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ダイナムジャパンHD Research Memo(8):2025年3月期は店舗収益力の向上を目指す

2024/7/4 18:08 FISCO
*18:08JST ダイナムジャパンHD Research Memo(8):2025年3月期は店舗収益力の向上を目指す ■2025年3月期の事業方針 1. パチンコ事業 (1) 事業方針 ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は2025年3月期の事業方針として、1) 投資効果が見込める既存店の大規模修繕を伴うリニューアルの継続による店舗収益力の向上、2) PB遊技機の開発強化・育成による顧客ニーズへの対応、3) 地球環境(気候変動対策)に配慮した持続可能な店舗づくりの3点に取り組み、増収増益を目指す。 2024年3月期にリニューアルを実施した店舗では収益力が向上したことから、引き続き投資効果が見込める店舗においてリニューアルを行い、集客力の高いスマスロの増設を進める。またホスピタリティの向上に取り組むことで、シニア層も含めて来店客数の増加につなげる考えだ。パチンコのPB機種も数機種を開発、投入する計画となっている。 地球環境に配慮した店舗づくりとして、全店舗にBEMSやLED照明を導入しているほか、EV充電スタンドを313店舗で導入済みとなっている。2025年3月期は新たに太陽光発電パネルを店舗に設置する計画となっている(上期40店舗へ導入予定)。前期に試験的に1店舗で導入したところ光熱費の抑制効果を確認できたことから、順次導入していく。 (2) 出店方針 出店計画については、引き続きM&Aで良い売り物件が出れば検討するが、財務状況を考慮して慎重に判断していく。一方、閉店についてグループで6月上旬までに4店舗の閉店(滋賀、岡山、鳥取、群馬で各1店舗)を発表している。 (3) パチンコ業界の動向 パチンコ業界が一段と活性化するためには、前期に低迷したパチンコの動向が鍵を握るものと弊社では見ている。業界ではパチンコ需要を喚起するため、2024年3月から大当たり確率が200分の1以上のライトミドル機、甘デジ機を対象に「ラッキートリガー(以下、LT)※」と呼ばれる機能の実装を可能とした。一部の機種がヒットするなど注目度も高まったが、全体の稼働を大きく引き上げるほどまでには至っていない。このため、同年7月よりスマパチに限定して、LT機能の規制緩和が実施されることになった。具体的には、LTの突入率の制限緩和により、大量出玉の獲得期待値が上昇することになる。今回の規制緩和により、ゲーム性の幅がさらに広がり、メーカー側でも魅力的な機種を開発しやすくなったと見られる。このため、2024年後半以降はメインタイトルでLT機能付スマパチが増える可能性があり、その動向が注目される。 ※ラッキートリガーとは、「突入時の期待出玉が9,600個未満となる上位RUSHもしくはそのRUSHへの突入契機」のことで、獲得出玉の期待値がミドル機並みにアップする機能。 (4) 事業費用の見通し 同社は2025年3月期の遊技機購入額について、前期から抑制する方針としている。これは2024年7月より新紙幣の流通が始まるのを機に、関連機器の更新投資を行う必要があるためだ。新紙幣関連投資も含めると投資額は前期並みの水準となる。ただ、7月からのLT機能の規制緩和で集客力の高い機種が増えるようであれば、スマパチの購入を増やす可能性がある。遊技機の購入額の目安としては、営業収入(粗利益)の20〜25%としている。なお、遊技機関連の減価償却費は前期の354億円をピークに減少に転じる見込みとなっており、2026年3月期には実際の購入額とほぼ同水準となる300億円程度に落ち着くものと予想される。 人件費については前期比で若干増加する見通しである。店舗オペレーションの見直しも一巡したことから、店舗スタッフ数については横ばい水準で見ているが、賞与支給額の増加等を見込んでいる。修繕費については店舗のリニューアルを継続することから前期比横ばいとなり、水道光熱費はBEMSによる節電効果や太陽光発電の導入効果もあって若干減を見込んでいる。その他経費も引き続き抑制する方針だ。 (5) スマート遊技機の特徴と導入メリットについて 2022年11月から導入が開始されたスマート遊技機の特徴は、メダルや玉に直接触れずに遊べる点が挙げられる。パチンコは玉が遊技機内で循環し、スロットはメダルを使用せず出玉情報はいずれも電子情報として保存される仕組みとなっている。また、遊技機設置情報や出玉情報については遊技機メーカー組合が設置する「遊技機情報センター」へ送信され一元管理されることで業界の健全化を進める方針である。 スマート遊技機のメリットについては、ユーザー視点からは規制緩和によって遊技機の開発の自由度が広がり、スペックの大幅な向上によって出玉・メダルの獲得期待やゲーム性が高まること、玉・メダルレスになることで利便性と感染症対策への安心感が向上する点などが挙げられる。 ホール側のメリットとしては、玉・メダルの持ち運び・洗浄が不要となり、店舗スタッフの業務負荷軽減につながること、また島設備(補給機装置等)が不要となるため、新規店舗の場合は初期投資負担の軽減、既存店舗の場合はランニングコストの削減につながる点が挙げられる。さらには、店舗レイアウトの自由度も増すことで既成概念に囚われない斬新な店舗づくりが可能となり、新たな顧客層の開拓余地も生まれる。 遊技業界全体としては、出玉情報等を外部の第三者機関で一元管理することによって、セキュリティ強化や不正遊技の撲滅、のめり込み防止対策ともなり、業界の健全化が一層進むことで遊技者人口の増加につながる取り組みとして期待されている。 2024年5月時点でスマート遊技機の設置率は業界全体でスマスロが40%台、スマパチが4%強と見られており、当初の想定よりも普及スピードはやや遅れ気味となっているが、将来的にはスマート遊技機にすべて置き換わる方向性であることに変わりない。このため、同社では今後もスマート遊技機の動向を注視し、商機を逃さないよう適切なタイミングで投資を進める方針だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SO》