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エルテス Research Memo(7):加速度的な成長に向けて中期経営計画を公表。「変革と基盤構築」に取り組む

2021/6/9 15:07 FISCO
*15:07JST エルテス Research Memo(7):加速度的な成長に向けて中期経営計画を公表。「変革と基盤構築」に取り組む ■成長戦略 1. 中期経営計画の公表 エルテス<3967>は、2021年4月13日付で中期経営計画を公表した。コロナ禍をきっかけにDX化への動きが加速するなかで、新たな事業機会を取り込むために、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を創設し、事業構造の変革を進めていくことに狙いがある。これまで主戦場としてきたSNS炎上対策というニッチな成長領域に加え、新設セグメントでは成長率が高い領域、もしくは市場規模が大きい領域へ展開する方向性である。3年×3期による9年の中長期を視野に入れており、1期目の3年間は「変革と基盤構築」に取り組み、2期目以降での「加速度的な成長サイクルの実現」を目指している。 2. 対象市場の規模と成長性のイメージ これまでの「SNS炎上対策」というニッチな成長領域に加え、高い成長性が期待でき、かつ市場規模も大きい「DX推進」「デジタルガバメント」「情報銀行」「デジタルGRC※」等の領域へ展開していく。また、市場規模が巨大であり、DX化による変革余地も大きい「警備業界」への本格参入も目論んでいる。 ※リスクマネジメント(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)におけるDX化。 3. 数値目標 1期目の3ヶ年については売上高とEBITDAを財務目標として設定している。最終年度となる2024年2月期までに売上高7,000百万円(3年間の平均成長率は52.1%)、EBITDA 1,000百万円の達成を計画している。引き続き「デジタルリスク事業」を中核として、「AIセキュリティ事業」「DX推進事業」のいずれの事業も新たな収益基盤へと成長させる方針である。 4. 各事業の取り組み (1) デジタルリスク事業 新プロダクトの開発とアライアンスの強化等により、圧倒的なNo.1企業を目指す方向性である。また、達成に向けた戦略として、1)あらゆるデジタルリスクをカバーする新規プロダクト開発、2)リスク管理にとどまらないサービスの多様化、3)他領域の企業とのアライアンス、4)既存プロダクトのアップデート、などに取り組む。特に、現在の主要顧客である大企業及び中堅・中小企業から、裾野の広い小規模・個人事業へと対象企業を広げるとともに、新たなターゲット層を想定した新規プロダクトを展開していく方針であり、とりわけWeb完結型少額契約(SaaS型)の積み上げが成長をけん引する計画となっている。顧客企業数19,000社を目標KPIに掲げ、最終年度である2024年2月期に売上高4,200百万円(平均成長率34.0%)を目指す。 (2) AIセキュリティ事業 リアルな警備事業とのシナジー創出により、AIセキュリティによる警備業界の変革を目指す方向性である。また、達成に向けた戦略として、1)警備業界を変革するためのデジタルプロダクトの創出、2)AIセキュリティによる次世代警備を業界スタンダードとするため、フィジカルな警備保障サービスの成長にも取り組む。警備業界は3.5兆円規模の巨大産業であるが、そのうち約80%は中小零細企業が占めており、デジタル化による変革余地が大きい。契約警備会社数2,000社とポスト数(常時1名を固定配置する場所)62,000ポストを目標KPIに掲げ、最終年度である2024年2月期に売上高2,200百万円(平均成長率121.2%)を目指す。 (3) DX推進事業 「デジタルPFI構想」や「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」など、独自視点で行政・企業のDX推進を担う事業を立ち上げ、この分野のリーディングカンパニーを目指す方向性である。また、達成に向けた戦略として、1)行政との連携によるDXプロダクト推進、2)自治体向けDXサービスでの経験を生かした企業向けプロダクトの推進などに取り組む。特に、1)については、自治体の「スマートシティ構想」の実現に向けた連携や、自治体DXを担う人財の教育・育成、派遣事業などが軸となっている。連携行政数30自治体、顧客企業数10社を目標KPIに掲げ、最終年度である2024年2月期に売上高600百万円(平均成長率139.7%)を目指す。 5. 弊社アナリストの注目点 弊社でも、DX化への動きが加速するなかで、これまで積み上げてきた技術やノウハウを生かせる「デジタルガバメント」や「警備業界」への展開(事業変革)により、市場規模が大きく、高い成長率が見込める領域でユニークなポジションを確立し、成長加速を目指す戦略は理にかなっていると評価している。言い換えれば、このチャンスを生かすことができるかどうかが、同社の方向性や将来性を占ううえで極めて重要な転機を迎えているとの見方ができる。特に、今後3年間は同社がさらに飛躍するための基盤構築に取り組む期間とされていることから、足元業績の回復や伸びはもちろん、中長期目線で各事業の取り組みとその進捗をフォローしていく必要があろう。特に、対象顧客の拡充とSaaS型サービスの強化、「警備業界」や「デジタルガバメント」など新たな領域への展開が、同社の成長モデルや収益構造にどのような変化をもたらすか、事業拡大のために必要なリソース(人材や技術、ソリューション等)を、他社とのアライアンスを含めていかに確保していくのか、今後の動向や経営手腕に注目したい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《YM》
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Webリスクモニタリングや内部脅威検知サービス等のデジタルリスク事業、DX推進事業、警備管制DXシステム等のAIセキュリティ事業を展開。内部脅威検知サービスのID数は大幅増。27.2期売上100億円目標。 記:2024/06/07