルなどがある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じて最適の製品を提供する。キャスタブルは、流し込み、圧入、こて塗りなど、施工方法に合わせた製品が数多くある。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。欧州の鉄鋼メーカーは、製造設備に標準化された製品を使用してコストダウンを図る経営スタイルをとっている。日本の鉄鋼メーカーは、継続的な改善活動により、炉の設計や炉材を常に進化させている。耐火物の需要は、海外では定形品7:不定形品3の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。 連続鋳造用モールドパウダーは、耐火物業界では同社だけが手掛けている競争力が高い製品で、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略品種に位置付けられている。 浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御等重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置を提供し、顧客の作業負荷を低減し、連続鋳造の稼働率向上に貢献している。 断熱材のセラミックファイバーは、軽量で低熱伝導率、高断熱性で省エネルギーには欠かせない素材である。施工性に優れた各種モジュール、成形品、断熱ボード、シート、ガスケットなど、様々な製品でニーズに対応している。 ファインセラミックスは、高度に微細組織を制御したセラミック素材である。アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、サイアロンなど、様々な機能や特性を備えた素材で、各種ローラー、ダイス、ポンプパーツから半導体・液晶製造装置用セラミック部材まで、多様なエンジニアリングセラミックスを提供している。 (2) エンジニアリング事業 エンジニアリング事業は、あらゆる工業窯炉での耐火物の設計、施工、メンテナンスをはじめ、各種施工機械や耐火物周辺設備の設計、製作など、超高温の世界を支える総合エンジニアリングを提供している。近年の工業炉は環境に配慮した省エネルギー、省力化、無害化、安全性などが要求されており、窯炉の設計や施工には高度の技術が必要となる。鉄鋼業向けには取鍋、連続鋳造に使用されるスライドゲート溶鋼流量制御装置、浸漬ノズル迅速交換装置など幅広いニーズに最新技術で応えている。また、大型ブロックリング工法による高炉改修工事に参画し、超短期改修に貢献し大きな評価を得ている。ごみ焼却炉、溶融炉などの環境関連設備には国内随一の実績を有する。 (3) 不動産事業 不動産事業は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う。賃貸契約が終了し遊休資産となった物件を売却し、コアビジネスである耐火物及び関連製品事業の設備投資やM&Aの資金に充当している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《AS》
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時価総額 78,547百万円
大手耐火物メーカー。1875年創業。鉄鋼業界向けに強み。JFEスチールの持分法適用会社。東京駅外壁の赤レンガなどで納入実績。セラミックス事業等も。海外事業の拡大等に注力。27.3期売上1800億円目指す。 記:2024/06/15