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宇徳 Research Memo(3):「安全作業の宇徳」という伝統の下、顧客からの信頼を獲得

2015/7/22 16:09 FISCO
*16:09JST 宇徳 Research Memo(3):「安全作業の宇徳」という伝統の下、顧客からの信頼を獲得 ■会社概要 (3)事業内容及び事業環境 a)港湾事業 宇徳<9358>の港湾事業は、京浜港(東京、横浜、川崎)、千葉港、茨城港を中心に、コンテナ船・自動車専用船・在来船・RO/RO船・重量物船等各種本船荷役を行っている。また、商船三井を始め大手船会社より指定を受け、コンテナ・RO/RO船ターミナルオペレーションを行うとともに、船の手配から輸出入通関、指定場所配送までの一貫作業を提供している。「安全作業の宇徳」という伝統の下、顧客からの信頼を得ている。 ○コンテナ船荷役 コンテナ船荷役は、1968年、本格的な海上コンテナ輸送時代の到来に合わせて開始した。同分野のパイオニアであり、京浜港で代表的なコンテナターミナルオペレーターとして業界をリードしている。コンテナターミナルの運営には、コンテナを蔵置する広いヤードとコンテナを取り扱うための大型クレーン等の荷役機器・設備を必要とする。 2011年4月に、国際コンテナターミナルを吸収合併した。両社とも商船三井の連結子会社であり、合併の目的は2社の経営資源を集約して企業基盤を強化し、従来以上に総合的に強みを持つ港湾運送事業会社として企業成長を図ることであった。国際コンテナターミナルは、日本のコンテナリゼーションの黎明期よりコンテナターミナル事業(港湾運送事業)を展開しており、ファーストクラスのコンテナターミナルオペレーターであった。2010年3月期の単体の売上高は、107億円、営業利益は553百万円。合併効果もあり、2012年3月期の商船三井向け営業収入は、前年比53.1%増となり、同社への営業収入の依存度が同3.2%ポイント増の22.0%になった。それ以降、商船三井向け年間営業収入は100億円強で推移している。 ○AEO通関業者の認定取得 同社は、2011年3月に横浜税関長からAEO制度における「認定通関業者」 の認定を受けた。「認定通関業者」 としては、横浜税関管内で5社目、全国では31社目の認定となる。前年に承認を受けた「特定保税承認者」と併せてAEO制度を活用し、保税業務における品質をさらに向上させ、より一層簡易、迅速な通関手続きを提供する体制が整っている。 ○横浜港の貿易統計 同社が本拠地とする横浜港の貿易は、2008年9月のリーマンショックに端を発した世界的金融危機とその後の円高の進行などにより、2009年の貿易額は8兆2,518億円と前年比36.5%減少した。2014年の横浜港の貿易額は前年比7.4%増の11兆7,300億円となり、2008年比90%の水準まで回復した。同社の2010年3月期の港湾事業の営業収入は、建設機械などの低迷など総じて厳しい状況にあり、営業収入が前期比18.7%減、セグメント利益が同84.0%と大幅な減収減益となった。2011年3月期の港湾営業収入は前期比9.2%増加し、セグメント利益も同4.4倍となった。為替レートは、2008年の1米ドル当たり103.4円が、2011、2012年には80円割れまで円高が進行したが、アベノミクスの導入もあり2015年は120円程度の水準に戻っている。 ○自動車専用船 同社は、自動車専用船の荷役を行っている。日本の四輪車の輸出台数は、2008年に673万台でピークをつけ、翌年は世界的金融危機の発生のため前年比46.2%も減少した。 自動車メーカーの中には、円高の進行と為替変動の影響を抑えるため、海外へ生産移管を進め、日本からの輸出を極端に絞り込んだ企業もあった。ホンダ<7267>は、2007年の四輪車輸出台数が70万台であったが、2014年にはわずか3万台、ピーク比4%の水準まで落ち込んだ。同比率が67%のトヨタ<7203>などと比べ、円安メリットを享受できなかった。一方、北米の販売が好調な富士重工業<7270>は、2014年の輸出台数が54万台と、リーマンショック前のピーク比66%増となっている。同社は、2015年3月期まで3期連続して売上高と営業利益が過去最高を記録した。ホンダは、2015年に国内生産回帰を決め、輸出比率を2014年度の3%から1割弱まで引き上げる見込みだ。日産自動車<7201≥も、国内生産の増加を示唆している。自動車専用船の荷役を行っている同社にも、好影響が及びそうだ。 ○OECDの世界実質貿易伸び率予想 2014年11月にリリースされたOECDの世界経済見通しによると、2015年の世界の実質GDP成長率は2014年の3.3%から3.7%へ高まり、2016年はさらに3.9%へと緩やかながら拡大すると見られる。世界実質貿易の伸び率は、2014年の3.0%から2015年に4.5%、2016年は5.5%と拡大傾向が続くと予測されている。ただし、秋口には米国が金融政策を緩和から引き締めに転換することが予想されているうえ、中国経済は成長の減速が見込まれる。マイナス金利政策を導入しているユーロ圏は、経済成長が停滞し、インフレ期待がさらに低下する場合は、デフレに陥るリスクがある。手放しの楽観はできないが、拡大基調の予想がされている。 b)プラント・物流事業 2014年3月期よりセグメントの表記を、「物流事業」と「プラント事業」から「プラント・物流事業」とした。事業規模の拡大や新たなビジネス創出の体制を整えるべく、グループの強みである重量物輸送関連業務を強化するための組織変更であった。 物流事業は、自社の倉庫や車輌、海外のネットワークを活かし、最適な輸送手段の選定からトータルコストセービングにいたるまで、顧客ニーズに対応したきめ細やかな複合一貫サービスを提案している。あらゆる品目に対応した輸出入・通関・倉庫保管、豊富な運搬車輌とネットワークによる海上・陸上・複合一貫輸送等、安全・安心の物流サービスを提供。荷役作業や現地での輸送・据付まで一貫して自社グループでコーディネートできる。 プラント事業では、長年の重量物輸送の経験と実績から、発電設備や石油精製・化学プラント建設における輸送据付等において設計・計画から施工管理まで安全・安心のサービスを提供している。多彩な特殊機材とそれを扱う高い技術力で幅広い施工に対応し、設計・計画から保守管理まですべてのプロセスをトータルマネジメントしている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《HN》
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