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Eストアー Research Memo(3):量より質をスローガンに構造改革
2016/7/12 16:22
FISCO
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*16:22JST Eストアー Research Memo(3):量より質をスローガンに構造改革 ■構造改革の方向性と進捗状況 (1)システム事業の構造改革と進捗 Eストアー<
4304
>がシステム事業について構造改革に踏み切ったのは比較的早く、2013年頃だ。その当時はマーケティング事業の育成が本格化した頃であったが、システム事業は収益源として同社を支える存在となっていた。 システム事業における構造改革は、主としてストック収入に関するものだ。同社がシステム事業の構造改革に踏み切った背景は、EC支援サービスの顧客数の拡大という成長シナリオに限界を見たことがある。同種のサービスがあふれる中、顧客獲得コストと実際の獲得数・収入単価が見合わなくなってきたということだ。 そこで同社が取った行動は、大きく2つだ。1つは、主力サービス「ショップサーブ」の契約顧客の中で、低収益となっているOEM契約の解消だ。これは同社の草創期において外部の企業と業務提携を結び、それらを通じて獲得した顧客契約のことだ。同社と顧客の間に提携先企業を挟むため、同社にとっては収入と費用のバランスが取れていなかった。同社はこれらOEM契約の積極的解消に努めた。 もう1つはプラス方向の改革で、顧客単価の引き上げだ。“量より質”をスローガンに掲げ、良品良店の新規顧客獲得にシフトさせて、競争力のある商品を扱う店舗や、収益成長性の高い店舗、あるいは、売り上げ規模が大きく、高い月額利用単価が見込める中堅企業などに重点を置くことを徹底した。 こうした施策の効果は明確に現れている。契約顧客数と、顧客1店舗当たり売上高の推移を見ると、OEM契約の解消と良品良店へのシフト運動の結果、契約店舗数は減少したが、反対に一店舗当たり売上高は2014年3月期から2016年3月期の2年間で31.6%上昇した(通期ベースでの比較)。 1店舗当たり売上高の上昇の要因をさらに詳しく分析すると、店舗数が減少した(割り算の分母が小さくなった)影響はほとんどなく、店舗売上高は実体的に増加している。この点はフロウ型収入が増大していることからも推定できる。実体的に売上高が増大した要因としては、1)良品良店へのシフトで顧客構成が変わった影響、2)マーケティング事業の中の販促事業(詳細は後述)による効果、などがその理由として考えられる。両者の貢献度を厳密に分けて取り出すことはできないが、弊社ではこれまでの実績としては1)の影響が大きかったとみている。今後は2)の効果によるフロウ型収入の増大が期待される。 (2)マーケティング事業の構造改革と進捗 a)構造改革の内容と進捗状況 マーケティング事業は、当初はシステム事業における顧客(ASPサービス「ショップサーブ」の契約者)の売上高を増大させる目的で始まり、その後施策が追加され、2016年3月期に入った段階で「集客事業」、「メディア事業」及び「販促事業」の3つのサブセグメントが存在するに至ったことは前述のとおりだ。 2015年3月期までは3つのサブセグメント事業それぞれを拡大させる方向で動いていたが、2016年3月期に入って同社は大きな決断を下した。一言で言うと、マーケティング事業の中身を販促事業一本に絞り込んだということだ。 メディア事業は前述のように、同社がショッピングモール「PARK」を運営し、そこに出店する顧客企業の売上高確保を支援するものだ。競合はAmazonや楽天<
4755
>などだ。同社はPARKの集客のために年間1億円規模の広告宣伝を行ってきたが、それはほとんどそのまま営業損失へとつながる状況だった。同社はここにメスを入れた。まったく広告を打たない場合にどの程度PARKの集客が落ち込むかを探ってきたが、売上の減少幅は50%にも満たないことが確認された。そこで同社は2016年3月期からPARKへの投資を絞り込み、その原資を販促事業やシステム事業での良品良店へのシフトなどに投下する方針へと転換した。 集客事業は子会社のプレシジョンマーケティングが担当していた。同社は2016年1月にプレシジョンマーケティングの持ち株比率を引き下げ、連結子会社から外した。プレシジョンマーケティングはEC以外の領域でインターネット広告による集客支援を行っていた。