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三菱総研 Research Memo(1):2022年9月期第3四半期は過去最高業績。社会課題解決型シンクタンクグループ

2022/8/26 16:01 FISCO
*16:01JST 三菱総研 Research Memo(1):2022年9月期第3四半期は過去最高業績。社会課題解決型シンクタンクグループ ■要約 三菱総合研究所<3636>は、調査・研究・政策支援・経営戦略サポートを行う「シンクタンク・コンサルティング事業」とICTソリューションサービスを提供する「ITサービス事業」を官公庁、民間企業に対して展開している総合シンクタンクグループである。1970年の設立以来、国内外の重要プロジェクトに参画し、常に時代の羅針盤となるようなビジョンを社会に提示し続けてきた。連結売上高の3割弱を官公庁関連が占め(2021年9月期)、安定した収益基盤を形成している。創業50周年を迎えた2020年には「中期経営計画2023」を策定した。これにより、持続的な成長と株主価値の向上を両立する社会課題解決型シンクタンクグループへとさらなる変貌を遂げる考えだ。 1. 2022年9月期第3四半期累計業績の概要 2022年9月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比14.0%増※の91,673百万円、営業利益が同40.6%増※の9,335百万円、経常利益は同41.6%増の10,430百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同54.9%増の7,819百万円となった。増収増益の要因は、「中期経営計画2023」の各種施策が着実に実行されたこと、成長事業であるDX関連事業を民間・行政へ積極的に展開したこと、オフィス改革による生産性の向上とコスト低減を図ったことによるもので、第3四半期として売上高・営業利益、経営利益は過去最高業績を達成した。また、2022年9月期期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用したことによって売上高が2,981百万円、営業利益、経常利益が952百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が522百万円の増加となった。 ※同社は2022年9月期より「収益認識に関する会計基準」を適用しているため、前期との業績比較は参考値として記載。 2. 2022年9月期の連結業績見通し 2022年9月期の連結業績は、上期決算発表時に続き第3四半期決算発表(2022年8月1日)と同時に上方修正した。売上高は前期比13.6%増の117,000百万円、営業利益は同34.2%増の9,200百万円、経常利益は同37.4%増の10,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同49.7%増の7,500百万円と増収増益を見込んでいる。2022年9月期第3四半期までの業績が好調だったことを受け、期初の予想から売上高は4,000百万円、営業利益は2,000百万円、経常利益は2,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,000百万円をそれぞれ増加する上方修正を行った。引き続き好調なDXを含む官公庁向け事業と金融・カード分野向け事業を軸に業績予想の達成を目指す。 3. 中期経営計画の概要 同社グループは、「VCP経営」「連結経営」「新常態経営」の3つを基本方針とする「中期経営計画2023」を2020年11月に発表した。「VCP(Value Creation Process)経営」とは、社会課題を念頭に総合シンクタンクグループとして備える4つの提供価値(「A:研究・提言」「B:分析・構想」「C:設計・実証」「D:社会実装」)のつながりを意識しながら事業活動を行うことにより、社会課題の解決と事業機会の拡大を目指すものである。従来強みとしてきた「B:分析・構想」「C:設計・実証」機能の強化に加えて、「A:研究・提言」「D:社会実装」を強化し社会に変革を根付かせる主体になるという決意が込められている。また、各機能の有機的なつながりによりバリューチェーン全体の質の向上も狙う。「D:社会実装」から得られる知見をほかの3つの機能にフィードバックし、よりリアリティのある研究・提言活動を行うことなどが想定される。 「連結経営」に関しては、VCP経営の実効性を高めることを目的にグループの中核企業である三菱総研DCS(以下、DCS)、日本ビジネスシステムズ<5036>(以下、JBS)※、アイネス<9742>(以下、INES)との協業をより一層推進し、グループ内の資産を有効活用する方針だ。また、DXなどの新規事業創出においては、グループ企業に留まらず、ベンチャー企業、海外企業、大手企業など、外部企業・機関との連携も積極的に模索していく。 ※2022年8月2日、東証スタンダード市場に上場。 「新常態経営」とは、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴うさまざまな変革を同社グループが先駆けて行うもので、働き方改革を社内でも加速していくものである。これにより、従業員のワーク・ライフ・バランスの最適化・企業パフォーマンスの最大化を実現していく。加えて、変革を先導するなかから得た知見をVCP経営の研究・提言や社会実装へとつなげ、新たな事業機会を創出することも狙いの1つとしている。 上記基本方針のもと、事業面における3つの改革「成長事業改革」「基盤事業改革」「シンクタンク事業改革」と基盤面における2つの改革「人財・風土改革」「経営システム改革」を遂行している。これにより、社会課題の解決によって実現される「社会価値」、人と組織の持続的成長によって実現される「非財務価値」、事業成長がもたらす「財務価値」の総和を拡大し、持続的成長と株主価値の向上を実現する方針だ。「中期経営計画2023」における財務価値の具体的目標として同社グループは、2023年9月期に経常利益100億円(年平均成長率12%)、自己資本利益率(ROE)10%を掲げている。このうち経常利益100億円は、2022年8月1日の業績予想修正に伴い、1年前倒して2022年9月期に達成する見通しだ。 ■Key Points ・研究・提言などに加えて事業主体にもなる「社会課題解決主導型」シンクタンクグループ ・2022年9月期第3四半期は売上・利益そろって過去最高業績を達成 ・「中期経営計画2023」により、事業拡大を目指すなか、経常利益目標については2022年9月期に前倒し達成の見込み (執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) 《EY》
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