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アクアライン Research Memo(3):全サービススタッフの正社員化や無拠点化など独自のビジネスモデルを確立

2018/6/8 15:03 FISCO
*15:03JST アクアライン Research Memo(3):全サービススタッフの正社員化や無拠点化など独自のビジネスモデルを確立 ■事業概要 1. 水まわり修理市場 水まわりの緊急修理の市場規模は約800億円と推定されている。1)住宅の築年数増加による水まわり設備・商品の老朽化、2)一人暮らし世帯の増加、3)工具箱のない家庭の増加などにより、緩やかな市場成長が続いている。一方で、地場の水まわり工事を行う工務店は高齢化などの要因で廃業が続いており、アクアライン<6173>を含む全国展開大手3社が需要を吸収して成長する構図にある。大手の中では、クラシアンの規模が大きく、TVCMなどの広告宣伝を積極的に展開し、全国に70箇所の営業拠点を展開する。イースマイルは関西から全国展開し、現在は全国31拠点を持ち、TVCMなどの広告宣伝を積極的に行い、リフォームや住宅販売などの事業も手掛ける。同社は業界3位のポジションであり、唯一の上場企業である。正社員化や研修制度で人材を強化し、車両を店舗・倉庫と見なし拠点コストを最小化する独自のビジネスモデルで上位2社を追いかけている。 2. ビジネスモデルの特長 同社は独自のビジネスモデルを持ち、6つの特長がある。 (1) 全サービススタッフ正社員化 特長の1つは、全サービススタッフ(256名、2018年2月)が正社員であることである。正社員化のメリットは士気が高く、長く会社にとどまることを前提とするため技術の向上も期待できる。年齢層は30代から40代が多いが、50代の採用も多く伸びが高い。スキルの高い人材の数で業績が規定される業界だけに人材採用が順調に進捗していること自体が強みである。ちなみに同業のクラシアンは正社員比率が5割程度、イースマイルは正社員比率が2割程度と推定される。2020年2月期にはサービススタッフ400名体制を目指す。 (2) 独自の研修制度・処遇 同社は自らの事業を「修理業」ではなく「サービス業」と再定義し、技術のみならずマナーや身だしなみにも徹底的に配慮する。全員が月1回、 全国から東京に集まり、研修及びミーティングを行い技術やサービスを研鑽する。トラブル箇所以外の修理提案や水まわり製品の買い替え提案なども行えるサービススタッフが同社の強みとなっている。将来にわたるキャリアパスが複数用意されており、現場を続ける、プレイングマネージャーとして部下を育てる、本社スタッフとなるなど多彩な活躍の場がある。近年は福利厚生を含めた様々なフォロー体制が整備され退職率が大幅に低下する傾向にある。 (3) 車両が店舗(無拠点化) 同社は店舗(営業拠点)を持たずに、スタッフが自宅から現場に直行し直帰する。会社から貸与される車両は、GPSなどのITシステムを装備した“動く店舗・倉庫”であり、“誰が現在一番現場に近く、どんな在庫を持つのか”などが可視化されている。2018年5月からは見積書、請求書、領収書などがすべてiPadで表示でき、車両内にあるプリンターでも印刷できるようになっており、業務がさらに効率化された。 (4) 機動的な広告宣伝 同社はタウンページ、Web、マグネット、ちらしなどを複数活用しており、近年は屋上や道路沿いの看板広告を増やしている。現在TVCMは行っていない。顧客獲得コストを下げるために、広告効果を分析した上で時間別にきめ細かく広告媒体を使い分けており、受注が多い日にはWeb広告を止めたりするオンタイム管理を徹底して行う。 (5) コールセンター力 同社は24時間365日対応のコールセンターを自社運営している。コールセンターのスタッフも正社員が中心であり、顧客との最初の接点として、またはサービススタッフとのやりとりを行う“司令塔”として活躍している。同社は「正確、迅速、丁寧、スムーズ」な対応の実現を目指しており、その面でも不可欠な存在だ。以前は夜間の業務を外注に出していたこともあったが、夜間も自社運営に切り替えた後に成約率が向上したというエピソードがあり、同社スタッフのノウハウが垣間見える。 (6) 業務提携先の充実 同社は「水道屋本舗」という屋号で自社運営を行う一方で業務提携先からの受注も増やしてきた。業務提携先としては、西部ガス<9536>、大阪ガス<9532>、広島ガス<9535>、ALSOK<2331>(綜合警備保障(株))、アクアクララ(株)、ジャパンベストレスキューシステム<2453>、など名だたる大企業である。業務提携先が営業・顧客紹介を行い、同社が水まわり緊急修理を行うという役割分担である。現在、自社運営と業務提携先経由の受注比率は半々程度であるが、この比率を維持しながら成長と収益のバランスを取りたい考えだ。 3. ミネラルウォーター販売事業 同社は2008年にウォーターディスペンサーの取り扱いを開始し、ミネラルウォーター販売事業を開始した。2009年にはペットボトル入りのミネラルウォーターの販売を開始。事業は軌道に乗り、現在は全社売上高の10%を超えるまでに成長した。主な成長の要因としては、1)東日本大震災後や熊本地震後の特需及びその後の保存水の入替需要2)学校、ホテル、企業などのBtoB販売において、新規顧客を順調に獲得、などが挙げられる。特に同社が強いのはBtoB市場におけるPB(プライベートブランド)商品の企画提案である。大学がオープンキャンパスなどで配布するブランド入りペットボトルに関しては国内シェアNo.1である。また、ホテルのPB商品(ウェルカムドリンクとして主に消費される)でも攻勢をかけており、新規顧客の獲得が続いている。注文のリピート性が高くストック型の事業特性のため、今後も安定成長が見込まれる事業である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫) 《MH》
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