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スカラ Research Memo(6):主力のSaaS/ASP事業では高成長を実現するための事業基盤構築が進む

2020/4/17 15:16 FISCO
*15:16JST スカラ Research Memo(6):主力のSaaS/ASP事業では高成長を実現するための事業基盤構築が進む ■スカラ<4845>の業績動向 2. 事業セグメント別動向 (1) SaaS/ASP事業 SaaS/ASP事業の売上収益は前年同期比11.2%増の2,051百万円、営業利益は同46.4%減の169百万円となった。グループ会社別で見ると、「i-ask」や「i-assist」などの主要サービスを展開するスカラコミュニケーションズの売上収益は前年同期比1.4%増の1,759百万円、営業利益は同6.8%増の630百万円と堅調に推移した。「i-ask」や「i-assist」などの導入は着実に進んだものの、大型開発案件の受注遅延により会社計画に対しては若干下回ったもようだ。 当第2四半期累計期間における具体的な導入案件としては、神戸市向けにFAQシステム「i-ask」とWebチャットボットシステム「i-assist」を同時に導入し、市民の利便性向上と問い合わせ業務の効率化に寄与している。また、長谷工コーポレーション<1808>の会員向けサイトに「i-livechat」が導入され、問い合わせに対する回答をオペレータがWebチャットを使ってリアルタイムで案内できるようにしたほか、既に導入済みの「i-ask」と連携することで、登録済みのFAQをチャットで案内できるようにした。 そのほか、「自動車保険1クリック概算保険料見積もりシステム」を東京海上ホールディングス<8766>グループのイーデザイン損害保険(株)向けに開発している。Webサイト上で自動車保険を正確に見積もる際には、従来30項目程度の質問に対してすべて回答する必要があったが、まずは概算額を知りたいというユーザーニーズに応えるため、直感的に回答できる質問を8項目程度に絞り込み、それぞれ1クリックで回答できるシステムを開発した。同システムはネット自動車保険として初めてグッドデザイン賞を受賞するなど注目を浴び、保険業界だけでなく他業界からの引き合いも増えている。また、損害保険ジャパンにはIVRを使った特約火災保険の解約受付サービスを導入した。従来は、オペレータが対応していた工程を自動化し生産性を向上させたほか、セールスフォースにAPI連携することで更なる業務効率向上につなげている。レオコネクトとの協業案件については、光通信グループの(株)ハルエネや(株)ハイホー、(株)エフエネなどに導入が進んでおり、累計で12社への導入が完了している。 コネクトエージェンシーの売上収益は前年同期の108百万円から291百万円、営業利益は13百万円から33百万円となった。前年同期は2ヶ月間のみ連結対象となっていたため、実質ベースではほぼ横ばい水準だったと見られる。顧客ニーズの高いソフトフォン対応を進めており、下期に向けて導入が進む見通しとなっている。 2018年11月に新設したスカラネクストは、スカラコミュニケーションズからの開発案件の受託並びに新規事業・新サービスの企画・開発を行っており、外部顧客向けの売上収益はない。営業損失で62百万円を計上しているが、これら受託開発コストや新サービスの開発コストが中心となっている。また、ミャンマーにオフショア開発拠点を設け、エンジニアを25名程度採用しており、一部開発業務をスタートさせている。 本社機能であるスカラについては、営業損失が前年同期の300百万円から449百万円に拡大した。既述のとおり本社移転に伴う一時費用81百万円に加えて、中期経営計画実現に向けた先行投資に取り組んでいることが費用増要因となっている。 (2) SFA事業 SFA事業の売上収益は前年同期比3.6%増の2,510百万円、営業利益は同26.7%減の378百万円となった。主力商品の営業支援ソフト「eセールスマネージャー」の販売はクラウド型を中心に堅調に推移したものの、教育研修サービスが減収となり、増収率は鈍化した。また、利益面では、成長に向けての人材投資やサービス品質向上のための開発費用が増加したほか、本社移転関連費用の計上などが減益要因となった。会社計画比では売上収益、営業利益ともに下回ったものと見られる。 (3) フィールドマーケティング事業 フィールドマーケティング事業の売上収益は前年同期比7.4%増の2,102百万円、営業利益は同7.5%減の131百万円となった。大手消費財メーカーを中心にストックビジネスである定期フィールドサービスが堅調に推移したものの、BtoB領域における営業代行業務の案件開拓に向けた営業費用や人件費増などが減益要因となった。 (4) カスタマーサポート事業 カスタマーサポート事業の売上収益は前年同期比17.7%減の1,103百万円、営業利益は同8.5%増の28百万円となった。「i-ask」及びIVR等の導入効果による入電数削減や不採算案件の整理を進めたことで売上収益は減少したが、収益性は向上した。 2020年6月期下期以降は、更なる収益性の向上が期待される。スカラコミュニケーションズと共同開発していた基幹システム「C7」が完成し、2019年11月より提供を開始しており、既に複数社に導入が決まっている。「C7」はコールセンターの日々の業務・管理プロセスをデジタル化するシステムで、必要最低限の機能に絞ることで通常のシステムよりも導入コストの大幅削減を実現したシステムとなる。今後、レオコネクトの顧客であるコールセンター事業者に順次導入し、業務効率の向上並びに生産性向上を支援していく。コールセンター事業者は、「C7」を導入することで業務処理能力が拡大し、新規案件の受注が可能となる。同社はこうした事業者に対して、光通信グループ以外の新規顧客を紹介していく格好となる。「C7」の利用料については、SaaS/ASP事業とカスタマーサポート事業で案分して売上収益に計上することになる。 (5) その他 その他の売上収益は前年同期比0.3%減の837百万円、営業利益は同70.9%減の38百万円となった。事業別の内訳を見ると、EC事業の売上収益は対戦型ゲームのトレーディングカードの売買が活況に推移したことにより、前年同期比18.2%増の488百万円と好調を持続したものの、営業利益は同3.7%減の41百万円となった。現在、ECサイト「カードショップ-遊々亭-」のスマートフォンアプリ版を開発しており、開発費の増加が減益要因になったと見られる。 システム開発事業については既存ユーザー向けの案件が堅調に推移し、売上収益で前年同期比0.1%増の222百万円となったものの、開発費用の増加により営業利益は同74.9%減の4百万円となった。また、出版事業については書籍の販売が低調に推移し、売上収益で前年同期比39.6%減の123百万円、営業利益で同65.8%減の24百万円と落ち込んだ。 そのほか、CSVイノベーション(経営・事業コンサルティング)やCSVインキュベーション、CSVインベストメント事業などを展開するスカラパートナーズでは、CSVインベストメント事業の第1号案件として、2019年11月にVALT JAPAN(株)に出資(22百万円)したことを発表している。同社は2014年設立のスタートアップ企業で、障がい者に特化した各種の就職支援事業を行っており、国内で6,000名を超える障がい者ネットワークを構築している。最近では(公財)日本財団の助成事業の1つである「障がい者みなし雇用制度研究会」において、民間企業で唯一の外部委員として参加し、また、就労困難者の「仕事と体調管理」の両立支援システムである「NEXT HERO」の実証実験を鎌倉市と連携して進めていく予定となっている(2019年10月連携協定を締結)。今後、スカラグループにおいて、「NEXT HERO」のシステム開発支援を行ってくことになる。2020年6月期第2四半期累計の業績は売上収益がなく、営業損失で21百万円となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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