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ファンペップ Research Memo(8):抗体誘導ペプチドの開発推進と同時に、子会社で創薬以外の事業拡大を目指す

2023/3/23 15:18 FISCO
*15:18JST ファンペップ Research Memo(8):抗体誘導ペプチドの開発推進と同時に、子会社で創薬以外の事業拡大を目指す ■今後の成長戦略 ファンペップ<4881>は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に幅広い慢性疾患のなかから開発意義の高い疾患を対象に開発パイプラインを拡充していく方針だ。標的タンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同じため、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅に短縮でき、また有効性や安全性についても既に抗体医薬品で確認されているため、開発リスクも小さい。さらには、第1相臨床試験の結果で開発成功確率がある程度読めることもメリットと言える。抗体誘導ペプチドの投与により、体内で抗体価がどの程度で上昇するか、また産生した抗体が標的タンパク質の動きをどの程度阻害する能力があるかを調べることで、薬効についてもある程度推測できるためだ。このため、「FPP003」の第1/2a臨床試験において抗体価が上昇し、一定期間維持できたことが確認された意義は大きい。今後、薬効についても良好な結果が確認されれば開発成功に向けて大きく前進することになる。 今後の事業戦略としては、既存パイプラインの開発を進めると同時に新規パイプラインを2年に1本のペースで追加していく予定にしている。直近6年間で3本の抗体誘導ペプチドを開発パイプラインに加えた実績からみて、実現可能なペースと言える。2023年は新たに片頭痛を適応症とした開発候補品の前臨床試験を開始する予定となっており、そのほかにも疼痛やアレルギー性疾患、高血圧、抗血栓、脂質異常症などを対象疾患とした候補化合物も保有しており、今後これらのなかから開発パイプラインに加わるものが出てくると予想される。人材投資については、基礎研究分野の人材だけでなく、今後は開発パイプラインの増加に伴ってCMC※関連や薬事関連の専門知識を持つ人材の採用も進めていく方針だ。 ※CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)…Chemistryは化学、Manufacturingは製造、Controlはそれらの品質管理を意味する。医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて、評価される製造物を定義づけることが求められる。製造物の処方や規格及びそれらの評価方法や設定根拠、包材を含めた原材料の管理、原料や製造物の製造プロセスを検討し、製造物の品質評価を統合して行う概念。 一方で、2022年10月に子会社化したAAPにおいて医薬品以外の事業を収益化していくことで、創薬に係る開発費の一部を賄っていく方針を打ち出している。従来から機能性ペプチドの特性を生かした化粧品や除菌スプレー等が発売されており、同社がこれらメーカーに対して原薬を販売してきたが、AAPを子会社化したのを機に非医薬品事業はAAPで展開していくこととなった。2022年12月にASメディカルサポート及びN3と幹細胞化粧品の共同開発契約を締結したほか、2023年2月にはサンルイ・インターナショナルとフェムテック化粧品の共同開発契約を締結するなど活発に事業展開を進めている。原薬の販売となるため売上規模としては当該商品がヒットしたとしても年間数千万円~数億円規模が現実的な水準かと思われるが、ヒット商品が複数生まれればさらに大きくなる可能性もある。 現在、共同開発中の製品では、2022年2月に共同開発契約を締結したサイエンスとの次世代創傷用洗浄器が早ければ2023年内にも商品化される可能性がある。サイエンスのファインバブル技術を用いた創傷用洗浄器に同社の抗菌作用を持つ機能性ペプチドを組み合わせることで、洗浄力の高い新規創傷用洗浄器の開発を進めており、褥瘡等の皮膚潰瘍の治療に貢献することを目指している。また、幹細胞化粧品については、共同契約先で開発している幹細胞化粧品に、同社グループのヒアルロン酸産生増加用や幹細胞誘導作用を持つ機能性ペプチドを配合することで、皮膚再生効果の高い化粧品の開発を進めており、早ければ2023年内にサンプル品が完成する見込みとなっている。フェムテック化粧品には、同社グループの抗菌作用を持つ機能性ペプチドを配合した新規化粧品の開発を進めており、商品化は2024年以降となる見通しだ。APPでは今後も化粧品分野を中心に、抗菌作用やアンチエイジング機能などの特性を生かした機能性商品の開発を進める企業との提携を進めていくことで、同事業の拡大と収益化を目指していく。 連結業績については、創薬事業において研究開発ステージが数年間は続きそうなことから、大型契約の締結がない限りは当面営業損失が続く見込みだ。ただ、抗体誘導ペプチドの開発対象となる領域での抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも522億米ドルを超えており、中長期的な成長ポテンシャルは極めて大きい。注目された「FPP003」の臨床試験も好結果が確認されたことで、「FPP005」などのライセンス契約交渉も前進する可能性があり、今後の動向が注目される。また、同社は抗体誘導ペプチドの自社開発に注力していく方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を提供することで収益を獲得することも、選択肢の1つとして視野に入れている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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創薬ベンチャー。機能性ペプチドを用いて医薬品の研究開発を行い、大阪大学や塩野義製薬などと共同研究を推進。アルツハイマー病ワクチンの研究を開始。研究開発費の減少等により、23.12期通期は損益改善。 記:2024/02/25