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当面買いづらいNZドル【フィスコ・コラム】
2023/8/27 9:00
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*09:00JST 当面買いづらいNZドル【フィスコ・コラム】 NZ準備銀行(中央銀行)の利上げサイクル休止を受け、NZドルは当面買いづらい展開となりそうです。また、10月の総選挙で政権交代の機運が高まり、政治情勢や金融政策への影響を見極める必要もあります。そのため、対円以外では伸び悩みが予想されます。 NZ中銀は今月16日に開催した定例会合で、前回に続き政策金利を5.50%と決定しました。同国のインフレ率は昨年4-6月期に前年比+7%台に加速後、今年4-6月期は+6.0%に伸びが鈍化。物価目標を大きく上回るものの、中銀はピークを超えたと判断し、2021年10月から11会合連続の利上げを今年5月の会合でいったん休止しました。2025年まで現行の政策金利を維持する考えです。 NZ国内総生産(GDP)は昨年10-12月期が前期比-0.7%、今年1-3月期は-0.1%に改善していますが、2期連続のマイナス成長でテクニカル的には景気後退(リセッション)入りとなっています。積極的な利上げが製造業を中心に国内経済を圧迫する要因になりました。こうした状況から、中銀が利下げに転じると市場は予想していましたが、結果は異なりました。政策金利据え置きの政策決定でもNZドル買いに振れたのはそのためです。 ただ、世界的なインフレと主要中銀の金融引き締めを背景とした通貨高も終盤に入り、NZドルは利上げ休止を受け、当面は買いが入りづらい展開が見込まれます。日銀の緩和継続で対円では堅調地合いを維持するかもしれません。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中銀(ECB)はタカ派姿勢を緩めておらず、豪準備銀行はハト派的とも言えません。NZドルはドルやユーロ、豪ドルなどに対しては弱含みが予想されます。 一方、政治情勢にも目配りする必要があります。任期満了に伴う議会選を今年10月に控え、与党・労働党の支持率は最大野党・国民党を下回る情勢で政権交代が予想されています。2017年に就任したアーダーン前首相は経済の不振で人気が低迷し、今年1月に退陣。後任のヒプキンス首相も支持を広げられていません。閣僚のスキャンダルも相次ぎ、残り2カ月での形勢逆転は困難とみられています。 国民党が政権を奪還すれば2017年以来6年ぶりになります。党首のラクソン氏はNZ航空の最高経営責任者(CEO)を経て政界入りした異色のキャリアを持ち、21年の党首就任後は人気を集めているようです。同氏は首相に選出された場合、中銀の役割について従来の雇用と物価の安定のうち、インフレ抑制に特化する方針を示しています。人事の刷新も見込まれ、NZドル相場への影響も想定されます。 加えて、国民党は親米路線のため、最大の貿易相手国である中国との関係が希薄化すればNZドルの下落トレンドを想定しなければならないでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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