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enish Research Memo(2):モバイルゲームの開発・運営会社で、ネイティブアプリ、非ゲーム事業へと展開

2017/10/11 17:48 FISCO
*17:48JST enish Research Memo(2):モバイルゲームの開発・運営会社で、ネイティブアプリ、非ゲーム事業へと展開 ■会社概要 1. 会社沿革 enish<3667>は2009年2月にヤフー<4689>出身で現在の代表取締役社長である安徳孝平(あんとくこうへい)氏と取締役の公文善之(くもんよしゆき)氏が中心となって設立された。ソーシャルゲームアプリの企画・開発・運営事業からスタートし、2009年に飲食店と位置情報に連動したモバイルゲーム「ぼくのレストラン」をリリース。公開後、13日間で50万ユーザーを達成した。その後、2010年に経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン2」、アパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」を相次いでリリース。いずれも女性層を中心に高い支持を集め、現在も両タイトルで同社売上高の一定割合を占めている。なお、これらタイトルはいずれもmixi(ミクシィ<2121>)やGREE(グリー<3632>)といったSNSプラットフォーム上で配信するブラウザゲームであったが、2012年にガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>がリリースしたネイティブアプリ「パズル&ドラゴン」が大ヒットし、多大な利益を稼ぎ出したことから、ゲーム開発の流れもブラウザゲームからネイティブアプリにシフトしていった。同社もネイティブアプリのタイトルをその後、複数リリースしてきたが、2016年1月にリリースしたバトルRPG「12オーディンズ」が200万ダウンロードを達成し、ネイティブアプリとして初めてのヒットタイトルとなった。 同社の業績は2013年12月期をピークに悪化傾向が続いているが、ゲーム業界がブラウザゲームからネイティブアプリに移行するなかで、ヒット作品を創出できなかったことが背景にあると見られる。同社は収益の立て直しを図るため、ゲーム事業については事業の集中と選択を進め、ブラウザゲームについて自社運営が困難と判断したタイトルについては、運営委託先の企業に売却を行い(2016年12月にカードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」を(株)C&Mゲームスに、2017年4月に育成シミュレーションゲーム「プラチナ☆ガール」を(株)ビジュアライズに売却)、新規開発についてはネイティブアプリのみに絞っている。 一方で、収益基盤の安定化を図るため非ゲーム事業の育成にも取り組み始めている。2016年1月にファッションレンタルサービス「EDIST. CLOSET」を開始したほか、2017年4月には恋活・婚活アプリ「metune」をリリースしている。また、2017年6月にはヤフー株式会社が運営する「Yahoo!ゲーム」のスマートフォン向け人気ゲームアプリをWindows®パソコンで楽しむことができるPC用アプリケーション「Yahoo!ゲーム プレイヤー」が提供開始され、その開発を担当している。現在、同社タイトルである「12オーディンズ」を含めた5本のタイトルが利用可能となっている。 なお、株式上場は2012年12月で東証マザーズ市場に上場後、1年後に第1部に市場変えをしている。 2. 事業内容 同社は、インターネットを通じたモバイルゲームの企画・開発・運営を行うモバイルゲーム事業を主たる事業としている。モバイルゲーム事業の流れを簡単に見ると、「GREE」や「DeNA(ディー・エヌ・エー)<2432>」「mixi」といったSNSプラットフォームを通じて配信するブラウザゲームと、直接、ユーザーがスマートフォンからダウンロードして利用するネイティブアプリゲームの2種類の商流で提供している。ブラウザゲームの売上収入に関しては、利用者がゲームをプレイする際に購入する各種アイテムの購入料金についての回収はプラットフォーマーに委託しており、その対価としてシステム利用料を支払っている。一方、ネイティブアプリに関しては、プラットフォーマーを介さないため、システム利用料の支払いはなくなるものの、決済会社に対して回収代行料を支払っている。ネイティブアプリの場合は、広告宣伝を全て自社で負担する必要があるが、システム利用料の負担がないため、ヒットした場合は利益率も高くなる。 ネイティブアプリの主要KPIは、ゲームタイトルのダウンロード数を増やす際のCPA(顧客獲得単価)と顧客継続率、ARPU(顧客当たり平均売上高)の3つが挙げられる。このうち顧客継続率とARPUについては、ゲーム内容やアイテムの課金方法等によって変わってくるため、この数値を上げることができればそのタイトルの収益性も向上することになる。開発費については年々増大する傾向にあり現在は1本当たり3~5億円程度かかっている。また、広告費についてはリリース時に1~2億円程度かけ、その後はCPAの最適化を図りながら継続的に広告を打っていく。また、運営費も顧客継続率やARPUの維持向上を図るために、新キャラクターやアイテム等の制作、各種イベントを実施するなどしており、毎月一定程度のコストが掛かっている。こうした開発費や運営費の多寡にもよるが、最近のネイティブアプリの損益分岐点は月商で1億円程度が目安と言われている。 現在の主要タイトルは、ブラウザゲームではレストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン2」、アパレルショップ経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」の2本でいずれもLTVの長い女性層をターゲットとしたゲームとなっている。 一方、ネイティブアプリではリアルタイムバトルRPGゲームの「12オーディンズ」で2016年1月の配信後、200万ダウンロードを達成しているほか、海外配信も今後予定している。台湾、香港、マカオでは台湾のゲーム開発・運営会社であるFunmily Technology Co, Ltd.、中国では上海東方明珠迪爾希文化伝媒有限公司(OPD2C)※1、タイではHot Head Co, Ltd※2と独占ライセンス契約を締結している。現在、ローカライズ仕様の開発を行っており、それぞれ2017年内の配信を予定している。 ※1 OPD2C社は大手メディア文化産業グループの上海東方明珠新媒体股分有限公司(コード番号600637 上海A株)とNTTドコモ<9437>のグループ会社であるD2C社の合弁会社で2014年6月に設立されたゲーム開発・運営会社で、主に日本のアニメをゲーム化して配信を行っている。親会社は国営のテレビ局であり、番組と連動したプロモーション展開も行っている。 ※2 Hot Headはタイで最も影響力のあるテレビ局「Channel3」のExecutive Directorが中心となって2017年4月に設立された会社で、同国内のトップタレントやトップアーティストなどのエンターテイメントネットワークを最大限活用することで、3年後に国内最大手のゲーム配信会社になることを目指している。 なお、従業員数については2016年12月末で128名、このうち大半はモバイルゲーム事業となり、企画部門・アート部門・開発部門でそれぞれ約3割の構成となっている。また、キャラクターの制作等は外部委託している。2016年よりスタートしている非ゲーム事業(ファッションレンタルサービス、恋活・婚活アプリ事業等)の人員については15名程度となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MW》
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