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新晃工業 Research Memo(4):ヒートポンプ空調機や「健康空調(R)」に注力

2021/7/19 16:04 FISCO
*16:04JST 新晃工業 Research Memo(4):ヒートポンプ空調機や「健康空調(R)」に注力 ■事業概要 2. 主力製品 新晃工業<6458>の主力製品は、AHU、FCU、ヒートポンプ空調機である。同社は、それぞれが有する豊富なラインナップから、施主・設計事務所の意向や施設の特性や設置場所の事情に応じ、風量や熱処理量、清浄性、静音性など求められる仕様に合わせ、オーダーメイドで提供している。さらに、最先端の技術を取り入れることで、省エネ、省スペース、省メンテナンス、高効率化を常に追求している。 (1) AHU AHUは、室内からの還気※と同時に外気を取り込み、空気中の塵埃を除去した後に熱処理を行って各室へ向けて給気する機器である。一般に送風機・熱交換機・加湿器・エアフィルタなどをケーシングに収めたユニット構造をしており、専用の機械室などに置かれる。同社は、プラグファンの大幅な高効率化を実現した標準型空調機、空調性能をコンパクトなボディに集約したコンパクト型空調機、機械室を必要としないターミナル型空調機など豊富なラインナップを用意している。貸室床面積を重視するオフィスビルでは、高機能かつ設置面積を抑えた空調機器が求められる。このため同社は2系統のAHUを1台に集約した「LSツインエアハン」を開発、顕熱(温度)と潜熱(湿度)を別々に処理することで、オーダーメイドならではの省エネ・省スペースを実現した。 ※還気とは、室内の空気を循環使用するため、ダクトを通って空調機器の吸い込み側に返ってくる空気のこと。 (2) FCU FCUは熱交換器(コイル)とファンモータユニット、エアフィルタで構成され、室内還気の温度調整を行う機器である。特に個別に仕切られた会議室や外気温度の影響を受けやすい窓側など、AHUだけでは難しいエリアの温度制御を行っている。FCUには、1台の熱交換用のコイルに必要に応じて冷水と温水を切り替えて供給して温度調整をする2管式と、2台の熱交換用コイルに冷水と温水を別々に供給して温度調整する4管式がある。4管式は個々の機器で自由な温度設定ができ、セントラル空調でありながら個別に冷暖房の選択が可能となる。このほかFCUでも豊富なラインナップを誇る。 (3) ヒートポンプ空調機 ヒートポンプ空調機は個別空調の分野に属すが、外気の取り入れや加湿・清浄などセントラル空調の空調品質と熱源の分散という、個別空調の利便性を兼ね備えた空調機器である。もともと個別空調とセントラル空調のすき間を狙った商品だったが、冬期の加湿不足という慢性的な課題への対策として、採用の要請が強まってきた。このため同社は、2017年5月に競合企業でもある空調業界トップのダイキン工業と提携した。ダイキン工業はオーダーメイドへの対応が進んでいないAHUに関して、同社のAHUのノウハウで補完していく考えのようだ。同社は、個別空調に強みを持つダイキン工業と共同開発などを進めることで、ヒートポンプ空調機でトップ企業をキャッチアップしたいという意向がある。空調機本体と室外機をセットにした、高機能性と利便性という2つの特徴を併せ持つオールインワンタイプの省スペース型ヒートポンプ空調機「オクージオ」は、システム全体を同社が自社で設計・製造、中小規模のオフィスや工場、商業施設などを狙った戦略製品として位置付けられている。 (4) 健康空調(R) 同社はその他にも各種空調関連機器を製造販売しているが、コロナ禍以前から「健康空調(R)」という考え方を提唱してきた。細菌やウイルスへの対策を徹底していても、どこからともなく施設内に持ち込まれてしまう。このため同社は、空調機器にUVC(紫外線C波)ランプを搭載し、空気中に潜む細菌やウイルスを強力な紫外線照射で分解・除去する、空気除菌システム「健康空調(R)」シリーズを開発した。オフィスや工場のほか、医療福祉施設や公共施設、文教施設など外部から大勢の人が集まる場所に最適で、また、そうした施設の安心安全に貢献することができるため、最近では注目が増している製品だ。直近では、従来のUVCランプ搭載AHUに加え、UVCランプ搭載のFCUカセット形を投入した。特徴は、簡単なリプレイス工事だけで既設品への設置が可能である、人体に悪影響のあるオゾンなど2次汚染物質の発生がほとんどない、安全装置付きで紫外線漏洩の心配がない、などである。 情報力と柔軟で迅速な動きが強み 3. 同社の強みと製品別シェア 同社は、二次側空調機器という、ビル建築工事のなかでもニッチな市場を深掘りすることでリーディングカンパニーとなった。そうしたポジションを得ることができた背景には、設備工事という独特の世界で生き抜き培われた同社の強みがある。セントラル空調は、前述したように、建物に求められる仕様が様々でオーダーメイドの設計が求められる。そのうえ、工事現場では柔軟な納期変更、迅速な不具合対応など非常に厳しい対応を迫られる。これらは一朝一夕に構築できるスキルではなく、一定の参入障壁(過去に大手メーカーが撤退した要因)にもなっている。 通常、空調機器のオーダーメイドは、同じ建物でも1台ごとに仕様・能力・サイズが異なるため、部材の調達や生産量を安定させることが難しい。しかし同社は、建物の計画段階から設計を行うことができるため、情報を早期に獲得し需要予測を可能にしている。また、生産量を安定させるために、更新案件や小口案件も積極的に取り込んでいる。さらにメンテナンスや故障などのトラブルにおいて、柔軟で迅速な対応ができることも同社の強みである。これまで数多く製造・納入したオーダーメイド製品による現場経験の蓄積や、設計から製造、販売、保守サービスまでを自社で行ってきた実績が、初動・原因究明から部品製造、現場対応まで一連の柔軟で迅速な動きにしたと言える。こうした厳しい要求をクリアするためのノウハウがあることから、同社は施主・設計事務所からも厚い信頼を寄せられている。 こうした強みを背景に、同社はAHUで国内最大のシェアとなっており、FCUや戦略商品のヒートポンプ空調機も高いシェアを誇っている。このため、新国立競技場などオリ・パラ関連大型施設に幅広く空調機器を設置したほか、あべのハルカス、スーパーコンピュータ「京」(理化学研究所)、ナゴヤドーム、トヨタ自動車<7203>本社工場、東京スカイツリー、東京国際空港、東京駅、東京都庁から吹上御所、正倉院東宝庫、法隆寺大宝蔵院まで、全国の有名施設にも納入している。海外でも、上海タワー、ザ・ペニンシュラ香港、マンダリンオリエンタルバンコク、マリーナベイサンズ、ラッフルズホテルなど、快適性が求められる国際的な有名ホテルを中心に納入が多くなっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《EY》
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時価総額 111,297百万円
業務用空調機器の開発・設計・販売等を行う。セントラル空調機器で国内トップシェア。あべのハルカスなどで納入実績。マリーナベイサンズなど海外でも実績多数。大型ビル空調、データセンター等を重点分野に位置付け。 記:2024/10/12
7203 東証プライム
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時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01