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富士ソフト Research Memo(7):柔軟な経営戦略のもと財務体質強化と積極的先行投資の両立が続く

2021/10/4 15:27 FISCO
*15:27JST 富士ソフト Research Memo(7):柔軟な経営戦略のもと財務体質強化と積極的先行投資の両立が続く ■業績動向 富士ソフト<9749>の2021年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比8.1%増の132,508百万円、営業利益が同3.4%増の8,731百万円、経常利益が同9.0%増の9,462百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.3%増の4,653百万円と上期としては6期連続での増収増益となった。 この実績を、2021年2月公表の期初会社計画と比較すると、上期計画(売上高123,300百万円、営業利益8,500百万円、経常利益8,700百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益4,100百万円)に対する達成率は、売上高が107.5%、営業利益が102.7%、経常利益が108.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益が113.5%となった。上期としては6期連続での超過達成となったが、営業利益以下については過去5年平均の達成率を下回ったものの、一過性の不採算案件の発生と販促強化を目的とする前向きなコスト積み増しの結果であり、ネガティブ視する必要はない。 同社は、リーマン・ショック前のピーク売上高(2006年3月期)を2017年12月期に更新、ピーク売上高更新まで実に10年余り要したわけだが、その間にフロー利益の回復だけでなく、財務体質強化と成長ポテンシャル増強を両立したことは高く評価できる。そして、コロナ禍においても財務健全性と積極投資のバランスは柔軟にコントロールされているように見える。 具体的には、自己資本比率が2006年3月期末47.3%→2017年12月期末59.9%、流動比率が同96.4%→同184.9%、純有利子負債(有利子負債-現金及び預金)が同21,295百万円→同6,204百万円のキャッシュ超過など、代表的な財務指標の健全化を実現しつつ、2015年12月期以降は新卒中心の大量採用を継続することで成長ポテンシャルを積み上げている。人材面を見ると、連結従業員数は2006年3月期末の9,415人から2021年6月末現在15,756人と1.7倍にまで拡大、単体ベースの認定技術者比率(同社制度に基づく認定スペシャリストと認定プロジェクトマネージャーの合計数が全従業員数に占める比率)も2014年12月期末22.8%→2021年6月期末31.2%と上昇しており、人的リソースが質・量ともに拡充されていることが読み取れる。 加えて、2017年12月期から「AIS-CRM(アイスクリーム)」領域での取り組みを推進している。これは、AI、IoT、Security、Cloud computing、Robot、Mobile&AutoMotiveの頭文字を並べた同社の造語であり、中長期的に成長が期待される領域を網羅している。 こうした結果、その後2020年12月期にかけて増収かつ2ケタ営業増益を継続、2020年12月期末の財務指標についてはコロナ禍の影響を踏まえた財務戦略(短期資金調達による現金及び預金の積み増しと長期借入金の返済)の影響で、自己資本比率が50.7%(前期末比3.4ポイント低下)、流動比率が153.3%(同29.6ポイント低下)と悪化気味に見えるが、純有利子負債は6,341百万円と前期末に比べ1,157百万円減少しており、健全な財務体質を維持している。また、2021年12月期上期の主な財務指標は、自己資本比率が53.9%(前年同期末比2.5ポイント上昇)、流動比率が184.5%(同23.0ポイント上昇)、純有利子負債は8,965百万円のキャッシュ超過(同22,702百万円減少)と改善方向にある。 ここで、財務指標と経営戦略の関係を見ると、大量採用と先行投資の拡大に踏み切った2015年12月期は、自己資本比率が60%台乗せを達成、流動比率が200%目前まで改善、純有利子負債は2016年12月期と2017年12月期にキャッシュ超過水準まで削減と、強固な財務体質を実現したタイミングであったことが読み取れる。 創業者を含む強いリーダーシップによる迅速な経営判断・実行力が同社の強みと言えるだろうが、躊躇せず「攻めの経営(先行投資の積極化)」に転じられたのも、業績低迷局面において「守りの経営(財務体質の強化)」を推進したからこそであり、事業環境の変化を的確に捉えた同社の冷静沈着な経営判断を高く評価したい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) 《ST》
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独立系の大手ITソリューションベンダー。業務系ソフトウェア開発等のシステム構築、プロダクト・サービス等を手掛ける。オフィスビルの賃貸等も行う。米投資ファンドがTOB実施、成立なら同社株は上場廃止へ。 記:2024/10/06