*13:41JST テクマト Research Memo(1):新中期経営計画を発表、年率2ケタ成長を目指す
■要約
テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業、医療システム事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、製品販売にとどまらずシステム構築、保守・サポート、運用・監視サービスまでを含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供している。また、アプリケーション・サービス事業では、CRM、ビジネスソリューション、ソフトウェア品質保証(以下、SE)及び教育の4つの分野でソリューションサービスを展開、医療システム事業は医療機関向けPACS※が主力製品・サービスであり、稼働施設数ベースのシェアで約2割、クラウドPACSだけで見ると約8割の高シェアを握る。
※PACS(Picture Archiving and Communication Systems):MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡、PET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上収益で前期比16.0%増の53,303百万円、営業利益で同14.7%増の5,850百万円といずれも過去最高を更新し、会社計画(売上収益49,500百万円、営業利益5,300百万円)をそれぞれ上回る好決算となった。情報セキュリティに対する企業の投資意欲が依然旺盛で、サブスクリプション課金モデルのクラウド型セキュリティ対策製品を中心に、情報基盤事業の売上収益が同19.5%増、営業利益が同28.6%増と大きく伸長し、収益成長のけん引役となった。なお、全体の受注高は同15.2%増の68,446百万円、期末受注残高は前期末比30.8%増の68,566百万円といずれも過去最高を更新した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は売上収益で前期比10.7%増の59,000百万円、営業利益で同11.1%増の6,500百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。医療システム事業は主力のPACS事業におけるクラウドシフトの影響や、事業拡大を見据えた積極的な開発投資により減収減益を見込むものの、受注好調が続く情報基盤事業やアプリケーション・サービス事業の成長によりカバーする見通しだ。2025年3月期も会社計画を上回る収益成長が期待される。
3. 新中期経営計画「Creating Customer Value in the New Era」を発表
2024年5月に新中期経営計画「Creating Customer Value in the New Era」2025年3月期〜2027年3月期を発表した。新たな時代が到来するなかでも、「目利き力」と「業務ノウハウ」を詰め込んだソリューションで社会課題を解決し、より良い未来を創造する会社であり続け、より多くの顧客価値を提供することで収益拡大を図る方針だ。経営数値目標としては、売上収益で75,000百万円、営業利益で8,200百万円を掲げた。年平均成長率では売上収益で12.1%、営業利益で12.0%となる。医療システム事業はクラウドシフトも含めた先行投資期間と位置付けており、2026年3月期を収益の底に、2027年3月期以降に成長ステージに移行する計画である。業績的には2024年3月期対比でほとんど伸びない計画だが、情報基盤事業やアプリケーション・サービス事業の成長でカバーする。アプリケーション・サービス事業では、CRM分野において生成AIを活用したコンタクトセンターの効率化ソリューションでのサービス拡大が期待される。株主還元方針については、従来連結配当性向で20%以上を目安としてきたが、2024年3月期より30%以上に引き上げた。同方針に基づき、2024年3月期の1株当たり配当金は前期比5.0円増配の28.0円(配当性向31.7%)とし、2025年3月期も同2.0円増配の30.0円(同30.7%)と10期連続の増配を行う予定だ。
■Key Points
・2024年3月期業績は情報基盤事業がけん引し過去最高を更新
・2025年3月期業績も足元の受注が好調で会社計画を上回る成長が続く可能性
・新中期経営計画では情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業がけん引し、年率12%の増収増益を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》