同社は、自社の事業領域がEC支援であるという根本原理に照らして、EC以外の領域を対象とするプレシジョンマーケティングの事業は、同社のコアビジネスではないとの判断から、連結子会社から外したものと推察される。この結果、同社は連結対象子会社がなくなり、2017年3月期からは非連結(単体)決算へと移行する。 これらの施策の結果、実質的には“マーケティング事業=販促事業”となるが、メディア事業は存続するため、これまで同様、マーケティング事業と販促事業を区別して説明する。 b)販促事業の現状 2017年3月期から同社のマーケティング事業は、実質的に、販促事業に一本化された。販促事業の内容は前述のとおり、集客と売上増大を目指して、調査・分析やコンサルティング、広告出稿を含めた集客代行、EC業務の運営代行などを幅広く扱う役務の提供だ。同社が販促事業に集中する決断を果たした背景には、販促事業の収益が着実に成果を出し、今後の事業発展に自信を持ったことがあるとみられる。 同社は販促事業を、2つのチームで2種類の顧客グループに対して展開してきた。1段目は、システム事業の営業部隊による、システム事業の既存客に対するものだ。システム事業の既存客からはASPサービスの月額料金(ストック)と売上高の一定割合の収入(フロウ)が入ってきているが、そこに、コンサルティングや業務運営代行といった販促事業としての役務提供サービスを重ね売りするというものだ。既存客への展開は、事業効率は非常に高いと言える。なぜならば、役務提供フィーと、売上高増大に伴うフロウがダブルで入ってくるためだ。ただし、システム事業はそもそも、売上高が数百万円から1億円未満小規模の企業や個人商店などをターゲット客として発展してきたため、仕組みとしては高効率だが、1店舗当たりの絶対額はさほど大きくないケースが多いとみられる。 2段目はまったくの新規客に対する販促事業の売込みだ。ここでは顧客の規模がケタ違いに大きくなり、主として、売上高で数億円から数100億円程度の中堅・大手企業を対象としている。これらの規模の企業でECを手掛けている企業は、EC店舗を自社サイト(本店サイト)に加え、Amazon、楽天、Yahoo!などに支店を出店しているケースが多い。ショッピングモールに出店した店舗の集客はモール自体の集客力に大きく左右される。それに対して自社サイトは、自助努力で集客・売上高を高めることができる。同社の販促事業はまず、本店サイトの集客・売上アップを目指して、ここに販促事業のEC支援サービスを提供していくものだ。これら新規顧客を対象とした販促事業においては、現状の収益モデルでは、収入は役務提供フィーに限られるが、企業規模が大きいため、絶対額ではシステム事業の既存客を対象とする場合に比べて大きくなると弊社ではみている。 2016年3月期の販促事業の売上高は前期比66%増の582百万円に達した。開始初年度の2012年3月期の売上高が約50百万円だったので、4年間で12倍近い急成長を達成したことになる。これまでのところは、販促事業の売上高の中心はシステム事業の既存客からの売上で、新規顧客からの売上はまだ少ないもようだ。しかし、2016年4月から新規顧客を対象にしたチームを強化し、新規客取り込みを本格展開する方針だ。同社が掲げる“先行投資”もこの分野に対する人的リソース拡充が中心とみられる。販促事業の業務を同社の基準でこなせる人材は業界全体でも決して多くはなく、そうした人材を十分に獲得できないことが先行投資の先送りにつながっているとみられる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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中小企業向け・大企業向けECシステムやマーケティングサービス等を手掛けるEC事業、ハンズオンインキュベーション事業を展開。HOI事業に軸足シフト。OMO施策の推進などにより、既存事業の収益拡大図る。 記:2024/10/11
4755 東証プライム
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時価総額 1,838,926百万円
国内最大のネットショッピングモール「楽天市場」、旅行予約サービス「楽天トラベル」を運営。楽天モバイル、楽天カード、楽天銀行などを傘下に持つ。クレジットカード関連サービスなどフィンテック部門は順調。 記:2024/07/08
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