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3Dマトリック Research Memo(3):欧州市場での止血材の販売は着実に拡大(2)

2017/1/13 9:05 FISCO
*09:05JST 3Dマトリック Research Memo(3):欧州市場での止血材の販売は着実に拡大(2)   ■スリー・ディー・マトリックス<7777>の業績動向 (2)吸収性局所止血材(TDM-621)の地域別取り組み状況と今後の計画 a)欧州地域 欧州市場では、2014年1月にCEマーキングを取得後、2016年4月期第1四半期からドイツ、フランス、英国等の有力医療施設をターゲットに販売代理店を通じた販売を開始している。販売代理店は2017年4月期第2四半期末で前期末比10社増の19社に増加し、販売国も西欧に加えて、北欧3ヶ国や南欧、中東などに広がった。販売代理店がターゲットとしている医療施設数(受注コンタクト実施先)についても前期末比で30件増加の150件まで拡大するなど、欧州での売上拡大に向けた販売体制が着々と構築されている。 同社では販売代理店の開拓状況に関して、「前期までは苦労したが、今期に入って相手先からコンタクトを求めてくるなど明らかに風向きが変わってきた」と述べている。心臓外科や消化器病の学会等でKOLによる臨床成果が発表され、業界内で同社止血材の認知度が上昇してきたことが背景で、直近ではロシアからも複数のオファーが来ているようだ。販売代理店を開拓し、その代理店の顧客であるKOLが同社製品を使用し、高評価のフィードバックを獲得、それがさらに販売代理店の獲得につながるといった好循環が生まれているようだ。同社では2017年4月までに販売代理店を30社、ターゲット医療施設数を250~300件まで拡大していくことを目標としている。 第2四半期累計の売上高は25百万円となった。四半期ベースで見ると第1四半期の6百万円から第2四半期は3倍増の19百万円に拡大した。医療施設での製品導入姿勢が慎重だったこと、製品導入に際して想定以上に時間を要したことから、第1四半期の販売実績は計画比で未達となったものの、第2四半期は販売代理店やターゲット医療施設の増加とともに売上高も増加し、会社計画比で96%の進捗となった。円高の影響を考慮すれば会社計画どおりの進捗だったと見られる。 第3四半期の売上計画は約40百万円、第4四半期は200百万円を超え、通期で294百万円(前期28百万円)を見込んでいる。第4四半期に売上高が大きく伸びるのは、2016年11月にドイツで販売権許諾契約を締結したNicolai Medizintechnik GmbH(以下、Nicolai)※向けが年明け以降に本格稼働することや、フランスでも同規模の販売会社と近日中に販売提携契約を締結する見込みとなっていること、第2四半期までに販売代理店を通じてコンタクトしてきた医療施設への導入も第4四半期以降拡大することなどが要因だ。欧州の医療施設では新規医療製品の導入に、3~12ヶ月の時間を要するケースも多く、これら医療施設向けが本格稼働すると見ている。なお、11月−12月の販売状況はほぼ会社計画どおりの進捗となったようだ。 ※Nicolaiは、世界有数のヘルスケアカンパニーで主に体外診断機器や医療機器の製品開発・販売を展開するWERFENLIFE(スペイン)のグループ会社。同グループの2015年度売上高は約1,400億円。 止血材の臨床使用としては現在のところ、心臓血管外科や内視鏡手術向けが大半を占めていると見られる。これら領域においてKOL(著名医師)による臨床使用報告が学会等で発表され、業界で認知度が広がってきたことが要因となっている。また、臨床使用が遅れている臓器出血用についてもラパロ(腹腔鏡手術)用において、同社止血材の操作性の高さが評価されており、現在CEマーキングの登録申請中であるラパロ用アプリケーターが承認されれば、売上高も増加していくことが予想される。 なお、欧州市場全体を対象とした独占的販売権の契約交渉については、候補先企業が従来の3社から4~5社に増えているようだ。心臓血管外科領域と内視鏡手術領域でそれぞれ2~3社と契約交渉を進めている。契約締結の条件として、販売実績データの蓄積が必要との条件は変わらず、今後、会社計画どおりに販売が拡大すれば2018年4月期中にも契約が締結されるものと予想される。臓器出血領域においては症例実績の積み上げに時間を要しそうなことから、適用領域を心臓血管外科や内視鏡的手術に絞った格好で販売契約を締結する可能性がある。契約締結による契約一時金としては、従来と同じく全体で2,000百万円となる見通しだ。また、欧州向けの止血材の売上計画としては、2018年4月期に約1,800百万円、2019年4月期に約3,800百万円を見込んでいる。 なお、止血材として売上の拡大を進めているPurastatだが、適用領域を拡大して内視鏡手術後の後出血予防材としての市場開拓も見込める状況となってきている。現在、CEマーキングの登録申請を行っており、早ければ2017年4月期中にも承認される見込みとなっている。欧州では食道や胃、大腸等の内視鏡手術後に約5~20%の割合で術後出血があり、創傷治癒の遅延や治療部位の症状悪化によって、再入院するケースがある。患者のQOLの維持や医療費・医師の負担軽減なども含めて、術後出血予防に対する潜在的なニーズは高い。 2016年10月に開催された欧州最大の消化器病学会(The UEGW 2016)において、複数のKOLからPurastatの創傷治癒効果や止血予防効果についての報告が成されており、業界での認知度も広がりつつある。