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動物高度医療 Research Memo(1):犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院

2018/8/21 16:41 FISCO
*16:41JST 動物高度医療 Research Memo(1):犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院 ■要約 1. 犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院 日本動物高度医療センター<6039>(JARMeC=Japan Animal Referral Medical Center)は、犬・猫向けの高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開している。犬・猫の飼い主にとっての「かかりつけの動物病院」(一次診療施設)と連携し、連携病院を中心とする一次診療施設からの完全紹介・予約制によって、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度医療(二次診療)を行う。連結子会社の(株)キャミック(CAMIC)は、高度医療機器を用いた動物の画像診断サービスを展開している。 2. 専門診療科による高度医療やチームによる診療体制が強み 犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院として、高度かつ総合的な獣医療を提供していることが特徴だ。動物の生命もしくは生活の質に大きく関わる分野を幅広くカバーする専門診療科及び最先端の医療設備・機器を備えて、特定の診療分野に特化した診療を行うとともに、併発する分野の疾患や鑑別が困難な症状の疾患に対して複数の診療科で診療を実施している。専門診療科による高度医療、最先端の高度医療設備・機器、柔軟な患者動物受入対応、チームによる診療体制などを強みとしている。患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合動物病院への参入障壁は高く、同社のアドバンテージがあると考えられる。 3. 連携病院数、初診件数、総診療件数は増加基調 収益は飼い主から受け取る診療費が柱である。一次診療施設との間で紹介料は発生しない。診療件数は一次診療施設からの紹介件数によるため、同社は特に初診件数(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標と位置付けている。連携病院数の増加が初診件数や総診療件数(初診数と再診数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。連携病院数は2018年6月末時点で3,411病院まで増加した。連携病院数は増加基調であり、これに連動する形で初診件数、総診療件数、及び手術件数も増加基調である。 4. リスク要因 事業環境や収益にかかるリスク要因としては、ペット飼育頭数の減少、競争の激化、診療サービスの過誤、診療動物間での感染症流行、獣医師法や獣医療法といった法令の改正による規制強化、人材の育成・確保などがある。事業環境に関しては、動物医療に対する多様化・高度化ニーズが高まっているため、動物高度医療分野は成長余地が大きいと考えられる。競合に関しては、同社は増加傾向にある一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携するビジネスモデルである。高度医療専門の総合動物病院への参入障壁も高いため、競合激化のリスクは小さいと考えられる。また獣医師を含めて人材は順調に増加している。 5. 2018年3月期は一時的コストの影響で減益だが増収基調に変化なし 2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%増の2,258百万円、営業利益が同4.9%減の279百万円、経常利益が同5.9%減の263百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.3%減の208百万円だった。東京病院の開業が遅れたことに加えて、東京病院開業時の備品等のスポット的な経費が想定以上に膨らんだことや、シンジケートローン実行時の諸費用が発生したことなど、一時的コストの発生が影響して計画を下回り減益だった。ただし連携病院数、初診件数、総診療件数、手術件数は順調に増加しており、増収基調に変化はない。また売上高営業利益率も10%台の水準を維持している。減益を過度にネガティブ視する必要はないだろう。 6. 2019年3月期は東京病院の通期寄与などで大幅増収増益予想 2019年3月期連結業績予想は、売上高が前期比13.3%増の2,560百万円、営業利益が同25.0%増の350百万円、経常利益が同32.8%増の350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同37.0%増の285百万円としている。売上面では2018年1月に開業した東京病院が通期寄与する。東京病院開業に伴う首都圏東部・北部からの紹介受入強化、地域の一次診療施設との連携強化などで、初診件数は前期比22%増の目標としている。利益面では、増収効果に加えて、2018年3月期に発生した一時的コストの一巡も寄与する。東京病院開業に伴う減価償却費の増加を吸収して大幅増収増益予想である。 7. ペット産業全体で見れば伸び悩みでも、動物高度医療分野は市場拡大余地が大きい 市場環境として、ペット関連市場は緩やかな拡大が続いているが、犬飼育頭数の減少を背景に年平均成長率は1%程度にとどまっており、ペット産業全体で見れば伸び悩み感や成熟感が否めない。ただし飼育頭数が減少する一方で、ペットに対する支出金額は増加傾向を強めている。ペットの家族化や高齢化などに伴い、ペットとの生活を楽しむためのトリミングなどサービス関連の支出、ペットを終生飼養するための健康管理・医療・保険関連の支出、葬儀・霊園関連の支出などが増加しているためだ。特にペット医療の分野では、飼い主の間に「動物にも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」として、高度医療に対するニーズが一段と高まっている。飼育頭数は減少しているが、動物高度医療分野及び保険分野に関しては市場拡大余地が大きいと考えられる。 8. 動物医療業界の総合的企業を目指す 成長戦略としては、拠点の拡大、対外活動の強化、人材の確保・育成、新規事業の拡大を掲げている。拠点の拡大では2020年春以降に大阪病院(仮称)の開業を計画している。その後は東名阪の拠点を中心に、連携病院数や紹介件数の増加を加速させる方針だ。新規事業に関しては、動物医療における診療以外の領域で、患者動物・飼い主・一次診療施設をサポートする新規事業の拡大を推進する。こうした戦略の積極推進によって、動物医療業界の総合的企業を目指す方針だ。動物高度医療の市場拡大余地は大きく、高度医療サービスを提供できる総合動物病院の強みを生かしながら、積極的な事業展開で中長期的に成長が期待される。 9. 内部留保の充実を優先して当面の間は無配継続の方針 同社は株主に対する利益還元を重要な経営課題の1つとして位置付けているが、現在は事業の拡大過程にあるため、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を優先し、会社創業以来2018年3月期まで無配当としている。今後においても当面の間は、内部留保の充実を図る方針としている。将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討するが、配当実施の可能性及び実施時期等については、現時点では未定としている。 ■Key Points ・犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院 ・2019年3月期は大幅増収増益予想 ・動物高度医療分野は市場拡大余地が大きい (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《SF》
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時価総額 6,444百万円
犬・猫向け高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開。画像診断サービス、健康管理機器レンタル・販売サービスも。大阪病院の開院や既存病院の成長で初診件数は増加傾向。既存施設の診療能力増強図る。 記:2024/06/28