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Eストアー Research Memo(5):販促システム事業は『コンペア』と『クエリー』で契約顧客数拡大を目指す
2019/3/14 15:35
FISCO
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*15:35JST Eストアー Research Memo(5):販促システム事業は『コンペア』と『クエリー』で契約顧客数拡大を目指す ■中長期の成長戦略と進捗状況 3. 販促システム事業の成長戦略と進捗状況 販促システム事業とは、販売促進支援システム、すなわち販促用ソフトウェアの開発と販売だ。目的は顧客の売上高拡大ということでマーケティングサービス事業とも重なるが、収益モデルは固定の月額基本利用料と、サービスの利用度数に応じた従量制課金から成り立っている。 Eストアー<
4304
>は2017年秋までに『Eストアー コンペア』、『Eストアー クエリー』の2つの商品をローンチした。これら2つはともに、MAツールで、『コンペア』はECサイトについて、AB比較テストを行ってコンヴァージョン率(転換率、CVR)や成約数、LTV(生涯価値)の高い方をリアルタイムで突き止め、EC売上高の拡大につなげるツールだ。一方『クエリー』は、既存客を一定数有する事業者向けの、メールマーケティングツールで、顧客の属性を細分化し、パーソナライズしたメールを配信できる点に特長がある。 販促システム事業は2019年3月期から本格的に営業を開始した。対象顧客はショップサーブの既存顧客で、現在は外部顧客への営業は行っていない。まずは既存顧客の売上拡大を実現し、フロウ売上高の拡大につなげようという戦略だ。そうして本格スタートした販促システム事業ではあったが、契約顧客数は同社の当初の計画を大幅に下回っているもようだ。その要因については、マーケットの未発達、営業の不足、デフレに伴うニーズの冷えこみなどいろいろ考えられるものの、よくわからないというのが本音のようだ。 2020年3月期以降の販促システム事業の事業展開はいくつか選択肢が考えられる。1つは第3のソフトウェアの投入だ。しかしこの点について同社は、第3のソフトウェア投入を急ぐよりも、『コンペア』、『クエリー』のブラッシュアップのための開発強化を優先する方針のようだ。これまでに効果を確認できているため、ユーザーインターフェイス(使いやすさなど)や精度を向上させることで契約顧客数を増やせると同社では期待しているもようだ。 もう1つの視点として、外部顧客への販売を開始するかどうかがある。これについては2020年3月期に外販を開始する可能性は十分あると考えられる。ただし、同社の新事業展開において、過去からのノウハウやデータを活かしやすい既存顧客の存在意義は極めて大きいと考えられる。前述のように、同社は現在、販促システムの契約数拡大に向けた決め手を模索している段階にあるが、こうした現状では既存顧客を相手にPDCAサイクルを回しながら着実に前進する(その中にはソフトウエアのブラッシュアップも含まれる)ことが結局は近道になるのではないかと考えられる。 販促システム事業との協業で顧客の店舗当たり売上高の拡大を加速させ、フロウ売上高の成長回帰につなげる 4. 販売システム事業の成長戦略と進捗状況 (1) フロウ売上高 フロウ売上高は、それを追求すること自体が成長戦略になりうるが、現在の同社は、4つの領域全てでのサービス体制が整い、それらの中のマーケティングサービスと販促システムの2つを成長戦略の中核に位置付けている。これらが想定通りに機能すれば、その効果はフロウ売上高の拡大という形でも表れると考えられる。それゆえ、フロウ売上高は同社の成長戦略の進捗状況を図るバロメーターと捉えることも可能だろう。 そのフロウ売上高は、足元は踊り場にある。2018年3月期通期の売上高が前期比2.9%増の2,024百万円に伸びが鈍化したあと、2019年3月期は、前述のように、第3四半期累計期間で前年同期比1.4%減と減収となった。フロウ売上高の伸びが止まった要因としては、販売システムにおける既存顧客数の減少が直接の要因だと考えられる。 こうした状況において同社は、既存顧客の売上高(店舗当たり流通額)の拡大によって再び成長を回復する戦略で臨んでいる。フロウ売上高とは商規模連動型料金がその本質であるためだ。