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スターティア Research Memo(4):「スターティア光」が順調な進捗を見せる

2016/12/26 15:26 FISCO
*15:26JST スターティア Research Memo(4):「スターティア光」が順調な進捗を見せる ■事業部門別動向 (2) ITインフラ関連事業 a)事業の概要 ITインフラ関連事業は旧ネットワークソリューション事業と旧ビジネスソリューション事業が合体して構成された事業セグメントだ。ネットワークソリューション事業ではネットワークの構築やその関連機器の販売、各種クラウドサービスの提供等を、ビジネスソリューション事業では通信回線や通信機器の販売等を、それぞれ手掛けていた。すなわち、これら2つの事業内容を合わせるとシステムインテグレーター(SI事業者)の事業領域をカバーしていたという状況だった。ITサービス提供企業としてのスターティア<3393>が最も強化したいのは、中規模事業所を対象として、老朽化したインフラサーバーの入れ替えやネットワーク環境の高速化、クラウド環境への全面移行、AWS(Amazon Web Service)上でのネットワーク構築と保守・運用などの、より付加価値の高いシステムインテグレーションサービスの提供であり、その目的をより効率的に遂行する上では、旧来の2つの事業の統合は必然だったといえよう。 一方で、このビジネスモデルを進める上では、組織の変革とともに、営業担当者に求められるスキルセットや意識の在り方においても大きな変化が求められる。具体的施策として同社は、従来は商材のスペシャリストを育成・配置する「商材専任制」の営業組織形態だったものを、顧客ごとの担当者を固定する「顧客専任制」に変更した。顧客ごとのアカウントマネジャーを設置することで、顧客側はあらゆる事項についてアカウントマネジャーを窓口としてワンストップサービスを受けられる、というイメージだ。同社の潜在顧客層は自社でIT専任担当者を置く余裕のない中小企業であり、同社の価値は、“IT担当者の外注化”の実現にある。それゆえ、顧客専任制への移行はごく自然な流れと言える。上述のように、個々の営業担当者には自身の意識改革が求められるという大規模な変化であり、浸透するには一定の時間も必要と考えられるが、同社は2017年3月期を“次代の成長のための変革の年”と位置付けて取り組んでいる状況だ。 b) 2017年3月期第2四半期の動向と今後の見通し ITインフラ関連事業の特長は、ストック型収入の構成比が高いということだ。ITインフラ関連部門だけを取り出した形ではディスクローズされていないが、弊社では、ホスティングサービス売却前の段階ではITインフラ関連事業の売上高の50%超がストック収入によるものだったと推測している。ホスティングサービスの事業売却後でも50%弱がやはりストック収入となっており、収益の安定性は依然と維持されていると考えている。 ストック収入の内訳としてはカウンター収入の構成比が最も高いが、ここ1年で急速に伸びているのが「スターティア光」だ。これはNTT<9432>東西会社の「光コラボレーション」サービス開始を受けて同社が自社ブランドで光回線を販売したものだ。急成長期は過ぎたとみられるが、今後も一定の手数料が毎月安定的に入ることになる。 2017年3月期第2四半期にストック収入が減少に転じて見えるのは、前述のホスティングサービス事業の売却によるものだ。一時的には影響は大きく出た形となっているが、カウンター収入はMFP(多機能カラープリンター)の販売増に伴い、今後も着実に増収が見込まれるほか、デジタルマーケティング関連事業におけるストック収入(電子ブックソフト等の保守やクラウドサービス収入等)の増加などで、比較的短期間で落ち込みを埋めることは十分可能だと弊社ではみている。 ITインフラ関連事業は今第2四半期において順調な進捗を見せた。今第2四半期累計期間の売上高は前年同期比3.4%増の3,988百万円、営業利益は3百万円の損失で着地した。四半期ベースでの推移を見ると、第1四半期は、売上高は前年同期比9.1%増収となったが営業利益は69百万円の損失となった。これは組織改革や営業体制変更に伴う費用増加の影響と考えられる。第2四半期単独期間(7月−9月期)に入ると、売上高は前年同期比1.7%減収となったが営業利益は66百万円と前四半期から黒字転換を果たした。売上高が前年同期比減収となったのは、ホスティングサービス事業を7月1日付で(株)エーティーワークスに売却した影響によるものだ。営業利益が黒字化したのは、一時に膨らんだ費用が解消したことと、ホスティングサービス以外の残った事業が実体的に増収となったことが要因だ。 同社の今期の業績計画は、第1四半期から第4四半期にかけて、尻上がりに収益が拡大していく想定となっている。具体的には、売上高が毎四半期、前四半期比約300百万円増収という内容だ。この300百万円の増収幅のうち、200百万円程度をITインフラ関連事業が担っているというのが弊社の推測だ。今下期も、ストック収入については安定的な成長が見込まれ、この点ではリスクは小さいと考えられる。しかし、この実現のためには既存契約分からのストック収入の自然増だけでは足りず、新規契約・新規顧客の積み上げは不可欠だ。 新規顧客・新規契約の獲得は、フロー型とストック型の両方の商材で進められることになるが、フロー収入は、期間損益への単純な影響にとどまらず、ストック収入のベースを底上げするという側面もあり、業績インパクトはより大きいと弊社ではみている。例としてはMFPの販売(フロー)とその後のカウンター収入(ストック)の関係が典型的だ。これに、スターティア光などの典型的ストック型商材の新規契約が組み合わさって業績を作っていくことになるが、ハードルは決して低くはなく、計画に対して上下する可能性はある。 前述のように、同社は今期から商材専任制から顧客専任制へと営業体制を変更した。第2四半期までで体制変更の混乱や戸惑いといったものは払拭され、今第3四半期以降は新営業体制が軌道に乗り、本格的に収益拡大に寄与してくるものと期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《TN》
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