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3Dマトリック Research Memo(3):外科領域、再生医療領域、医薬品領域で医療機器の開発を進める

2019/1/10 15:03 FISCO
*15:03JST 3Dマトリック Research Memo(3):外科領域、再生医療領域、医薬品領域で医療機器の開発を進める ■事業概要 2. 主要パイプラインの概要と市場規模 (1) 吸収性局所止血材(TDM-621) スリー・ディー・マトリックス<7777>の止血材「PuraStat」は、血管吻合部並びに臓器からの漏出性出血や、内視鏡手術、腹腔鏡手術下での消化管粘膜切除部の小血管、毛細血管からの漏出性出血の止血用途を目的に開発され、現在はCEマーク適用国である欧州各国やアジア・オセアニア、中南米地域で現地代理店を通じて販売が行われている。 止血材(主に心臓血管外科及び一般外科などの手術の際に用いられる止血材)の世界における市場規模は、2016年に約3,000百万米ドルに達したと見られている。地域別では、米国が1,344百万米ドル、欧州が1,078百万米ドルとなり世界需要の大半を両地域で占める。また、欧州以外にCEマークの適用により販売可能な国での市場規模は286百万米ドル程度と推計され、これら地域に日本、中国を加えた市場が同社のターゲット市場となる。 現在、止血材としてはヒト+ウシ由来のフィブリン糊が一般的に使用されている。既存品との比較において同社製品の長所は、化学合成のため感染リスクがないことに加えて、透明色のため術視野が妨げられないこと、術後洗浄が容易であることなどが挙げられる。また、1回の手術で使用される同社の止血材の量は内視鏡領域や心臓血管外科領域で2~5ml、臓器出血等の一般外科領域で10ml程度となる。販売価格については地域差があるものの、1万円/ml前後の水準になっていると見られる。 (2) 後出血予防材 2018年12月に欧州で「PuraStat」の適用拡大として後出血予防材の認証を取得した。消化器内視鏡術後に治療部位からの術後出血を予防する目的で使われる。術後に再出血した場合は、緊急止血処置を行うために再手術、再入院を余儀なくされることが多く、患者や医師の負担が増すほか医療財政の負担増にもなる。競合製品は無く世界初の製品として今後の成長期待も大きい。 同社調べによれば、EU市場で内視鏡手術が年間約300万件実施されており、このうち術中に出血する件数は約15万件となる。ただ、術後に後出血の恐れがある、または後出血が予想される件数は、その約8.5倍の約130万件になると推計している。内視鏡手術向けの止血材の市場規模は現在、10億円程度だが、すべての出血に止血材で対応しているわけではなく、電気焼灼術※で止血する場合が多い。すべての出血に止血材で対応したと仮定した場合、市場規模は50~100億円になると推計される。また、後出血予防材の潜在需要はEU市場だけで80~355億円となる。現在「PuraStat」を利用している医師はEMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)ではすべての症例で「PuraStat」を使用していることから、EMR/ESD向けだけで少なくとも80億円の潜在需要が期待できることになる。ポリペクトミーに関しては出血リスクが2%と極めて低いため、どの程度普及するかは未知数だが、医師による大雑把な推計を基に使用率40%を前提に上限値の目安として算出している。 ※電気メスによる高周波電流で出血部分を焼灼し、組織の熱凝固作用によって止血する方法。 (3) 癒着防止材(TDM-651) 癒着防止材「PuraSINUS Gel(以下、PuraSINUS)」の開発、販売も進んでいる。癒着防止材は、手術時に組織の癒着を防ぐために使用する医療材料となる。組織が癒着した場合、再手術時に癒着はく離を行う必要があるため、手術時間が長くなるほか出血リスクも増大する、場合によっては再手術ができないなどのデメリットがあるほか、消化器領域では腸閉塞、婦人科領域では不妊の原因となる可能性もある。 現在、癒着防止材としてはフィルムタイプまたはジェルタイプの製品が販売されているが、フィルムタイプについては使用部位に貼付する際に破断したり、狭い部位には貼付できないなど使用範囲が限られるといったデメリットがある。同社の癒着防止材はゲル状のため、あらゆる部位に使用できることが強みとなる。また、ジェルタイプの製品も競合品が上市しているが、これら製品より止血効果や創傷治癒効果が優れており、「PuraSINUS」の長所となる。実際、オーストラリアでは狭い部位にもシリンジで目的部位に滴下できる「PuraSINUS」の長所を生かし、耳鼻咽喉科領域(鼻甲介切除術、鼻中隔形成術等)での販売が増加している。従来、鼻甲介切除術では止血の際にガーゼ等のパッキング材を用いることが一般的であったが、異物を鼻に詰めるため不快感が生じるほか、除去する際に痛みが生じるなど患者のQOLが悪いという課題があった。「PuraSINUS」を用いればこうした課題もクリアされるため潜在的な需要は大きい。 癒着防止材の世界市場規模は、2016年の約800億円から2021年には約1,200億円まで拡大すると予想されているが、約7割は婦人科や消化器外科領域で占められ、耳鼻咽喉科領域に関してはまだわずかな規模にとどまっている。ただ、創傷治癒や止血効果も備えた「PuraSINUS」の潜在需要は大きいと見て、同社では米国での上市を目指し、2018年10月に510(k)での販売承認申請を行った。