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イード Research Memo(3):2021年6月期第2四半期累計業績は、EC物販の好調等により過去最高業績を更新

2021/3/22 16:23 FISCO
*16:23JST イード Research Memo(3):2021年6月期第2四半期累計業績は、EC物販の好調等により過去最高業績を更新 ■業績動向 1. 2021年6月期第2四半期累計業績の概要 イード<6038>の2021年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比10.5%増の2,829百万円、営業利益で同34.5%増の238百万円、経常利益で同19.5%増の213百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同162.6%増の366百万円となり、上期として過去最高業績を更新した。コロナ禍の影響によりネット広告収入が低迷するなど一部で逆風を受けたものの、EC物販が巣ごもり需要を追い風に前年同期比2ケタ増と好調に推移したほか、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業の売上が貢献したことも収益のけん引役となった。同社ではメディア運営について広告収入に依存しない360度ビジネスモデルの構築に取り組んできたが、こうした取り組みの成果が顕在化した格好だ。 なお、特別利益として絵本ナビの株式売却益418百万円を計上した。世界最大級の金融コングロマリットの一つであるSIG(Susquehanna International Group)※から絵本ナビに対する資本参加の申し出があり、今後の絵本ナビの企業価値向上につながるものと判断して一部保有株を売却することにした。絵本ナビはSIGの出資先企業との協業による新たなオンライン教育事業の展開を図っていくことになり、同社も筆頭株主として子育て関連市場に対する事業展開をともに進めていく方針となっている。同社は2015年に絵本ナビの株式を342百万円で取得し子会社化したが、その当時の企業価値は約7億円の評価であった(2020年6月期末の絵本ナビの純資産は42百万円)。今般、SIGではその価値を約20億円で評価し、株式を取得したことになる。海外から見れば、日本で幼児向け絵本コンテンツを豊富に持つECメディアの潜在ポテンシャルは高く映ったようだ。 ※SIGは、世界最大級の金融コングロマリットであり、特に高成長企業への多様な投資実績がある。例としてByteDance (「TikTok」を運営する企業。現在世界最大級のユニコーン企業。)への投資実績がある(シーズ段階から現在までの長期保有実績)。 一方で、特別損失としてM&Aにより事業譲受したメディアに関するのれんについて、直近の収益状況が今後の見通し等を勘案し、その一部について減損処理を行い、減損損失132百万円を計上した(2021年6月期第2四半期末ののれん簿価は151百万円)。また投資有価証券評価損を37百万円、本社移転費用11百万円を特別損失として計上している。 (1) CMP事業 CMP事業の売上高は前年同期比15.0%増の2,491百万円と増収基調が続き、営業利益は同32.0%増の213百万円と2期ぶりの増益に転じた。また、営業利益率も同1.1ポイント上昇の8.6%となった。 2021年6月期第2四半期累計期間に追加した新規メディアとしては、2020年10月に(株)プロトコーポレーションから事業譲受した趣味・習い事の教室検索サイト「グースクール」、(株)Adolescenceが運営する婚活関連サービスの情報メディア「Marriage Consultant」のほか、スマートフォンに関する情報メディア「すまアレ」の3サイトを取得し、運営サイト数は前期末比3サイト増加の68サイトとなった。また、2020年6月末に子会社化したマイケルが運営する自動車愛好家向けコミュニティサイト「CARTUNE」や、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業についても増収要因となっている。そのほか、同年11月に教育機関に特化した集金業務のキャッシュレス化を実現するプラットフォーム「enpay(エンペイ)」を提供する(株)エンペイと資本業務提携契約を締結している。今後は日本最大級の教育メディアである同社が運営する「リセマム」と連携し、子育て・教育分野においてメディア・EC・金融サービスを総合的に事業展開していく予定となっている。 運営Webサイト全体の月平均UU数は運営サイト数の増加により、前年同期比3.8%増の51百万UUと拡大したものの、月平均PV数は同6.1%減の162百万PVと減少した。テレワークの普及により会社員が通勤する機会が減少したこともあり、ビジネスユースのアクセスが多い「Response」のPV数が落ち込んだこと、また携帯電話(i-mode)向けニュースサイトが、利用者数減少に伴い縮小傾向が続いていることなどが要因だ。さらに広告単価も企業の広告出稿意欲が低調だったことから低迷し、この影響でネット広告売上高は前年同期比6.7%減の895百万円と減少した。ただ四半期ベースで見ると、第1四半期が同23.5%減と大きく落ち込んでいたが、第2四半期には広告出稿意欲も回復し、同10.3%増と増収に転じている。 ネット広告の減少分をカバーしたのがデータ・コンテンツ提供売上高(EC物販含む)で、前年同期比18.0%増の1,088百万円となった。2020年6月期第4四半期以降、巣ごもり需要の拡大を追い風に子会社(エンファクトリー、絵本ナビ、ネットショップ総研)で手掛けているEC物販が前年同期比20%を上回る増収となったことが要因だ。また、出版ビジネスについても、2020年2月に学研プラスから取得した「アニメディア」関連事業が上乗せ要因となったほか、アニメ「鬼滅の刃」がブームになったこともあり、同194.3%増の365百万円と大幅増となった。一方、メディア・システム売上高はオウンドメディア構築支援案件が端境期となり、前年同期比10.6%減の158百万円と低調に推移した。 営業利益の増減要因を見ると、売上増に伴う外注費や商品原価の増加で133百万円、人件費の増加で73百万円、その他費用の増加で68百万円となったが、売上高の増加326百万円で吸収する格好となった。 (2) CMS事業 CMS事業の売上高は前年同期比13.9%減の338百万円、営業利益は同60.8%増の25百万円と減収増益となった。前年同期はECソリューションで大型案件があったため売上高はその反動で減少したものの、収益性を重視した営業活動を展開したことにより営業利益は増益となった。 リサーチソリューション売上高は前年同期比9.9%減の244百万円となった。コロナ禍の影響により自動車業界の顧客を中心に受注低迷が続いたことが要因だ。一方、ECソリューションも大型案件の剥落により同30.2%減の97百万円と減少したものの、ECサイト構築に対する需要そのものは堅調に推移している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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