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品川リフラ Research Memo(1):2023年3月期は価格改定で2期連続で経常利益の過去最高益更新を見込む

2022/6/30 15:21 FISCO
*15:21JST 品川リフラ Research Memo(1):2023年3月期は価格改定で2期連続で経常利益の過去最高益更新を見込む ■要約 品川リフラクトリーズ<5351>は、世界で五指に入る工業用耐火物メーカーである。2022年3月期に続き、2023年3月期も経常利益の過去最高を更新することが見込まれる。原材料価格の高騰や物流費の上昇、円安の進行などの懸念材料があるものの、価格改定力があるためだ。 1. 2022年3月期の業績動向と2023年3月期の業績見通し 2021年度の国内粗鋼生産量は9,564万トンと前年度比15.5%増加した。鋼材の需要回復を背景に、鉄鋼メーカーは原材料価格の高騰などを販売価格に転嫁し、スプレッドを拡大した。同社は、耐火物の販売数量増とグループ企業の好業績により、2022年3月期の連結経常利益を前期比30.4%増加させ、史上最高益を達成した。 2023年3月期の経常利益予想は、前期比7.3%増の11,500百万円を予想している。中期経営計画の最終年度の目標を1年前倒しで達成することになる。鉄鋼メーカーは、2022年度の鋼材需給が再びタイト化すると予想して、昨年度から取り組んできた原料コストの早期反映など、販売価格改善活動を加速する意向でいる。同社は、2022年3月期は下期からの原材料価格高騰を2023年3月期上期の販売価格に転嫁する。その後のコスト増と3月以降の急激な円安の影響などは、2023年3月期下期の価格交渉に反映する。 2. カーボンニュートラルの総合ソリューションを提供する企業を目指す 日本政府は、2020年10月に2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標を掲げた。2021年4月には、長期目標達成のため、2030年までのCO2排出量削減目標を2013年度比で従来の26%減から46%減へ引き上げた。産業部門の削減目標は、7%減から38%減へと拡大した。排出量の算定が「自社の排出」から上流・下流をカバーする「サプライチェーン全体」に広がっているため、排出量の削減が競争要因となる。欧州の自動車メーカーは、サプライヤーへ部品生産時のカーボンニュートラル実現を要望しており、将来未達の企業を取引先から除外する方針を発表した。同社の主要顧客である日本製鉄<5401>は、2023年度からCO2排出量が実質ゼロの「カーボンニュートラルスチール」を発売する。対象製品は、電動車のモーターに使用される電磁鋼板や自動車用鋼板になる。 同社は、環境課題への対応等を背景に、全世界的な事業環境の大変革期が到来したことを認識し、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進めている。その一環として2022年3月末に子会社のイソライト工業(株)をTOB+株式売渡請求により完全子会社化した。同社とイソライト工業の両社の技術を結集し、カーボンニュートラルの総合ソリューションを提供する企業を目指す。従来品より高性能・高付加価値の新製品を開発し、多用途へ展開する。鉄鋼など顧客企業のCO2排出量の削減に資する製品・サービスを提供する。また、30年来の良好な協業関係を築いてきたフランスのサンゴバン社からブラジル事業と米国事業の譲受で合意した。遅くとも2023年初めまでには手続きを完了する。同社グループは、成長著しいブラジル耐火物市場においてリーディング・ポジションを確立でき、ファインセラミックス分野において米国市場へのアクセスを得られることになる。 3. 配当政策 − 中期経営計画で基準配当性向を引き上げ 1株当たり配当金は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の2020年3月期の年130円、2021年3月期の110円から、2022年3月期は年190円、配当性向を33.5%とした。現中期経営計画から、基準とする配当性向を従来の20%から30%に改めた。 ■Key Points ・2023年3月期の経常利益は中期経営計画目標を1年前倒しで達成へ ・環境変化に対応する、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築へ ・中期経営計画では基準配当性向を30%へ引き上げ (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《SI》
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