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3Dマトリック Research Memo(4):研究開発費の増加により営業損失が拡大するも、概ね会社計画通りの進捗

2019/1/10 15:04 FISCO
*15:04JST 3Dマトリック Research Memo(4):研究開発費の増加により営業損失が拡大するも、概ね会社計画通りの進捗 ■業績動向 1.2019年4月期第2四半期累計業績の概要 スリー・ディー・マトリックス<7777>の2019年4月期第2四半期累計の連結業績は、事業収益が前年同期比14.1%増の120百万円、営業損失が1,103百万円(前年同期は863百万円の損失)、経常損失が1,161百万円(同724百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,230百万円(同776百万円の損失)とほぼ計画通りの進捗となった。 事業収益については欧州向け止血材の販売が前年同期比31.6%増と伸張したことが増収要因となっている。また、費用面では止血材の販売増に伴い製造委託費を中心に売上原価が前年同期比21百万円増加したほか、国内での止血材の臨床試験を中心に研究開発費が同150百万円増加、販管費も人件費を中心に同82百万円増加し、営業損失の拡大要因となった。同社は2018年4月期の後半から欧州での営業、マーケティング人材のほかクリニカルサポート※のスタッフを増員し、販売代理店だけに頼らない営業体制の構築を進めており、営業部門の人員は前年同期比で約2倍増の15名(うち、営業5名、マーケティング3名、クリニカルサポート5名)体制となっている。 ※臨床現場で医師のサポートを行うサージカルナース経験者を採用し、止血材の適切な使用方法等を臨床現場でフォローすることによって、利用医師数並びに適用施術の拡大に取り組んでいる。 営業外収支が前年同期比で197百万円悪化したが、これは為替相場の変動により為替差損を49百万円計上(前年同期は為替差益144百万円)したことが主因となっている。連結子会社が保有する外貨建て資産等の期末評価替えによるものとなっている。 「PuraStat」の売上高はドイツ、オーストラリアで計画を上回る 2.止血材の売上動向 2019年4月期第2四半期累計の止血材「PuraStat」の地域別売上動向を見ると、欧州向けが前年同期比31.6%増の74百万円、アジア・オセアニア向けが同11.3%減の41百万円、中南米向けが同52.3%減の1百万円となり、合計で前年同期比10.9%増の116百万円となった。 欧州向けは計画比でやや下回ったものの、主要国であるドイツの有力代理店であるニコライ向けが前年同期比128%増の198千EUR(前年同期は87千EUR)と計画以上の伸びを示したことが注目される。ニコライとは2016年11月に販売代理店契約を締結、当初は医療施設への導入が想定通りに進まなかったものの、代理店への教育・トレーニング等の取り組みを進めてきた成果がここにきて顕在化した格好となっている。 一方で、フランスのPENTAX(2017年4月契約)や英国のAquilant※(2018年初契約)については、営業スタッフへの教育・トレーニングや、医療施設の購買部門における製品登録に時間を要していることから、売上への貢献は軽微にとどまった。この結果、欧州全体で見ると売上高は計画をやや下回って推移した。現在の見込み顧客の大半は大学病院や地域の基幹病院となるが、これら病院においては医師が利用を希望してもすぐに販売につながるわけではなく、購買部門での製品登録手続きが必要となる。手続きが完了するまでに半年から1年程度の時間を要するケースも多いため、立ち上がりに時間がかかる傾向となっている、有力代理店の1社であるPENTAXに関して言えば、2019年4月期第2四半期末段階で当初の見込み顧客のうち約2割に販売を開始した段階であり、第3四半期以降、順次その他の見込み顧客への販売も始まるものと予想される。 ※Aquilantの2017年度の売上高は96百万ドルで、英国の医療機器販社としては大手。同社がターゲットとする医療施設の殆どをカバーしている。 また、同社は止血材の販売戦略として前期後半から自社の営業体制を強化し、現場の医師に対するサポート力の向上に取り組んでいるほか、医師の要望を直接収集することで課題を抽出し、今後の拡販につなげていく取り組みを進めている。この半年間で出てきた主な課題としては、「PuraStat」の適切な使用方法が十分に理解されていない」「付属デバイスとなるアプリケーターの種類が不足(カテーテルの長さがもう少し欲しい等)」「販売代理店からの継続的なアクセスがない」といった点が挙げられた。これらはいずれも、初めて「PuraStat」を使う医師をリピーターに育成していくうえで重要な課題とも言える点である。このうち使用方法については、販売代理店への教育・トレーニングやクリニカルサポートの体制を強化しており、今後改善していくものと考えられる。また、英国の基幹病院で現在実施しているPOPS(医師主導による臨床研究)によって、使用方法のガイドラインが策定されれば、よりスムーズに理解が進むものと考えられる。アプリケーターの拡充に関しても要望の多いアイテムについては、製造委託先にフィードバックし、今後拡充していく予定にしており顧客満足度の向上につなげていく。 なお、欧州市場での独占販売ライセンス契約については、候補企業が従来の3社から4社に増えた模様だ。従来の3社についてはグローバル企業だが、4社目については欧州市場を事業エリアとする企業となる。契約締結には欧州での更なる販売実績や使用実績データの取得、及びその検証が必要な状況に変わりないが、後出血予防材でのCEマーク認証を取得したこともあり、候補先企業からの関心度合いも高まってきたと言う。このうち、積極的な2社とは年明けにもLOIを結んで、時期などを区切って交渉を進めていく予定にしており、状況としては一歩前進した格好となっている。 アジア・オセアニア向けの売上高が前年同期比11.3%減と落ち込んだが、これは前期の第1四半期にゲティンゲグループからまとめ発注が入った反動と、代理店契約終了を見据えて在庫を絞り込んでいることが影響したと見られる。ただし、オーストラリアにおけるエンドユーザー向けの販売本数は前年同期比132%増と急拡大している(2018年11月の販売本数も400本前後に達し、過去最高を更新した模様)。耳鼻咽喉科領域での癒着防止材としての利用拡大だけでなく、内視鏡領域や腹腔鏡領域などにも採用が広がっており、販売先医療施設数もシドニーやメルボルンを中心に増加していることが要因だ(医療施設数は2017年4月期末の9施設から2018年4月期末は27施設、2019年4月期第2四半期末は30施設超)。 なお、今回ゲティンゲグループとの販売代理店契約が終了する要因は、ゲティンゲグループの当該部門売却先である中国ヘルスケア企業の事業戦略上の理由となっている。具体的には、中国ヘルスケア企業の今回の事業買収目的が米国での事業基盤強化を企図したものであり、オーストラリアの市場についてはフォーカスしていないことが挙げられる。実際、買収したバイオサージェリー部門におけるオーストラリアのオペレーション機能については解体することが決まっていると言う。 中南米向けについては主要市場であるブラジル、メキシコ、チリで現地販売代理店を通じた販売活動を行っているほか、2019年4月期第1四半期にはアルゼンチンでも代理店を通じた販売活動が始まっている。ただ、現状はまだ継続的な発注が出る状況までには至っておらず、伸び悩む格好となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MH》
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時価総額 10,824百万円
自己組織化ペプチド技術を用いた医療製品を開発する。外科領域、組織再生領域、ドラッグ・デリバリー・システム領域で事業展開。消化器内視鏡領域の止血材は欧米で好調。欧州で次世代止血材の製造販売承認申請。疑義注記。 記:2024/09/19