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カドカワ Research Memo(6):電子書籍・電子雑誌の成長と返品率の低下により出版事業は大幅増益に

2017/6/14 15:36 FISCO
*15:36JST カドカワ Research Memo(6):電子書籍・電子雑誌の成長と返品率の低下により出版事業は大幅増益に ■カドカワ<9468>の業績動向 2. 事業セグメント別動向 (1)Webサービス事業 Webサービス事業の売上高は前期比5.6%減の31,275百万円、営業利益は同39.3%減の2,815百万円となった。主力のポータル事業については有料の「プレミアム会員」が減少(前期末比13万人減の243万人)したほか、広告収入もスマートフォン対応の遅れによって微減収となったが、月額有料会員数の増加(前期末比14万人増の59万人)によってカバーし、売上高は前期並みの水準を維持した。ただ、利益面ではniconico動画のサービス向上を目的としたリニューアル投資※やアプリ開発のコスト負担増により減益となった。 ※2016年8月18日より、「ニコニコ動画」に投稿可能な動画ファイルの容量を従来の100MB(プレミアム会員)から最大1.5GBへ拡大。10月27日より、新たな動画視聴ページである「HTML5版(β)」を開始し動画再生待ち時間を短縮。11月1日より、ニコニコ生放送を1Mbpsで高画質配信/視聴できる「新配信(β)」を提供開始。加えて、スマートフォンアプリとして「(配信専用)ニコニコ生放送」(10月~)や「niconico ch」(11月~)をリリースした。 ライブ事業はポータル事業の広告宣伝的な位置付けのため費用項目的な位置付けとなるが、当期も「ニコニコ超会議2016」や「ニコニコ町会議2016」「ニコニコ超パーティー2016」「闘会議2017」など数多くのイベントを実施した。売上高は前期比で微減収となったが、利益面では「ニコニコ超会議2016」の制作費が増加したことにより損失額も拡大する格好となった。モバイル事業については、音楽配信サービスの会員数減少傾向が続き(前期比28万人減の133万人)、前期比で2ケタ減収減益となり、同事業セグメントの減益要因の過半を占めた。なお、同社グループが開発販売するゲーム制作ツール「RPGツクールMV」による自作ゲームの投稿コミュニティサービス「RPGアツマール」を2016年11月にリリースしたが、サービス開始以降で総プレイ回数が300万回に達するなど人気を博している。 (2) 出版事業 出版事業の売上高は前期比7.4%増の113,012百万円、営業利益は同32.8%増の8,342百万円と同社セグメントの中で唯一増収増益となった。紙書籍市場が緩やかに縮小するなかで、電子書籍・電子雑誌市場が拡大するなど市場の構造変化が進み、同社においても電子書籍・電子雑誌事業が前期比2ケタ増収増益と計画どおり好調に推移し、同事業セグメントのけん引役となった。 一方、紙書籍についても「君の名は。」の関連書籍が計画を上回って好調に推移したほか、「ソードアート・オンライン」、「Re:ゼロから始める異世界生活」、「この素晴らしい世界に祝福を!」などの人気のメディアミックス作品も好調に推移した。また、ヒット作品のジャンルも従来の強みであったライトノベルやコミックス、文芸以外にも、ノンフィクションや児童書分野にも広がりを見せており、大ヒット作に依存せずに新刊点数を維持しながら着実に利益を上げる仕組みが構築されてきたと言える。また、営業と編集のスムーズな連携が定着したほか、書店での販売状況を把握し、精度の高い需要予測での生産・出荷を進めていることから、返品率が当第4四半期には30%を下回る水準まで低下し、また在庫の削減も進むなど収益性の改善に寄与している。 一方、紙雑誌については収益源となる広告収入が減少するなかで赤字が続き、事業構造の転換を進めてきた。具体的には、主力の「ザテレビジョン」や「Walker」シリーズの電子メディアへの移行を進め、新たな付加価値を加えるなどして広告収入の回復に取り組んだ。この結果、紙雑誌については赤字継続ではあるものの赤字幅は縮小した。 (3) 映像・ゲーム事業 映像・ゲーム事業の売上高は前期比0.3%増の44,402百万円、営業利益は同8.4%減の3,312百万円となった。映像事業では、「君の名は。」の大ヒットによる製作委員会からの収益分配金が貢献したほか、アニメ作品を中心に映像パッケージソフトの国内販売が堅調に推移したこと、また、「文豪ストレイドッグス」や「ハンドシェイカー」等の海外へのライセンス販売収入も貢献したことで、利益は計画を上回った。 一方、ゲーム事業ではメディアミックス作品となる「Re:ゼロから始める異世界生活-DEATH OR KISS-」や「ダンガンロンパ」、「ウィッチャー」などのシリーズタイトルの販売、「DARK SOULS 3」のダウンロードコンテンツ販売、ロイヤリティ収入が好調だったものの、ソーシャルゲームタイトルの利益が不振れた。また前期比では「DARK SOULS 3」の貢献度が小さくなったことや、ソーシャルゲームで新規タイトルの投入時期が2018年3月期にずれ込み、開発費が先行して計上されたことが減益要因となった。 (4) その他事業 その他事業の売上高は前期比5.3%減の20,209百万円、営業損失は1,635百万円(前期は営業損失1,011百万円)となった。売上高は物販が減少し、利益面ではインバウンド関連の事業開発費用並びに調査費用の増加、教育事業の投資コスト増などが損失拡大要因となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NB》
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旧KADOKAWAとドワンゴが経営統合。出版・IP創出事業が主力。アニメ・実写映像事業、ゲーム事業、通信制高校の運営等も。中計では28.3期売上高3400億円目標。出版IP数の拡大などに取り組む。 記:2024/06/13