米国における耳鼻咽喉科領域の癒着防止材の市場規模は約100億円と同社では推計している。主な使用ケースとなる鼻甲介切除術の年間症例数が50万件、うち癒着防止材の適用率を約50%、1件当たり平均価格4万円を前提に算出している。 (4) 次世代止血材(TDM-623) 次世代止血材の開発を欧州で進めている。「PuraStat」よりも止血効果が高い(短時間で止血)ことに加えて、ペプチドの配列数が「PuraStat」よりも少ないため材料費を低く抑えることが可能なこと、常温で輸送・保管が可能なことなどが長所となる。現在、脊椎外科や脳外科など中枢神経系を適用対象とした動物実験を行っている。実験結果で安全性と有効性が確認できれば臨床試験を進めていく計画となっている。 (5) 粘膜隆起材(TDM-641) 国内で開発を進めている粘膜隆起材とは、内視鏡手術において消化管(食道、胃、大腸など)の粘膜にできた早期腫瘍やポリープなどを切除、または粘膜下層剥離を行う際に利用される。注射によって粘膜隆起材を病巣部の粘膜下層部分に注入し、病巣部を隆起させた後に電気メスなどによって隆起した病巣を切除する手順となる。病巣切除時に止血効果も併せて得られる点が最大の長所となっており、手術の難易度やリスクを下げるだけでなく、手術時間の短縮により患者の負担を軽減できるといった効果も期待できる。現状は主に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムが用いられているが、止血効果がないため止血する時間がかかっていた。 粘膜隆起材に関しては2014年12月より国内で臨床試験を開始したが、有効性をより明確にできる試験方法や製剤の検討を行うために、2015年2月に自主的に臨床試験を一時中断していた。この度、優位性を得られる製剤の改良に目処が立ったことから、臨床試験の再開に向けた準備を進めている。具体的には、前回の臨床試験では隆起部を切除する際、切除部が見えにくくなるケースがあったが、自己組織化ペプチドを改良することで透明度を大幅に向上させることに成功している。 国内の市場規模としては、年間で最大60億円規模になると同社では推計している。また、EU市場でも今後、CEマークの取得を目指す意向を示している。国内市場では扶桑薬品工業と独占販売権許諾契約を締結しており、今後、製造販売承認取得時点でマイルストーン収益が得られるほか、上市後は販売に応じたロイヤルティ収入が得られることになる。 (6) 歯槽骨再建材(TDM-711) 歯槽骨再建材は、歯槽骨の退縮によりインプラント手術が適用不可な患者に対して、インプラント手術が適用できるまで歯槽骨を再建することを目的とした医療材料で、目的部位に同材料を注入することにより、歯槽骨の再生を促進する機能を果たす。米国子会社で開発・製品化に取り組んでいる。 米国では歯槽骨再建手術が年間190万件程度行われており、市場規模は年間約200百万米ドル程度と見られる。同手術のうち約120万件は異種骨(豚)や他人の骨を足場材として利用しており、残りは自身の違う部位からの移植または人工骨などを利用している。同社の歯槽骨再建材を使えば、感染リスクもなく安全かつ容易に歯槽骨の再建を行うことが可能となる。 (7) 創傷治癒材(TDM-511) 創傷治癒材「PuraDerm」は、自己組織化ペプチドの持つ組織再生効果を活用して、火傷や裂傷などで傷んだ皮膚組織の治癒を促進する効果が期待できる医療材料となり、2015年2月に米国のFDAより510(k)申請による販売承認を取得している。米国子会社で開発・製品化に取り組んでおり、従来は他の薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤、ヒアルロン酸等との混合投与)によって熱傷治療薬や皮膚がん治療薬など高付加価値品として開発していくことを基本方針としていたが、2019年4月期より単材での市場開拓を目指すべく、テストマーケティングの準備を開始している。具体的には、高価格でも需要が見込める美容整形外科領域をターゲットに開発を進めていく。 (8)核酸医薬用DDS(TDM-812) 抗がん剤等の核酸医薬品を目的部位(がん細胞等)まで送り届けるDDS用材料として、界面活性剤ペプチド「A6K」をアカデミアや製薬企業等に提供している。2015年7月より国立がん研究センター中央病院においてトリプルネガティブ乳がんを対象に、「A6K」をDDSとして用いたsiRNA核酸医薬の医師主導による臨床第1相試験が行われた。同疾患ではファースト・イン・ヒューマンの治験となる。2018年3月に治験期間が満了したが予定症例数に達しなかったため、現在は四国がんセンターなど他の医療施設で治験を継続するための協議を行っている。また、2017年7月には悪性胸膜中皮腫を対象としたマイクロRNA核酸医薬に関する広島大学医歯薬保険学研究科との共同研究が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」に採択されている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MH》
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自己組織化ペプチド技術を用いた医療製品を開発する。外科領域、組織再生領域、ドラッグ・デリバリー・システム領域で事業展開。消化器内視鏡領域の止血材はドイツで販売好調。24.4期3Qは大幅増収、損益改善。 記:2024/04/16