また、英国の代表的な医療施設であるNorthwick Park & St Mark's NHS Trust病院(英国の内視鏡手術の基幹病院)から、動物モデルで創傷治癒効果が認められるデータが発表されたこともプラス材料となる。 欧州市場における止血材市場は年間約1,000百万ドル程度とみられ、このうち消化器内科の需要は14.6%程度と同社では推定している。現状、消化器内科の内視鏡手術において止血材はなく、止血方法としては電気的な焼灼止血処置が一般的に普及している。同社は同領域において止血材の販売開拓を行っているが、術後出血予防材のCEマーキングが取得できれば、同用途での販売も開始する方針となっている。潜在需要は同領域における止血材の需要とほぼ同程度の規模が見込めることになる。また、同用途での承認が得られれば、販売パートナー契約の実現性が高まるものと弊社ではみている。 b)アジア・オセアニア地域 アジア・オセアニア地域についてはCEマーキング適用国において製品登録申請等を行い、また、販売提携なども進めながら売上を拡大していく計画となっている。当第2四半期累計の売上高は3百万円と期初計画に対して約12%の水準と低調に推移した。これは主力販売先であるオーストラリアのMaquet向けについて、前第4四半期の初期ロット納入分(17百万円)の販売が継続しており、追加発注分が第3四半期以降にずれ込んでいることが主因となっている。 Maquetでは耳鼻咽喉科や婦人科など顧客基盤が強固な領域から営業活動を開始し、心臓血管外科や腹腔鏡手術分野の営業については2017年1月以降と当初計画から変更したことが要因のようだ。ただ、耳鼻咽喉科や婦人科において販売開始後数ヶ月で現地のKOLから高い評価を得ており、リピートオーダーにつながるなど、新領域の開拓が進んだことは今後の止血材の成長ポテンシャルが高まったという点において評価される。特に、耳鼻咽喉科では狭いスペースでの止血箇所への正確な塗布や、透明材料による視認性の高さといったPurastatの優位性が生かされる分野であるほか、競合品も少ないだけに今後、シェアを獲得する可能性は高い。 KOLの評価によると、止血効果もさることながら、術後の癒着防止効果も大きいとしている。通常であれば、術後に止血のための詰め物や洗浄が必要だが、Purastatを使えばこれらが不要となる。また、競合品の場合は残留物が残るため患者に不快感が残るほか、癒着してしまうケースも半数程度の確立で発生するが、Purastatを使用した患者では術後の癒着や残留物は残らない。こうしたことから、シドニーのKOLは競合品から同社製に切り替えており、同様の動きが他の病院でも広がりつつあると言う。市場規模はオーストラリアだけで20~40億円と推定されているが、同社ではこうした成果を受け、今後他の市場でも臨床使用を進めていく方針としている。 なお、アジア・オセアニア市場における止血材の通期売上高は172百万円(前期は52百万円)を計画している。このうち年間購入契約を結んでいるMaquetとインドネシアのTeguhsindo向けで合わせて約60百万円が下期に計上される見込みとなっている。また、韓国向けについては、CEマーキングでの製品登録承認が得られれば販売パートナーであるDaewoong Pharmaceutical Co., Ltd.からマイルストーン収益50百万円と初期ロット分の製品売上65百万円が見込まれているが、CEマーキングの取得時期が期末直前になる場合は、出荷が間に合わず売上計上時期が2018年4月期にずれ込む可能性がある。その他、香港で継続的な販売が続いているほか、シンガポールやマレーシアでも製品販売が開始されているが、当初計画よりも進捗としてはやや遅れ気味となっており、通期の止血材の売上高は計画を下回る公算が大きい。 ただ、ここにきて中国での販売パートナー候補先との契約交渉が進んでおり、2017年4月期中に契約を締結できる可能性が出てきている。現在、現地の医療機器メーカーや病院グループなど複数社と具体的な協議を進めている段階だが、中期経営計画の中では2018年4月期に契約一時金として600百万円程度を見込んでいたことから、同程度の一時金収入が入る可能性がある。 c)中南米地域 中南米についてもCEマーキング適用国において製品登録申請等を行い、また、販売提携などを進めながら売上を拡大していく計画となっている。当第2四半期累計の売上高は2百万円となった。第1四半期にチリで販売を開始したのに続き、第2四半期にはブラジル、コロンビアで販売を開始し、売上高に寄与している。 第3四半期以降はメキシコでも販売を開始する予定となっており、市場規模の大きいブラジルと合わせて拡販に注力していく方針となっており、通期の売上高は30百万円を計画している。計画に見合うだけの受注を既に得ていることから、同地域に関しては計画を達成する可能性が高いと見られる。なお、ブラジルでは、エリアごとに販売代理店と契約し効率的に拡販していく戦略となっており、既に5社と契約、1社と契約に関して合意済みとなっており、合計6社でブラジル市場の70%をカバーできる体制となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《TN》
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時価総額 11,017百万円
自己組織化ペプチド技術を用いた医療製品を開発する。外科領域、組織再生領域、ドラッグ・デリバリー・システム領域で事業展開。消化器内視鏡領域の止血材は欧米で好調。欧州で次世代止血材の製造販売承認申請。疑義注記。 記:2024/09/19