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東都水産 Research Memo(1):中期的に収益構造を改善させ、厳しい事業環境を克服へ

2017/12/1 15:31 FISCO
*15:31JST 東都水産 Research Memo(1):中期的に収益構造を改善させ、厳しい事業環境を克服へ ■要約 東都水産<8038>は、築地市場の水産物卸売業者の大手である。独立系で、水産物卸売事業のほかに冷蔵倉庫業及びその関連事業、不動産賃貸事業を併営、子会社では地方市場での水産物卸売、カナダでの水産加工品の製造も行っている。かつて漁業大国と称された日本も、高齢化や食の多様化などにより魚の消費量が長期的に減少傾向にある。また、水産資源の減少や世界的な魚食志向の高まりなどから魚価が上昇傾向にあり、水産物卸売業界は厳しい環境にある。 同社は大正初期、日本橋魚河岸の魚問屋として創業、1935年の築地市場開場と同時に魚類卸売会社、東京魚市場株式会社として設立された。戦中~戦争直後は統制や閉鎖など時代に翻弄されたが、1948年3月に現在の東都水産株式会社となって再スタート、以来、東京を中心に関東一円の食卓を担う水産物卸売業者として、国内及び世界各地から集荷した生鮮・冷凍魚介類はもとより、あらゆる水産加工品の安定供給に努めている。 同社主力の水産物卸売事業は、本マグロを始め各種マグロを扱う大物部、日本近海や世界各国から集められた鮮魚・養殖魚などを扱う鮮魚部、ウニやアワビ、活魚など業務用高級魚がメインの特種部、アジの開きなど幅広い種類の干物・練製品・合物を扱う加工品部、冷凍品から伝統的な塩蔵品までを扱う冷凍塩魚部の5つに大別される。 築地市場は世界最大級の卸売市場と言われる。卸売市場は、水産物流通の中で荷を受けてから仲卸が小売りへ販売するまでの集荷、価格形成、分荷という役割があり、社会性は非常に高い。その卸売市場が、今、課題山積となっている。魚価の上昇、水産資源の減少や魚の回遊水域の変化による漁獲量の減少、食の多様化や人口減少に伴う国内の魚需要減少、市場外流通の拡大などである。また、築地市場に限って言えば豊洲市場への移転問題がある。非常に厳しい環境ではあるが、同社は、強靭な収益構造と強固な財務体質を確立することで、水産物卸売事業の持続的成長を経営の最優先課題として取り組んでいる。 2018年3月期第2四半期は売上高が56,141百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益541百万円(同2.7%増)となった。主力事業の水産物卸売事業は、水産資源の減少や世界的な魚食志向の高まりなどから魚価が上昇、人口減少に伴う国内の魚需要減少などにより取扱数量が減少し、売上高が51,591百万円(同1.9%減)となった。一方、魚価高の影響で原価も下がらず売上総利益率が悪化したが、人件費など販管費を抑制、営業利益は93百万円(同17.4%増)となった。期初の見通しに対して、売上高と売上総利益率の未達を販管費の抑制でカバーした。 2018年3月期通期業績について、同社は売上高115,000百万円(前期比3.5%減)、営業利益1,200百万円(同10.8%減)を見込んでいる。下期も外部環境に起因する売上高と売上総利益率の苦戦傾向が変わらないと想定されることから、販管費抑制で期初見込みの営業利益を確保する方針である。主力の水産物卸売事業における経営環境の厳しさに対して、現状を打開する短期的ソリューションはなかなか見つからない。 しかし同社は、豊洲市場移転を弾みに収益構造を改善していく考えである。2017年4月に事業開発統括本部を設置し、グループ横断的に新規事業を推進することになった。今まで消極的だった大手量販店などとの取引を積極化させる一方、加工や輸出にも注力する考えである。同社のカナダ・バンクーバーにある子会社AERO TRADING CO., LTD.には加工・輸出のノウハウがあるが、こうしたノウハウを同社が取り込むことで、多角化を図り新たな成長のシーズにしようというのである。豊洲市場移転後に策定が期待される中期経営計画が楽しみだ。 ■Key Points ・築地市場の大手水産物卸売業者。社会性は高いが、魚の消費量減少、魚価上昇と厳しい環境にある ・2018年3月期第2四半期は販管費抑制主因に営業増益。通期も同様の傾向で、期初見通し確保へ ・豊洲市場への移転を弾みに市場外取引や加工、輸出にも注力、中期的に収益構造を改善する考え (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《MH》
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時価総額 22,143百万円
1935年創業の水産物卸売会社。生鮮・冷凍魚介類、水産加工品の販売を行う。生鮮・冷凍マグロ等が主要取扱品。冷蔵倉庫及びその関連事業、不動産賃貸事業も展開。高付加価値商品の深耕、海外事業の拡大等に注力。 記:2024/10/08