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ラクオリア創薬 Research Memo(4):動物薬の2つのプログラムは新薬の承認を取得済み、ロイヤリティ収入に期待

2016/8/30 15:42 FISCO
*15:42JST ラクオリア創薬 Research Memo(4):動物薬の2つのプログラムは新薬の承認を取得済み、ロイヤリティ収入に期待 ■導出済みポートフォリオの状況 ラクオリア創薬<4579>は2016年8月時点で、P-CABなどヒト領域で4つのプログラムを、動物領域で2つのプログラムを導出済みであり、全体的に順調な進捗状況となっている。特に動物薬の2つのプログラムはいずれも新薬の承認を米国で取得済みであり、今後はロイヤリティ収入という安定収入を獲得するステージに移行する見通しだ。 (1)5-HT2A/D2拮抗薬(RQ-3/ジプラシドン) ジプラシドンは統合失調症、双極性障害を適応症とする医薬品で、既にファイザーから欧米を含む83の国と地域で発売済みである。同社は日本国内の権利をファイザーから取得し、Meiji Seikaファルマ(株)にライセンスアウトした。Meiji Seikaファルマの開発状況は、2015年3月に第3相臨床試験を開始し、現在実施中という状況だ。今後、第3相臨床試験が順調に進めば、2019年春には新薬承認申請ができる見通しとなっている。 同社への業績インパクトとしては、まず、新薬承認申請や上市などの節目においてマイルストーン収入が得られることになる。また上市後は売上に応じたロイヤリティ収入が入ることになる。既存薬の売上規模から考えて、年商100億円以上の医薬品に成長する可能性があるとみられる。 (2)カリウムイオン競合型アシッドブロッカー/P-CAB(RQ-4/tegoprazan) テゴプラザンは、前述のように、韓国・台湾・中国及び東南アジア地域について、韓国CJヘルスケアに導出済みだ。そのCJヘルスケアは、韓国において第3相臨床試験を実施中であり、現状では、2017年中には韓国で新薬承認申請が行われ、2018年末には上市される見通しだ。CJヘルスケアは2014年7月に、テゴプラザンが韓国の「汎部署全周期新薬開発事業課題」事業に採択されたことを発表している。これは2020年までに1兆600億ウォンを投資する、国家的新薬開発プロジェクトだ。こうした事情やこれまでの開発状況から推測すると、順調に上市にこぎ着けられるものと予想される。 同社への収益インパクトとしては、開発の進捗に応じたマイルストーン収入と、上市後のロイヤリティ収入がある。注意が必要なのは、韓国の医薬品の市場規模が日本市場を大きく下回ることだ。CJヘルスケアによる韓国国内市場での売上高は年商50億円程度とみられる。 CJヘルスケアは中国市場での販売権も有しているが、中国については中国のLuoxin Pharmaとの間で中国市場における独占的コラボレーション契約を締結済みだ。すなわち、CJヘルスケアからLuoxin Pharmaへのサブ・ライセンスアウトということだ。今後、中国市場で開発が進捗する過程で、CJヘルスケアのみならず同社もマイルストーン収入を獲得する。さらに、上市された後は、中国市場での売り上げに対するロイヤリティ収入をCJヘルスケアと同社が一定の比率で分配する契約となっており、中国市場からのメリットを享受できる仕組みは整っている。IMS GMM (Global Market Measurement)によると、中国本土の胃酸抑制薬市場は2010年から2014年の間でおよそ25%/年の割合で成長しており、2014年の年間売上は26億ドルに届くとされており、中国市場における上市後の売上高は、韓国市場の数倍の規模に達するとみられる。 (3) 5-HT4部分作動薬(RQ-10) RQ-10についても、韓国・台湾・中国・インド及び東南アジアを対象地域としてCJヘルスケアに導出済みだ。CJヘルスケアは現在、テゴプラザンの開発に専念しており、本化合物の開発は開始されていない状況である。 (4) EP4拮抗薬(RQ-7/grapiprant)<ヒト新規医薬品> グラピプラントは急性及び慢性炎症性疼痛を主適応症とする化合物で、日本の丸石製薬(株)に導出済みである。丸石製薬は現在、前臨床試験段階にあり、開発戦略及び開発計画を構築中だ。同社は自身が持つ医学的及び研究開発における知見をもとに、丸石製薬の計画策定をサポートしていく方針だ。 (5) EP4拮抗薬(RQ-7/grapiprant、動物薬)及びグレリン受容体作動薬(RQ-5/capromorelin、動物薬) 同社は、愛玩動物における急性及び慢性疼痛を適応症とするグラピプラントと、愛玩動物における食欲不振・体重減少を適応症とするカプロモレリンについて、米Aratana Therapeutics, Inc.(以下、Aratana)に導出済みだ。Aratanaは順調に開発を続け、グラピプラントについては2016年3月に、カプロモレリンについては2016年5月に、それぞれ米FDAから製造販売の承認を取得した。これを受けてAratanaは、グラピプラントを『Galliprant®』の商品名で2016年秋に、カプロモレリンを『Entyce®』の商品名で2017年2月に上市する予定だ。なお、『Galliprant®』については欧州においても2016年2月に承認申請を実施済みで、現在審査中という状況だ。 さらに、Aratanaと『Galliprant®』について注目すべき大きな進展があった。Aratanaは今年4月、Eli Lilly and Company(イーライリリー社)の動物薬部門であるElanco Animal Health社(エランコ社)と、『Galliprant®』について全世界における戦略的提携を締結したことを発表した。この提携により、エランコ社は『Galliprant®』の全世界における独占的な開発・製造・販売の権利と、米国におけるAratanaとの共同販売の権利を取得した。弊社では、エランコ社の開発力と世界的販売網が加わることで開発が加速するとともに全世界での売上規模のポテンシャルが拡大し、『Galliprant®』の価値の最大化につながると期待している。それはすなわち、同社のロイヤリティ収入の拡大にもつながるということだ。 同社への収益インパクトとしては、2剤について承認申請時にマイルストーン収入を受領したほか、今後上市時にもマイルストーン収入が入る予定だ。また、その後は売上高に応じてロイヤリティ収入が入ることになる。 これら動物薬の年間売上高(米国内分)については、Aratana社内でも日本円で25億円~80億円と幅を持って見られているが、『Galliprant®』、『Entyce®』それぞれ年商50億円というのが現実的な目標値とみられているもようだ。Aratanaはこれら2剤について全世界での販売権を持っているが、当面は米国に加えて欧州での上市を目指すものとみられる。将来、欧州での発売が軌道に乗った場合には、2剤2地域で、それぞれ50億円の年商を獲得して、総額200億円規模の売上高に達する可能性がある。また、『Entyce®』のように食欲不振を適応症とする薬は世界的にも珍しく、日本国内の獣医師の中には個人輸入で使用を考えている医師もおり、上市後の売上高のみならず、実際に使用した獣医師やペットの飼い主の評判なども大いに注目される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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旧ファイザー中央研究所が前身の創薬ベンチャー。愛知県名古屋市に本社。胃酸分泌抑制剤「テゴプラザン」、ペット用医薬品等を手掛ける。低分子創薬、イオンチャネル創薬が強み。テゴプラザンは承認国が順調に拡大。 記:2024/08/19