その実現に向けて、“EC支援企業”という同社の本質を活かし、調査分析・コンサルティングや役務代行(広告宣伝・ページ制作など)を行うマーケティングサービスや、新規事業である販促システムなどの事業において、ショップサーブの既存顧客に対して積極的に売り込みを進めている。 同社は2019年3月期において販促システム事業とのシナジーによるフロウ売上高の拡大を目指して臨んだが、想定したほどの実績には至らなかったもようだ。これは、上述のフロウ売上高の伸び悩みの要因と同じで、顧客の“数”の問題だと考えられる。販促システムの項で述べたように、同社の製品(『コンペア』、『クエリー』)については競合製品が少ないなか、売上拡大について所期の効果が確認できている。しかし販促システムの顧客数が想定ほどには拡大しなかったため。販促システムとのシナジー効果が全体の売上伸び悩みのなかに埋没した形だ。同社は、2020年3月期は販促システムの2製品のブラッシュアップに取り組み、改良型の投入でフロウ売上高の拡大につなげる方針であり、その進捗に注目したい。 (2) ストック売上高 ストック売上高の本質は月額固定料金であり、ASPサービス『ショップサーブ』の契約顧客数と顧客単価の積で決まる。このうち、契約顧客数は追わないことを同社は明言している。代わりに注力するのは顧客単価の上昇だ。 単価上昇をさらに突き詰めると、同一顧客における単価上昇と、顧客構成の変化による平均単価の上昇の2つが考えられるが、同社が現在目指しているのは後者だ。同社は“良品良店へのシフト”をスローガンに掲げ、新規契約の獲得においては大口顧客へのシフトを進めている。 これらの施策は徐々に結果につながってきており、顧客単価は着実に上昇しつつあるが、解約顧客数が新規大口顧客数を上回っているため、ストック売上高は減収基調をたどっている。同社自身はこの点について、前述の“良品良店へのシフト”策でフロウ売上高を伸ばすことでストック売上高の減少をカバーする戦略を明言しており、まったく懸念していない。 ただし現状は、1店舗当たり売上高(商流額)は伸びているものの契約顧客数の減少によってフロウ売上高も減収に転じているのは前述のとおりだ。“契約顧客数は追わない”で“良品良店へのシフト”を進めるという戦略は今後も維持されるとみられるが、中小顧客を中心に毎年一定数の解約が生じることで顧客数の純減が続くと想定される以上は、1店舗当たり売上高の拡大をペースアップする必要があると言えるだろう。 電子認証事業は2020年3月期から収益事業として本格的に開始へ 5. 電子認証事業の成長戦略と進捗状況 同社は新規に(株)クロストラストを設立し、2018年8月6日付で電子認証事業を開始した。同社の電子認証事業は、Webサイト運営企業の身元確認機能を備えたSSL/TLSサーバー証明書を発行するというのがその内容となっている(詳細は2018年9月13日付レポート参照)。 SSL/TLSサーバー証明書の発行は有料(一般的な料金は年間30,000円と言われている)であり、それが収益源となるが、2019年3月期はショップサーブの既存顧客に対して無料でSSL/TLSサーバー証明書を発行することを優先している。SSL/TLSサーバー証明書が無いEC店舗は、サイトに警告のポップアップが現れて、それがEC売上高に大きな影響を与えることが懸念されたためだ。2019年3月期については収益事業というよりは社内向けの“コスト”という位置付けで事業を展開した形だ。 2020年3月期以降はSSL/TLSサーバー証明書の外販(有料)を開始し、収益事業としての活動が本格的にスタートする予定だ。サービスラインナップの拡充に向けて、次世代証明書(取引証明やエスクローなど)の事業化なども計画しているもようだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《RF》
関連銘柄 1件
4304 東証スタンダード
Eストアー
1,298
11/25 15:30
-10(-0.76%)
時価総額 7,959百万円
中小企業向け・大企業向けECシステムやマーケティングサービス等を手掛けるEC事業、ハンズオンインキュベーション事業を展開。HOI事業に軸足シフト。OMO施策の推進などにより、既存事業の収益拡大図る。 記:2024/10/11
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