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イーレックス Research Memo(5):低圧分野の自由化によって対象市場は実質的に倍増

2015/9/25 16:06 FISCO
*16:06JST イーレックス Research Memo(5):低圧分野の自由化によって対象市場は実質的に倍増 ■中期経営計画及び成長戦略 (2)成長戦略のポイント a)販売面:小口・低圧市場への参入 一般家庭及び商店など小口需要家が主体の低圧分野は、電力需要全体の約40%を占めており、金額にして69,000億円の市場規模である。PPSに自由化されているのは特別高圧及び高圧分野のみであるが、イーレックス<9517>の場合は高圧分野(電力需要全体の約35%)の顧客が主体であるため、2016年4月の低圧分野の自由化によって対象市場は実質的に倍増することになるとみられる。 前述したように、低圧分野の顧客は負荷率が低いため、高圧分野の顧客に比べて採算性が高い。同社は代理店制度によって電力を販売しているが、自由化後の低圧分野の顧客に向けてもこれまで同様、代理店制度を活用して電気を販売する戦略である。同社の顧客は、他のPPSに比べて、平均契約電力(規模を表す)と負荷率がともに最低水準という属性を示している。この点でも同社の営業体制は小口の低圧分野にスムーズに対応できると弊社ではみている。また、前述のように、同社はこれまで代理店を活用して顧客の信頼を獲得してきたが、この手法は低圧分野の需要家に対しても有効であると考えている。 低圧分野の参入に向けて注目される取組みは、米国のSpark Energy社(スパーク・エナジー:NASDAQ<SPKE>)との連携である。同社は2015年9月4日、Spark Energy社との間で低圧需要家向けの電力小売事業を営む合弁企業「イーレックス・スパーク・マーケティング株式会社」(以下、「ESM社」)を設立したことを発表した。 ESM社はイーレックス80%、Spark社20%の出資からなる。事務手続き上の理由から会社は9月1日に設立済みで、10月1日から事業開始となる。Spark Energy社は米国16州において、住宅用及び商業用の需要家に電力・ガスを供給しており、低圧分野での営業ノウハウ及び知識を豊富に有していることが、今回の提携のベースとなっている。今後、家庭向け低圧電力の販売はもちろんのこと、ホールセールと言われるマーケットを活用した供給の多様化に関してもSpark社のノウハウを活用する方針だ。 低圧需要家向けの電力小売業を営むにあたっては「小売電気事業者」として経済産業省に登録が必要となる。ESM社も代理店制度を活用して一般家庭の需要開拓を行う一方、同時にLPG販売会社とタイアップして合弁会社を設立して同様に電力販売を行うなど、重層的な販売網を展開していく方針だ。 2015年9月15日に、ESM社の事業展開の第1弾が発表された。内容は、ESM社と鉄鋼商社の阪和興業<8078>、及び阪和興業の100%子会社で石油製品・LPガスなどの販売を手掛けるトーヨーエナジー(株)の3社で合弁会社イーレックス・スパーク・エリアマーケティング(株)を設立し、低圧分野の電力小売事業を行うというものだ。トーヨーエナジーは40年以上の社歴を有する大阪に本社を置く企業で、エネルギー販売の豊富なノウハウと強固な顧客網を有している。新合弁会社はイーレックス、スパーク・エナジー、阪和興業、トーヨーエナジーとそれぞれ強みが凝縮した形となり、それを活かして低圧分野の電力小売事業を拡大させていくものと期待されている。 同社は2016年以降の成長のすべてを小口及び低圧分野により実現しようとしているわけではないことには留意が必要である。現在の高圧分野においてもこれまで同様の成長を計画している。PPSの電気料金は既存の電力会社の料金に比べて割安であるが、一般家庭の場合は絶対額が小さいので、割安さを実感しにくく、それが顧客開拓の足かせになる可能性もある。その点では絶対値が大きい高圧分野の需要の方がアピールしやすいと言える。前述のように、高圧分野の顧客数は、2015年3月末から7月末までの4ヶ月間で、3,808件から5,159件へと1,351件(35%)も急増した。 このことは、統計上においても明確に読み取れる。電力需要に占めるPPSのシェアを見ると、PPS全体のシェアは2015年6月時点で6.71%であるが、成長をけん引しているのは高圧分野である。特別高圧は大規模工場など特殊な需要分野と言え、シェア上昇は頭打ち傾向が見て取れる。それに対してスーパー及びオフィスなど高圧分野のシェアは右肩上がりが続いている。これは前述した価格訴求が受容されやすいことが背景にあると弊社では分析している。ここは同社が最も得意とする需要家層であり、同社にとっては高圧分野もまだまだブルーオーシャン市場で、重要な成長源であるということである。 b)調達面:自社電源開発 2016年4月の低圧分野における電力自由化で同社の対象は一気に倍増する。顧客拡大の裏側では電力調達は極めて重要な課題である。 同社は2014年7月にイーレックスニューエナジー佐伯(株)を設立し、現在、大分県佐伯市に新たなPKSバイオマス発電所を建設中である。定格出力は土佐発電所よりも約70%多い5万kWの設備で、2016年秋に稼働予定である。佐伯発電所が稼働する2018年3月期の電源構成比は、バイオマスの比率が約30%に高まって低コストのベースロード電源の基盤が強化されるとともに、再生可能エネルギーなども加わって、一段と多様化する見通しである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《RT》
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相対や取引所を通じて調達した電力を小売販売。自社でバイオマス発電所も。大口の高圧顧客伸ばす。逆ざや販売も解消。ベトナムなどアジア諸国で発電所建設へ。JFEエンジ等4社引受先に第三者割当増資し財務改善。 記:2024/08/26