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オンコリスバイ Research Memo(7):売上高が前期比321.2%増1.21億円、当期純損失が8.57億円

2016/3/24 16:18 FISCO
*16:18JST オンコリスバイ Research Memo(7):売上高が前期比321.2%増1.21億円、当期純損失が8.57億円 ■業績動向 (1) 2015年12月期業績 オンコリスバイオファーマ<4588>の2015年12月期の業績は、売上高が前期比321.2%増の121百万円、営業損失が951百万円(前期は827百万円の損失)、経常損失が854百万円(同726百万円の損失)、当期純損失が857百万円(同738百万円の損失)となった。 売上高はテロメスキャンに関するLiquid Biotech社とのライセンス契約締結に伴う一時金収入98百万円が増収要因となり、また、米ディサイフィラ社等へのテロメスキャン及びテロメスキャンF35の販売収入を計上した。利益面では、研究開発費が前期比161百万円増加したことを主因に、損失が拡大した格好となった。 (2) 2016年12月期業績見通し 2016年12月期の業績は、売上高で前期比55.5%増の188百万円、営業損失で1,273百万円、経常損失で1,273百万円、当期純損失で1,276百万円を見込んでいる。売上高は検査事業におけるライセンス収入及びウイルス販売、受託検査等による収入を見込んでいる。また、利益面では、テロメライシンやOBP-801など臨床試験を中心に研究開発費が240百万円増加することを主因として、営業損失で前期比322百万円悪化する見込みとなる。なお、為替前提レートは120円/ドルを想定しているが、海外売上高はすべてドル建て決済のため、今後為替変動が大きくなれば、収益に影響を与える可能性がある。 今期の主要パイプラインの取り組み方針は以下のとおりとなる。 ○テロメライシン テロメライシンについては国内と海外で臨床試験を実施する予定となっている。国内では現在、岡山大学で進めている医師主導型臨床研究を同社主導の臨床試験に切り替え、2016年内に第1/2相臨床試験(安全性・有効性の評価試験)を実施していく計画となっている。手術適応とならない食道がん患者を対象とした放射線療法との併用による臨床試験で、10症例程度、投与量も臨床研究段階よりも増やして実施する予定となっており、既にPMDAとの協議も終えている。 また、チェックポイント阻害剤との併用による食道がん患者を対象とした第1/2相臨床試験も並行して進めていく。こちらは国立がんセンター東病院との共同で、20〜30症例を目途に2年程度かけて実施する。 海外では、豪州・ニュージーランドで末期のメラノーマ患者を対象に、単剤及び免疫チェックポイント阻害剤との併用による第2相臨床試験を、2016年内に開始する予定となっている。メラノーマの患者数が同地域で多いためだ。症例数は約30症例を予定しており、10症例が終わった段階で中間解析を行い、2017年春頃を目標に中間結果発表を行いたいとしている。良好な結果が得られれば、2017年内にもライセンス契約が締結される可能性があり、その内容次第では年度決算において初めて黒字化することも想定される。 同社ではテロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤を併用することで、治療効果が最も高くなるとみている。免疫チェックポイント阻害剤では小野薬品工業<4528>のオプジーボが有名で、その薬効の高さから対象疾患領域もメラノーマから今後さらに拡大することが見込まれている。2020年には5品目の免疫チェックポイント阻害剤が上市される見込みで、市場規模も2015年の2,000億円弱から2020年には約2兆4,000億円規模に急成長すると予想されている。同社では免疫チェックポイント阻害剤との併用による薬効が示されれば、テロメライシンの売上ポテンシャルも500億円程度になると見ており、今後の開発動向が注目される。 ○テロメスキャン テロメスキャンに関しては、国内での検査工程の自動化を進める予定となっている。具体的には、現在、神戸の検査センターにて8名の人員で受託検査を行っているが、検査工程のうち、蛍光発光したCTCを検出する工程に関して従来は顕微鏡を目視で覗いて行っていたが、今上期中に自動化装置を新たに導入する計画となっている。同工程をオートメーション化することで、検査時間の短縮と生産性の向上が図られる見通しだ。 また、米国では提携先のLiquid Biotech社によって、510(k)での販売承認申請に向けた開発がスタートしており、今後3年内の申請を目指している。テロメスキャンに関しては前述したように既存技術よりもCTC検出率が高いことから、まずは転移がん・再発がんの早期検出用としての市場を開拓していく考えだ。また、将来的には採取したCTCのDNA解析を行うことでコンパニオン診断薬としての利用も想定される。2015年12月には米バイオベンチャーのディサイフィラ社が自社の開発する抗がん剤の臨床試験において、有効性評価を行う際にテロメスキャンを用いることを発表したが、今後、同様の動きが他の抗がん剤を開発する製薬企業でも広がる可能性もある。米国で事業化した後は、日本や欧州、アジアといったグローバルでの展開も視野に入れている。 世界のバイオマーカー市場は2018年に検査サービス等も含めて総額408億ドル規模となり、そのうちCTC市場はがん患者の増加に伴って年率2ケタ伸長し、79億ドルが予想されている。CTC市場では現在、米Veridex社のCellSearchがデファクトスタンダードとなっているものの、同社では「テロメスキャン」の性能の高さから、一定のシェアを獲得することは可能と見ており、2020年段階で検査キットの売上高だけで5〜10億円を目指していく考えだ。 ○OBP-601 抗HIV治療薬のOBP-601に関しては、徐放製剤として武庫川女子大学との共同研究を進めており、現在は、マウスモデルで1回の投与で2週間程度の薬効が確認されている。今後は製剤のカプセル等の改良を加えることで、1ヶ月程度まで伸ばしていくことを目標としている。ライセンス活動も徐放製剤での導出を進めている。仮に2016年内にこれらの事業進捗が進まなかった場合は、経営リソースの有効活用を図るという観点から、OBP-601の開発を中止する可能性もある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》
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