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ダイナムジャパンHD Research Memo(10):パチンコホールは大手の寡占化が進行、数年間はシェア拡大の好機

2024/7/4 18:10 FISCO
*18:10JST ダイナムジャパンHD Research Memo(10):パチンコホールは大手の寡占化が進行、数年間はシェア拡大の好機 ■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>のパチンコ市場の動向と今後の見通し パチンコ市場はレジャーの多様化が進んだことや、のめり込み対策として射幸性を抑える規制強化を実施してきたこともあり、長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2023」によれば、2022年のパチンコ・パチスロ参加人口は、770万人と2年連続で増加したものの、コロナ禍前となる2019年の890万人までは回復しておらず、市場規模(貸玉料)も14.6兆円と2年連続で横ばい水準にとどまった。2002年(2,170万人、30.4兆円)と比較すると参加人口で35%、市場規模で48%の水準まで落ち込んだことになる。 こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数も減少傾向を辿ってきたが、コロナ禍で経営状況が一段と厳しくなり、さらに2022年のスマート遊技機の登場で資金需要も高まるなかで投資余力のない中小ホールの閉店も加速し、2023年12月末の店舗数は前年比582店舗減の7,083店と、1995年と比較して約4割の水準まで落ち込んだ※。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年比5.8%減の2,077千台、パチスロ機が同0.8%減の1,347千台といずれも減少傾向が続いた。パチスロ機の減少が小幅にとどまったのは、スマスロの好調が要因となっている。 ※出所:警察庁「令和5年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」 ただ、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、パチンコホールの売上高(貸玉収入)は2022年度第1四半期(4-6月)に前年同期比でプラスに転じて以降、8四半期連続で1ケタ増と緩やかながらも回復基調が続いている。市場全体が伸びていないのは撤退・閉店する企業が続いていることが要因と見ることができる。 こうしたなか、業界では経営体力のある大手企業の寡占化が今後一段と進むものと予想される。実際、店舗数上位5社の市場占有率は2018年末の約11%から2023年末は約15%に上昇した。大手5社も2020年以降、店舗数は減少しているものの、経営破綻し現在再建中の(株)ガイアを除けば小幅な減少にとどまっている。業界における1店舗当たりの遊技機平均設置台数の推移を見ると、2018年末時点の428台から2023年末は483台と年々上昇傾向となっており、大型店舗を運営できる大手企業の寡占化が進んでいることが推察される。ちなみに、同社グループにおける2024年3月末時点の1店舗当たり平均設置台数は493台と業界平均をやや上回る水準である。 今回、スマスロの導入を契機に市場も回復に向かい、明るい兆しが見え始めてきた。業界にとっては1992年に導入されたCR機(プリペイドカード対応機種の導入)以来の大変革となる。当時はCR機の導入によって市場が活性化した経緯があり、市場環境が違うと言えども業界の期待度は大きい。特に、2024年はスマパチのLT機能が規制緩和されたことで、業界全体で4%強の設置率がどの程度まで上昇するかが注目される。最終的には、顧客を惹きつけるだけの魅力ある機種をメーカーが開発できるかどうか、ホール側にとってはホスピタリティも含めたサービス品質の維持向上を図り、リピート客や新規顧客層をいかに獲得できるかが成長のカギを握ることになる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SO》