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シンバイオ製薬 Research Memo(5):2021年の黒字化達成と2022年以降の持続的成長の可能性が高まる

2019/3/19 15:15 FISCO
*15:15JST シンバイオ製薬 Research Memo(5):2021年の黒字化達成と2022年以降の持続的成長の可能性が高まる ■中期経営計画 1. 中期経営計画の業績前提 シンバイオ製薬<4582>は2019年2月に2022年12月期を最終年度とする4ヶ年の中期経営計画を発表した。同計画によると2021年12月期に黒字化を達成し、2022年12月期はさらに2倍の利益成長を目標としている。 業績計画の前提について見ると、2020年12月期はエーザイとの販売契約が12月末で終了するため、下半期はエーザイが在庫を縮減させる動きとなり、売上高は前期比26%減の3,282百万円と一時的に減収となる見通し。未治療の低悪性度NHLにおけるBR療法の浸透率は、2020年末で70%の水準を前提としている。費用面では研究開発費が増加(リゴセルチブ経口剤の開発費増、液剤RTDの承認マイルストン支払)するほか、その他販管費も2020年6月までに営業組織を60名体制に増員し、営業準備活動を本格化させていくことから費用増要因となり、営業損失で5,180百万円を計画している。 2021年12月期の売上高が9,132百万円と急拡大する計画となっているが、これは自社販売に切り替わる影響が大きい。薬価ベースの売上高で見れば2019年12月期目標の101億円に対して、2021年12月期は2割増の120億円前後を見込んでいると見られる。従来の販売基準(エーザイへの販売)で試算すれば、54億円前後の売上規模となる。液剤RTDの発売時期は第1四半期を見込んでおり、凍結乾燥剤からの年平均切替え率は60%を想定している。また、再発・難治性のDLBCLについては発売時期が第3四半期以降となるため、売上計画にはほとんど入れていない。利益面では、販売費が増加するものの増収効果に加えて、自社販売への移行や液剤RTDへの切り替えによる売上総利益率の改善効果が大きく、営業利益で同社として上場以来初めて黒字化を達成できる見通しだ。 2022年12月期の売上高は11,282~11,809百万円とレンジ予想となっている。増収要因の大半は再発・難治性のDLBCLの寄与によるもので、市場浸透率で幅を持たせている。営業利益率は液剤RTD/RIへの切り替えが進むことにより、売上総利益率の改善傾向が続くと見られ、2割前後の水準まで上昇する見込みとなっている。 なお、同社は2015年にザ・メディシンズ・カンパニー(米)から自己疼痛管理用医薬品(SyB P-1501)の導入ライセンス契約を締結したが、2017年10月にライセンス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を申し立て、同年11月にライセンス契約を解除している。現在も仲裁の手続きは継続しているが、今回の中期経営計画には保守的な収益を反映する観点から、その影響を織り込んでいない。仲裁手続きの期間としては一般的に1.5〜2年で結論が出るようだが、相手次第でもあるので時期は未確定となっている。 「トレアキシン®」は免疫チェックポイント阻害剤との併用療法に期待 2. 計画達成に向けた課題 中期経営計画に向けて同社では以下の5つのKSF(Key Success Factor)を挙げており、これらを達成できれば2021年度の黒字化と持続的成長を確保できることができると見ている。逆にこれらの課題がクリアできなければリスク要因となる。 (1) 自社販売体制構築 自社販売体制では前述した通り、2019年に中核となるトレアキシンマネージャーを20名体制とし、2020年6月を目標に残りの40名を加えることで、全国の400の重点医療施設を現地密着型でカバーしていく方針となっている。現在、「トレアキシン®」の販売先は約900施設あるが、重点施設(400施設)をカバーすれば、売上高の約9割を確保できることになる。通常、大手製薬企業ではMRを300~400名体制でカバーしているが、同社では少数精鋭による効率的な営業で売上げを拡大していく考えだ。なお、残り40名については血液がん領域を手掛ける製薬企業とコプロモーションパートナー体制を構築するか、がん専門契約MR(CSO)を活用していくかを現在、検討しており、2019年第2四半期には決定する予定にしている。 (2) 「トレアキシン®」年間売上高100億円(薬価ベース)の達成 「トレアキシン®」の年間売上高100億円の目標については2019年にもクリアする見通しとなっている。前述したように悪性リンパ腫の標準治療法として日本血液学会の診療ガイドラインに収載された効果は大きい。また、2018年に未治療領域でのBR療法の市場浸透率が想定よりも伸びが足りなかったのは、2018年4月からエーザイの営業活動量(人員やセミナー開催等)が自社開発品にリソースを振り向けたこともあって、ピーク時の半分程度まで落ち込んだことが一因と見ている。2019年は採用したトレアキシンマネージャーが営業活動を行うことで、R-CHOP療法からBR療法への切り替えが進み、市場浸透率も60~70%程度に上昇することで100億円の達成が可能と見られる。 また、将来的に新薬の開発によって「トレアキシン®」の需要が減少するリスクについて見ても、現時点ではその可能性は極めて低いと判断される。現在、欧米で進められている悪性リンパ腫の新薬開発では100件近くがBR療法との併用療法での開発を進めているためで、悪性リンパ腫の治療薬開発に「トレアキシン®」は不可欠な存在と言っても過言ではない。特に、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法では7本の臨床試験が進められており、今後の開発が期待されている。このため、将来的にも「トレアキシン®」の需要は安定的に推移するものと予想される。 (3) 「トレアキシン®」の液剤RTD/RIの承認と切り替え 液剤RTD/RIの承認については、米国で既に100%に近い比率で浸透していることや、医療現場での要望も強いことから、予定どおり進む可能性が高いと弊社では見ており、凍結乾燥剤からの切り替えについても、液剤タイプのメリットが大きいことから迅速に進むものと予想される。 (4) 「トレアキシン®」の再発・難治性DLBCLへの適応拡大 再発・難治性のDLBCLの臨床試験も2019年末に終わる見通しで、海外でも承認されていることから順当に進めば2021年第3四半期に販売できるものと予想される。 (5) 優秀な人材確保 自社販売体制に移行することで、営業スタッフにおいて高い専門性と豊富な経験、高い生産性を兼ね備えた優秀な人材を確保することは重要なポイントとなる。当面は20名のトレアキシンマネージャーで条件に適う人材を確保できつつあるようで、今後の営業活動の成果が期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《RF》
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がん、血液、ウイルス感染症分野がターゲットのバイオベンチャー。抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」が主力。トレアキシンの処方患者数は3.7万人超。アデノウイルス感染症など抗ウイルス薬BCVのグローバル開発推進。 記:2024/08/19